『ピーターパン』を生み出した作家と、 彼を囲む人々の物語を描く、 感動のミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が、 2023年5月に開幕。 主演は山崎育三郎、 演出は小山ゆうなが手がけ、新演出版で上演!
ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』は、 ジョニー・デップ主演で2004年(日本では2005年)に公開された同タイトルの映画(邦題「ネバーランド」)をミュージカル化した作品。映画はアカデミー賞7部門にノミネート・作曲賞を受賞、 ミュージカル版は2015年にブロードウェイで開幕し、 多数メディアから「何年も心に残るであろう必見の舞台」と絶賛された人気作。
物語の主人公は、 名作『ピーターパン』の作者である劇作家J・M・バリ。 スランプから抜け出せないバリが、 ある家族に出会い、 子供たちとの出逢いを通じて物語を書き上げ、 劇場で『ピーターパン』を上演するまでを描いた、 実話に基づくストーリー。
大人になってしまった誰もが、遊び心を取り戻し、夢見ることを思い出すことができる感動の物語。
2017年には東急シアターオーブにてツアー版招聘公演が上演され、 大好評のうちに幕を閉じた。
音楽を手掛けるのは、 イギリスの人気ポップスグループ「テイク・ザット」のゲイリー・バーロウと、 グラミー賞受賞作曲家でシンガー・ソングライターのエリオット・ケネディ。 心を虜にする楽曲、 ほのぼのとした笑いと愛の物語が詰め込まれた、どんな世代でも楽しめるブロードウェイの人気作が、 日本人演出家により、 新演出バージョンで上演。 ダイアン・パウルスによる演出版以外の新バージョンで上演されるのは今回が初めてとなる。
主演を務めるのは、 山崎育三郎。演出は小山ゆうな。
幕が開くと「ピーターパン」の世界、ピーターが、フック船長もいる、何やら大騒ぎ。そこへ1人の男性が登場、彼こそが「ピーターパン」の作者である劇作家J.M.バリ(山崎育三郎)である。そしてキャラクター達は舞台からいなくなる(登場するのが早すぎるから(笑))。それから“本編”の始まり。
極度のスランプに陥っていた劇作家J・M・バリ、新作を書かなくてはならない、プロデューサーのチャールズ・フローマン(武田真治)の期待も大きい(圧力かけまくり)。時は1903年、ケンジントン公園、そんな彼の前に海賊ごっこをする男の子たち。もう大騒ぎ、彼らは兄弟、ジョージ、ジャック、マイケル。そこへ彼らの母親がやってきた、シルヴィア・デイヴィス(濱田めぐみ)。飾り気がなく、素直な性格、出会った紳士が劇作家のバリ。
彼女は彼のファンでもあった(目の前にいるのがバリと知って『あらま』)。遊びに加わらないもう1人の息子、ピーターをバリに紹介する。シルヴィアは上演中のバリの芝居について話し始める。絵画的に美しいセット、映像。スピーディーな舞台転換、振り付けがコミカルで前衛的。時代設定が1900年初頭、うっかりすると古色蒼然な方向にいくところを全体を現代的に。ミュージカルナンバーもポップでキュート。バリの私生活、妻のメアリー・バリ(夢咲ねね)とはイマイチうまくいってない。プロデューサーに新作のアイディアを話すも理解されない。
シルヴィアは実は病気だった。体調を崩し、バリは彼女の家にいくもデュ・モーリエ夫人(杜けあき)に追い返される(ちょっと怖い(笑))、かなり凹む。そんなこんなで悶々としているバリに突然!誰かと思ったらフック船長(武田真治)!これはバリの“分身”、かなりワイルドで奔放。1幕のラスト近く、バリを鼓舞するがここは大きな山場、セットや映像を駆使、船が荒波にもまれるシーンは圧巻。歌も迫力満点、ここはハイライトシーンで悶々と悩んでいたバリが吹っ切れる。
