原作は「チャーリーとチョコレート工場」でも有名な英国の国民的な作家、ロアルド・ダールによる英児童文学「Matilda」(邦題:「マチルダは小さな大天才」)。
2010年に製作されると瞬く間にウエストエンドで最も人気のある作品となり、2013年にはブロードウェイに進出。全世界で1,100万人以上を動員し、99もの国際的な演劇賞に輝いている大ヒットミュージカルが、日本オリジナルキャストで初上演。
シニカルな出だしの後、「5years ago」の文字が。病院、「おめでたですよ」と医者が妊婦に告げる。ド派手な格好の妊婦、ミセス・ワームウッド(霧矢大夢/大塚千弘)、驚く。
太ったと思ったら妊娠、しかも臨月。生まれた子供は女の子。夫であるミスター・ワームウッド(田代万里生/斎藤 司(トレンディエンジェル))は男の子でないことに不満げ。医者は「最高の贈り物」とは言っているが…。まさに「親は選べない」とはこのこと。最近の言葉でいえば「毒親」。そして生まれた子供、マチルダ(嘉村咲良/熊野みのり/寺田美蘭/三上野乃花)5歳、部屋の片隅で読書。
母親が叫ぶ「この子、本を読んでる!」母親は子供に教育を施さない、学問不要と思っており、父親はテレビがあれば本など読む必要ないと思っている。無気力そうに座っている兄。マチルダのソロ、「ちょっと悪い子」というナンバーだが、彼女を考え方や思いを表現した楽曲。ここで歌われているマチルダの姿勢は最後までブレない。
場面変わって学校、「スクールソング」、ちょっと毒のある内容。マチルダは学校へ、問題をスラスラとなんということもなく解ける。ハニー先生(咲妃みゆ/昆 夏美)はマチルダの才能に気が付く。
読んでる本も何げにすごい。ここの校長、ミス・トランチブル校長(大貫勇輔/小野田龍之介/木村達成)、インパクトのある風貌、子供に寄り添うどころか、支配しようとする、パワハラタイプ。今なら、退職させられそうな。部屋の壁には多くのトロフィー、筋骨隆々な怪力で元ハンマー投げの選手だった。罵詈雑言を子供たちに浴びせる。
マチルダのいる環境、家では親はネグレクト、無関心。父はマチルダの本を破る。学校では校長のパワハラ、だが、彼女には理解者がいた。図書館にいるミセス・フェルプス(岡 まゆみ/ 池田有希子)、そしておとなしいハニー先生。テンポ感もよく、そして何と言ってもダンスと楽曲。個性的な振付だが、この動きだけでも状況や心情がわかる。フォーメーションも独特。抑えつけられている子供たち、見えないエネルギーが沸々としている。観客は途中で気が付く、「このままであるはずがない」と。そして2幕への連なっていく。
マチルダ役始め、子供たちのエネルギッシュな演技、大人キャラクター、全てが突き抜けていて、もはや清々しい(笑)。マチルダの両親のファッション、極端なキャラクターは笑ってしまうほど。ミス・トランチブルのお団子頭に特徴的な動き、ファッション、だが、ふと思う、ここまで極端ではないが、「いるいる」と頷ける観客もいるだろう。立場的にはヒール役だが、彼らの価値観、マチルダが生まれた時、父親は女の子だったからがっかり。つまり男の子だったらOKなのだ。母親はダンスに夢中だが、女の子は中身より外見、と思う。学校では校長は絶対、と思うミス・トランチブル、子供たちを服従させようとする。
そんな中、ミス・ハニーは気が付く。「今のままでいい」と思い込んでいた、いや、そうしないと職場には居づらくなるし、何より生きづらい。だが、マチルダの出現で彼女は少しづつ考え方を変えていくし、我慢に我慢を重ねていたクラスメイトたちも少しづつ変わっていく。その過程は「成長」という言葉に置き換えられることもできるが、どちらかというと「気付き」、実はどこかでわかっていたのだが、それが表面化すると波風が立つからだ。
2幕はそんな動きをスピーディーに見せていく。そして舞台セット、これがアート。細かく変化し、場面や状況を見せる。ブランコのシーンは躍動的。
ブラックでシニカルで、それでいて深いメッセージ。何もしなければ、楽かもしれないし、余分な苦労もないかもしれない。だが、「正しくない」と思ったら「正しくしたい」と思い、行動することの勇気。5歳のマチルダは世間の基準でいくと「悪い子」かもしれない。だが、「悪い子」だからこそ得られるものがある。おとなしい大人に都合のいい「良い子」にならないマチルダは観客に様々なことを示唆してくれる。
マチルダ役
嘉村咲良
もうすぐ初日だと思うと、緊張もするけど楽しみの方がやっぱり大きいです。
お客様に感動してもらえるように、マチルダがどういう子なのかがちゃんとわかるように演じたいです。
来て良かったなと思ってもらえるように、マチルダになりきって頑張りたいと思います。
熊野みのり
