ブロードウェイミュージカル 『MEAN GIRLS』が2023年1月30日に開幕。
アフリカで生まれ育った主人公ケイディが16歳で初めて、学校に通いスクールカーストトップの女の子たちと過ごす中で、キラキラした笑顔の裏に隠された弱肉強食な女の子の世界に触れ、大切なことは何か学んでいく物語。2004年にアメリカで制作された映画 『MEAN GIRLS』。リアルな女の子の学園生活がティーンに刺さり、大ヒットを記録。リンジー・ローハン主演、レイチェル・マクアダムスやアマンダ・サイフリッドも共演するハイスクールコメディ映画の代表作がミュージカル化、2018年にブロードウェイで開幕した本作はキャストの大半が若く、パワフルで勢いのあるカンパニーとして注目され、同年のトニー賞では作品賞、主演女優賞、脚本賞など、 最多の12部門でノミネート。
主人公ケイディ・ヘロン役には生田絵梨花、ケイディの同級生でロック好きの女子ジャニス役を演じるのは、田村芽実。高校のカースト最上位に君臨するアイドル的存在の3人組「プラスティックス」のボスで女王様的存在レジーナ・ジョージ役に、石田ニコル。ケイディの同級生でゲイの男子ダミアン役に内藤大希。「プラスティックス」の1人で学園の情報通グレッチェン役に、松原凜子。「プラスティックス」の1人で学園随一のおとぼけキャラカレン・スミス役には松田るか。ケイディと同じ数学のクラスのイケメン、アーロン役に小野塚勇人。数学クラブに所属している数学オタクのケヴィン役に中谷優心。ノースショア高校のデュバル校長役に黒須洋嗣。ノーバリー先生、ミセスジョージと一人2役を演じるのは壮一帆といった実力派がキャスティング。
ウエストエンドでの公演も決定し、ミュージカル版での再映画化も予定されている本作の初となるインターナショナル・プロダクションとして日本版初演を上演。
オーヴァーチュアーの後、まずはジャニス役の田村芽実とダミアン役の内藤大希が客席の観客を新入生に見立てて色々説明。ここで大体のことがわかる。あっという間にケニアの草原、ケイディ(生田絵梨花)が登場、動きやすそうなボーイッシュな出立で歌う、アフリカの草原なので、シマウマやライオンなどの動物に囲まれて自由な様子が描かれる。そして父母(黒須洋嗣/壮一帆)と共にケニアを離れてアメリカで暮らすことに。ジェットコースターのようなスピードで展開。
ケニアとは全く様子が異なるアメリカの学校生活、初日から躓き、トイレでサンドイッチを食べることに。早々に落胆。そんな彼女にジャニス(田村芽実)とダミアン(内藤大希)が学校のカーストを教える。平たくいえば「派閥」、学校生活あるある、そのトップに君臨するのが、レジーナ(石田ニコル)、その風貌、まさに女王様。彼女のそばにはグレッチェン(松原凜子)カレン(松田るか)。
そんな3人にランチに誘われるケイディ。また彼女は、数学のクラスで
アーロン(小野塚勇人)と知り合う、イケメンなアーロンにケニア育ちの恋愛経験多分ゼロ、のケイディ、もうハートマーク。
学校で居心地良く過ごすにはボスであるレジーナに気に入られる必要がある、グレッチェンはレジーナに取り入ろうとする心、だが邪険にされて実は切ない。こういう心情も「あるある」。学生時代、楽しいことばかりではない。そういった人間関係に心を砕く。またレジーナは別れたアーロンの気を惹くためにわざとイチャイチャしてるところをケイディに見せつけ、ケイディは復讐することを決意する…。
ラストは、もちろんバッドエンドにはならないが、ヒロイン・ケイディの服装の変化、ケニアではハーフパンツ、それが少しずつ変わっていき、2幕の冒頭では、ついに「プラスティックス」の頂点に立ち、イケイケな服装、しかもグレッチェンとカレンが両脇にいる。SNSや自撮りに夢中、1幕冒頭で見せた純朴な空気感はなくなっている。
そんな彼女の変化、だが、途中で気づく。これは”自分ではない”と…。ヒロインのケイディだけでなく、女王様なレジーナ始め、グレッチェン、カレン、ジャニスetc.彼女らは気付きを得る。仲違いしたり、嘘をついたり、機嫌を取ったり、陰口を言ったり、復讐したり、駆け引きをしたりetc.綺麗事ではない、女の子の日常が、どちらかというと陰湿な部分が描かれているが、それをポップな楽曲に乗せて、元気で勢いのあるダンスで魅せるので、深刻な空気感にはならない。
生田絵梨花始め、皆、弾けた演技で熱演、歌唱もばっちり。年長の壮一帆と黒須洋嗣が複数役をこなすので、ここは見どころ。
映像演出でスピード感溢れる舞台転換、この作品で描かれる世界観を明るい色調と心地よいテンポ感でみせていく。2幕後半のケイディの奮闘、そしてクライマックスへと突入していく。
タイトルの「MEAN GIRL」意味は「意地悪な女の子」”You’re mean!”、意味は「あなたって意地悪ね!」。ストレートなタイトル、ケイディは当初、意地悪ではなかった。だが、スクールカーストの洗礼を受けて彼女の内なる”負”の部分が頭をもたげてくる。心に刺さる作品、東京公演は2月12日まで、その後、福岡、大阪を回る。
