2022年11月上演を予定していたが俳優の急病により中止になった公演「Bug」を小空間、新たなキャストで、19日まで。
体に虫がいるという若い男とDVの夫から逃れて安モーテルに住む中年女の刹那の道行きを描くトレーシー・レッツ初期の傑作「Bug」。現代の黙示録のようなこの作品を、主演に阿佐ヶ谷スパイダースの李千鶴、相手役の若い男に鈴木勝大、DVの元夫に文学座の粟野史浩、レズビアンである親友に流山児★事務所の伊藤弘子、そして要を担う医者役に同じく流山児★事務所の塩野谷正幸、実力者揃いの俳優陣で、俳優の息づかいまで聞こえるような小空間、コロナ禍にあえぐ今、まさに見ていただきたい作品。
演出家より
それぞれきちんと個が確立された俳優たちと、
小さな稽古場で親密な時間を過ごし、この作品を創り上げました。
妄想と現実、個人と国家、そんな相対するものの間を反転しつづける物語が、
小さなモーテルの一室で繰り広げられ、コロナ禍の世界にも通じるアクチュアリティと
思いがけない広がりを維持しつつ、最後は、孤独な男女の、歪んでいるけれどうつくしい
信頼と愛の物語にぎゅうっと濃縮されていく。トレーシー・レッツの作劇の凄さに毎日出会い続けています。
上演する空間もまた小さな空間ですが、小さな空間でしか味わえない贅沢な演劇の時間をお渡しできると思っています。
この作品が好きです。観ていただけたらとても嬉しい。劇場でお待ちしています。
あらすじ
息子を亡くし、暴力夫から逃れるためにオクラオマ州のモーテルに暮らす孤独な中年女アグネス。
そこに友人が連れてきたピーターと関係を持つが、ピーターは自分の身体に虫が巣くっていると言う。
男は虫を駆除しようと躍起になり、異常性を増していく。
その狂気はアグネスをも感化していく。
国家の陰謀にまで広がっていくそれは妄想か果たして事実か。
Serialnumberとは。
シルアルナンバーは東京で活動する演劇ユニットです。風琴工房という名前で活動、2018年から名称変更。劇作家・演出家の詩森ろばと俳優田島亮が現在の構成員。座付作家・詩森の手による創作劇や優良な既成戯曲の上演を行っている。すべての演出を詩森が担う。現代とリンクするテーマを、綿密な取材で骨太なドラマに変換し、軽快なフットワークでエンターテインメントに仕立て上げている。
概要
serial number08+0.5 『Bug』
日程・会場:2023年2月15日(水)〜2月19日(日) サンモールスタジオ
作:トレーシー・レッツ
演出:詩森ろば
翻訳:佐藤澄子
出演:
李千鶴
鈴木勝大
粟野史浩(文学座)
伊藤弘子(流山児★事務所)
塩野谷正幸(流山児★事務所)
公式ホームページ:https://serialnumber.jp/
撮影:坂功樹