お稽古が進むにつれて、どんどん振付や歌を教えてもらって、本番で良いパフォーマンスが出来るように今まで頑張ってきました。精一杯、力を出し切ってマチルダ役を自分らしく演じますので、是非劇場に観に来てください。
寺田美蘭
これまでみんなでお稽古を一緒に頑張ってきて、いよいよ本番なので、精一杯頑張りたいと思います。特にハニー先生とマチルダのだんだん深まっていく絆を見て欲しいです。
応援してくださっている方や、一緒に作ってくださっている方に感謝の気持ちを忘れずに、精一杯、マチルダを演じたいと思います。
三上野乃花
今、不安な気持ちが3%くらいありますが、楽しみな気持ちが97%くらいです。楽しい気持ちが大きいです。マチルダという舞台はすごく面白くて、感動したり、面白かったり、楽しかったり、うれしかったり、いろいろな場面があります。
私もマチルダ役としてお客様になにかを伝えられたらと思っています。
ミス・トランチブル 役(トリプルキャスト)
大貫勇輔
作品として、音楽が本当に素晴らしいし、マチルダちゃんたち全員が小さな体で、大きな劇場で思い切り精一杯演じているのを目の当たりにすると、それだけでも何かぐっと熱くなるものを感じてもらえるかと思います。
今この作品を見て、日本のお客様たちがどういう反応するのかが未知数で、楽しみでもあり、少しの不安もありますが、やっと少しずつみんな諦めずに前を向いて戦っていこう!という、現代とリンクするものがあると思うので、全身で音楽やブラックジョークを楽しんでいただきながら、この素晴らしいメッセージを受け取って、明日への希望としてくれたら嬉しいなと思います。
小野田龍之介
稽古から始まって、実際に劇場に入って、本当に「マチルダ」が日本に来たんだなということをじわじわと感じています。有名な作品だけれど、日本には舞い降りていなくて、その作品を自分たちが一番初めに肉体を使って、魂を使って、お客さんに届けられる。こんなに光栄なことはないですね。
もう観ていただければわかる。その言葉に尽きます。
この物語にどっぷり浸かってご堪能いただいて、日本で新たに愛されるミュージカルの名作のひとつになるように頑張ります。トランチブル独特の正義感を持ったモンスターのように演じておりますので、それを微笑ましく楽しんでいただけたらと思います。是非楽しみにしていてください。
木村達成
自分の中でトランチブルという役を突き詰めるのにとても時間がかかりましたが、今は早く本番が始まって欲しいという気持ちが大きいです。
いろいろな勉強をしながら観なきゃいけない作品ではなく、その場の情報ですごく考えさせられるミュージカルだと思うので。とても見やすい作品だし、素直に面白いし、笑えるし。もちろん心が苦しくなるような場面もありますが、心が健やかな気持ちで終われるミュージカルだと思います。
観た後、幸せになれる。そんな気持ちにさせてくれる舞台になったと思います。
今どうしようと悩んでいるお客さま、真実は本番の中にあるので、嘘だと思って観に来てください。「めちゃめちゃ面白いぞ、これ」ってなるから!
ミス・ハニー役(ダブルキャスト)
咲妃みゆ
ご覧になったお客さまがどんなご感想を抱いてくださるのかと、今、ワクワクしています。
どのシーンを切り取っても、児童文学小説の域を超えて、現代を生きる私たちにも強いメッセージを届けてくれると感じるので、マチルダをはじめ数々の登場人物が訴える言葉一つ一つに耳を傾けていただけたらと思います。
きっとだれもが持っているであろう童心を呼び起こしてくれる作品なので、大きな心でリラックスして、この物語のハチャメチャな展開を見守っていただけたらと思います。
足をお運びくださる皆様、きっと後悔はさせません、という強い気持ちでお届けします!
昆 夏美
ずっと前からマチルダは好きでしたが、稽古が始まった時から「なんて素敵な作品なの」と。
日を追うごとに一人でも多くの方に見ていただきたいという気持ちが止まりません。
この公演を観に来てくださる方たちが初めて日本でマチルダを観ることになるので、初めての記憶が最高にものになるように精一杯ハニーとして演じていきたいと思います。
マチルダちゃんたちは子役ちゃんではなく、小さな大女優です。
本当に皆を引っ張っていってくれているので、大人たちも負けないように相乗効果で素晴らしい作品をお届けしたいと思います。
ミセス・ワームウッド 役(ダブルキャスト)
霧矢大夢
この作品に携われていることが本当に光栄で幸せなことだと改めて実感しています。
大人が一生懸命やればやるほどマチルダのピュアな存在感が際立って、突き抜けた存在になるんだなとまざまざと感じています。
マチルダにとっての脅威の一人として、パワーを出して、演じさせていただきたいと思っています。
床の模様が綺麗なのと照明がすごいので、1階席だけでなく、上からも観ていただきたいので、ぜひ1階席、2階席以上と両方から楽しんで観ていただきたいです!