まず、MCより作品の説明があり、それから登壇、生田絵梨花、田村芽実、石田ニコル、小林香(演出・上演台本・訳詞)。
生田絵梨花は「いよいよ、明日、開幕…緊張が上がってきています…始まれば緊張してる余裕もないぐらい濃い登場人物たちと濃いストーリー展開が…ケイディとして五感をフル稼働させながら…お楽しみに」と語る。田村芽実は「みんなが一丸となって!コロナ対策も…頑張ります」とコメント、石田ニコルは「たくさん頑張りました。私たちも楽しめるように」と語る。公開稽古では、もう大熱演なカンパニー。小林香は「「笑いあり、ノリあり、かわいらしさあり、下ネタあり、感動ありのミュージカル」と作品を評した。
また、スクールカーストの話なので、舞台上では火花がバチバチでも稽古場は和やかだった様子が会見で垣間見える。また田村芽実は「ただ役を演じるっていうだけではなく、毎回毎回新しいアイディアを出し合って」、日本バージョン初演なので、そこは全員総出でクリエイト。生田絵梨花も「デイスカッションさせてくれる信頼関係」とコメント。また、劇中で「ピンクの服を着る」というルールが出てくるが、稽古場でも水曜日になると稽古着だったり小物とかにピンクを取り入れたそうで「稽古場でも一体感」と石田ニコル。小林香はまた、台本、訳詞も手がけているのでカルチャーの違いもあり、そこが難しいところ。「ティナさんの意図がより明解に伝わるような日本バージョンの翻訳を」と語り、ギリギリまで言葉の推敲を重ねた様子。そこが翻訳ミュージカルの難しさでもあるが、それもまた面白さの一つにもなる。「改良に改良を重ねて」と小林香。
さて、その『ルール』にちなんだ質問が、いわゆる”マイルール”。生田絵梨花は「舞台本番がある時とかは毎朝ステーキを食べるのがルールだったんですけど年取ってくるとちょっと胃が弱まって最近は焼き鮭を毎朝食べるというのにルール変更してます」とコメント。田村芽実は石田ニコル演じるレジーナと対立しているキャラクターを演じているので「この作品の時に限っての、ですが、水曜はピンクを着ないで水曜以外は着てくるように」と語り、石田ニコルは「初日を迎える時はドレスアップ」作品の雰囲気に合わせるそうで、この作品では”ピンク”がキー。共演の生田絵梨花、田村芽実が興味津々(笑)。
最後に生田絵梨花が公演PR「作品が始まる前はポップでキュートなガールズパワーを…と言ってましたが、それだけに止まらないメッセージ性を感じています。ドロドロしたところ、ブラックなところ、とがってたり、なんか歪だったりとか…。枠にはまらない、色んな形を…自分rしくいたいなと思っていただけるように、キラキラした気持ちを持って帰っていただけるように、一丸となって!」と締めて会見は終了した。
STORY
動物学者の両親を持ち、アフリカ育ちのケイディ・ヘロン(生田絵梨花)は 16歳になって初めてアメリカに引っ越すことになる。これまで自宅学習で学校に通ったことがなかったケイディは初めての学校生活に緊張気味に登校する。
なかなかみんなに馴染めず、浮いているケイディに話しかけたのはロック好き女子のジャニス(田村芽実)とゲイボーイのダミアン(内藤大希)というはみ出しものの二人組。二人から校内の派閥について教えられ、特に気をつけるべきは「プラスティックス(Plastics)」というレジーナ・ジョージ(石田ニコル)、カレン(松田るか)、グレッチェン(松原凜子)の校内アイドル三人組であると告げられる。
そんなある時、ひょんなことからプラスティックスのトップで学園の女王様・レジーナに仲間にいれてあげてもいいと言わ れるケイディ。戸惑いながらもジャニスに報告をすると、仲間になったふりをしてレジーナの弱みを握ってきてほしいとケイディに言う。二人には過去の因縁があったのだ。
一方、ケイディは得意な数学の授業で知り合ったアーロン(小野塚勇人)に一目惚れをする。それを知ったレジーナに、アーロンとの仲を取りもつと言われ、プラスティックスに入ることを決めるケイディだが、次第にグループに染まっていき・・・
概要
タイトル:ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』
日程会場
東京:2023年1月30日(月)~2月12日(日) 東京建物 Brillia HALL
福岡:2023年2月17日(金)~2月19日(日) キャナルシティ劇場
大阪:2023年2月23日(木祝)~2月27日(月) 森ノ宮ピロティホール
演出・上演台本・
訳詞:小林香
出演:生田絵梨花 田村芽実 石田ニコル 内藤大希 松原凜子 松田るか
小野塚勇人(劇団EXILE) 中谷優心 / 黒須洋嗣 / 壮一帆
伊藤かの子 工藤彩 黒田陸 篠本りの シュート・チェン
鈴木満梨奈 鈴木里菜 中嶋紗希 増山航平 松村桜李 村上貴亮 山﨑感音
脚本:ティナ・フェイ
音楽:ジェフ・リッチモンド
作詞:ネル・ベンジャミン
演出・上演台本・訳詞:小林香
企画・製作:アミューズ
東京公演主催:アミューズ/フジテレビジョン
オフィシャルサイト: https://musical-meangirls.jp/