ブーレーズやラッヘンマン、細川俊夫など現代を代表する作曲家たちと密接な関わりを持ち、同時代の作品を積極的に演奏しながら世界的に活躍してきたディオティマ弦楽四重奏団。今回の公演では、ツェムリンスキー、リゲティ、そしてブラームスの弦楽四重奏曲を披露。
▼開催によせて
小沼純一(音楽・文芸批評)より
20世紀の終わりに結成されたフランスの弦楽四重奏団ではエベーヌ弦楽四重奏団が知られていようか。エベーヌの幅広いレパートリーとグルーヴとは大きく異なり、西洋芸術音楽における弦楽四重奏の骨太な系譜を踏まえ、新しい作品を中心に演奏するのがディオティマ弦楽四重奏団だ。
ディオティマ、みなれない名かもしれない。ドイツの詩人、ヘルダーリンに『ヒュペーリオン』という小説があり、そこに登場する女性、ギリシャ的な美そのものであるような女性がディオティマだ。この文学作品を参照しつつ作曲されたのが20世紀イタリアの作曲家、ルイジ・ノーノの弦楽四重奏曲。ドイツとイタリアでつくられたものにインスパイアされ、フランスで結成されたアンサンブル——そこにはヨーロッパから生まれた芸術音楽へのつよい意識が感じられるといっていい。
とっつきにくいとおもわれる現在の音楽を積極的に演奏する音楽家たちは、古典にたいしてもあくまで「いま」のものとしてアプローチする。ブラームスとツェムリンスキーというドイツ/オーストリアの作曲家をどう演奏するのか。20世紀の作品とどう対照するのか。耳だけでなく、眼と肌をも動員して、体感していただければ、と。
概要
ディオティマ弦楽四重奏団が奏でるツェムリンスキー、リゲティ、ブラームス
プラチナ・シリーズ第4回 ディオティマ弦楽四重奏団
〜精緻の極限、さらにその先へ〜
1月11日(水) 19:00開演 小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/15521/