大塚千弘
長いようで短かった稽古期間を終えて、どんどん仕上がりが良くなってきて、全キャストのレベルが上がってきているのを感じています。満を持して皆様に観ていただけるのではないかと思います。
稽古場から劇場に入り、劇場はもうマチルダの世界になっていて、衣裳・ヘアメイク・照明・美術によって物語が明確に見えるのが素晴らしいです。
出演者全員に見せ場があって全てが輝いて見える作品なので、何回観ても楽しめる作品だと思います。
見逃すと絶対に損です!是非劇場でご覧ください。
ミスター・ワームウッド 役(ダブルキャスト)
田代万里生
ついに『マチルダ』が開幕!
先日劇場入りしたある日、僕が演じるミスター・ワームウッドのド派手な革靴を見た子役の男の子が、『すご~い!これワニ革?ヘビ革かなぁ?高そう!ワームウッドさんってお金持ちなんだねー!』と目をキラキラさせて話しかけてくれたので、僕は『お金が沢山あったら何を買いたい~?』と聞いてみたら、『えっとね、遊園地!』と迷わず即答。あまりに想定外なスケールに度肝を抜かれ、そのピュアさに感動しました。僕たちはいつから自分に制約をかけてしまったのだろう、自分はこのままここに留まっていていいのか?と自問自答したくなる作品です。記念すべき【日本初演】をお見逃しなく!劇場でお待ちしております!
斎藤 司(トレンディエンジェル)
あっという間に初日が来てしまったな、という感じです。今は早くお客さんに観てほしいです。
僕は娘がいるので、マチルダ達を見ていると、本当にセリフを覚えるのをすごい頑張ったね、演技頑張ったねと思う反面、役者としてその大変さを感じさせない【マチルダの強さ】みたいなところをすごく感じます。
出演者全員、見せ場がとにかく多いので、絶対に見逃さないで欲しいし、こんなにカーテンコールがぐっと刺さる作品もなかなかないのではと思います。
今、目標がなかったり、逆境に悩んでいる人がいたら、ぜひ観に来てほしいですし、感動してほしいなと思っています。ぜひ劇場にお越しください。
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ストーリー
5歳のマチルダは、 図書館にある難解な本も全部読みつくしてしまうほど、 高い知能と豊かな想像力を持った少女。 しかし両親はそんなマチルダに関心を全く示さず、 家庭は辛い場所だった。 図書館に居場所を求めたマチルダは、 そこで教師のハニー先生に出会う。
翌日、 マチルダとハニー先生は学校で再会する。 ハニー先生はすぐにマチルダが「天才」である事に気づき、 その才能を伸ばしたいと願う。 しかし学校は、ミス・トランチブル校長が恐怖で子どもたちを支配する「監獄」のような場所だった。
マチルダは自らが持つ不思議な力を駆使して、 子どもたちを苦しめる大人たちに仕返しを試みる。 自身も苦しい子ども時代を過ごしたハニー先生は、マチルダの良き理解者となり、いつしか二人の絆は固いものになっていく――。
<マチルダ役色紙コメント>
主演 嘉村咲良,熊野みのり,寺田美蘭,三上野乃花 Daiwa House presents ミュージカル『マチルダ』色紙コメント到着
概要
Daiwa House presents ミュージカル『マチルダ』
東京公演
プレビュー公演 2023年3月22日(水)~3月24日(金)
東京公演 2023年3月25日(土)~5月6日(土) 東急シアターオーブ
主催:ホリプロ/日本テレビ/博報堂DYメディアパートナーズ/WOWOW
協力:GWB Entertainment
企画制作:ホリプロ 特別協賛:大和ハウス工業 後援:ブリティッシュ・カウンシル
大阪公演 2023年5月28日(日)~6月4日(日) 梅田芸術劇場メインホール
キャスト
マチルダ:嘉村咲良/熊野みのり/寺田美蘭/三上野乃花(クワトロキャスト)
ミス・トランチブル校長:大貫勇輔/小野田龍之介/木村達成(トリプルキャスト)
ミス・ハニー:咲妃みゆ/昆 夏美(Wキャスト)
ミセス・ワームウッド:霧矢大夢/大塚千弘(Wキャスト)
ミスター・ワームウッド:田代万里生/斎藤 司(トレンディエンジェル)(Wキャスト)
ミセス・フェルプス:岡 まゆみ/ 池田有希子(Wキャスト) 原 慎一郎
寺井竜哉* 仲本詩菜* 春口凌芽* 山花玲美*
石井亜早実 大久保徹哉 小島亜莉沙 斎藤准一郎 酒井 大 坂口杏奈 白山博基
高原華乃 出口稚子 深沢萌華 本田大河 森 莉那 森内翔大 大場啓博
*スイング
オフィシャルHP: https://matilda2023.jp/
ホリプロステージHP: https://horipro-stage.jp/stage/matilda2023/