1幕でバリがグダグダと悩むがスランプは誰にでもある。誰しもが共感できる感情、どうにかしてスランプから抜け出したい気持ち、苦し紛れで考えた企画、周囲とうまくいってない、マイナスの感情とプラスの感情が揺れ動く。そういう意味においては、ここで描かれている感情はごくありふれている、だからこそ、観客は「そう、そう」と頷ける。そこがこの作品の大きな魅力の一つだ。
2幕の始まりは子供たちの可愛い幕前芝居、皆、なかなかに芸達者。バリの新作、今でこそ、空を飛ぶ、異世界へいくetc.の設定は不思議ではなく、むしろ多用されているが、この1900年代初頭、あまりのシュールさに俳優陣、かなり戸惑う。ここはクスリと笑える場面。バリは、「演劇」も「遊び」も同じ「PLAY」なのだと気がつく。この「PLAY」”遊ぶ”も”演奏する”も”演じる”も全てが「PLAY」。しかしシルヴィアの体調が悪化、そして迎えた新作舞台『ピーターパン』の公演初日になって…。
ストーリーの軸は『ピーターパン』が誕生するまでだが、バリの心の移り変わり、バリとシルヴィアの関係、周囲の人々の変化など、そのどれもが共感できる。父親を亡くした喪失感から抜け出せない3男のピーターの心情。バリとピーターのデュエットは、切なさと深さが同居したナンバーが心に沁みる。また俳優たちがパブに繰り出す場面、ここの台詞はウイットとユーモアたっぷり。そしてラスト、感涙場面、公演初日にバリと俳優、劇場関係の人々がとった行動、愛と夢と冒険、まさに『ピーターパン』。何かが消えて何かが生まれる、儚いが、永遠の想いがそこに残る。『ピーターパン』はイマジネーションと切なさと儚さから誕生した永遠の物語。100年以上経っても語りつがれ、そしてミュージカルとなって舞台上に出現しているのも頷ける。公演は東京は6月5日まで。大阪は6月9日から12日まで。
ゲネプロ前に会見が行われた。
登壇したのは山崎育三郎、濱田めぐみ、武田真治、小山ゆうな(演出)。
注目してほしいところは?の質問に山崎育三郎は「ラスト15分間。ここは何度やっても自分の心が震える。この作品の中で描かれている葛藤、思いが全てマッチした瞬間。何度やっても涙を堪えるのが大変。すごく美しくて。このラスト15分は注目していただきたい」とコメント。シンプルながら、エモーショナルな場面、ここは本当に注目ポイント。濱田めぐみは「1幕ラストのバリとフック船長が出てくるところがとにかく素晴らしい。面白くてワクワクするので観ていただきたいです、私は出てないですが(笑)」と語る。賑やかで楽しく、驚きと発見がある場面。武田真治は「この2人(山崎・濱田)の歌声が響くところです。ミュージカル界のトップスターの奇跡の共演。あとはフック船長とチャールズ・フローマンを演じ分けるところ。選りすぐりの子役たちの演技と歌声」とコメント。演出の小山ゆうなは「ジェームズ・バリとシルヴィア・デイヴィスの2人のナンバー、今日も観ていてグッと泣いてしまうシーンがあります。子供たちだけのシーン、ここは頑張ってるので!」子供たちの活躍に注目。
伝えたいテーマについては
山崎育三郎は「出会って改めて自分にとって大切なものに気づかされたり。12歳で初めてステージに立ったことだったり。観客の皆様にとって自分の原点に帰れるような、人生に重ね合わせるような…初心に帰るというのがテーマの一つになってると思います」と語る。濱田めぐみは「舞台の中でもよく使われていますが、イマジネーションという言葉が印象に残っていて、作品のテーマ、自分の中ではイマジネーションの大切さ、面白さ、そこに着目していただくと面白いんじゃないでしょうか」と語る。武田真治は「常識に囚われるな、ということですね。決して、非常識がいいということではない。常識に囚われなかったということでバリは現時点で100年以上語り継がれる物語が書けた。当時のイギリスの演劇界では考えられないファンタジーな作品に着手する。常識に囚われなかったことで、新しい世界を、という意味では日常でも『自分は常識に囚われているかな?』と見つめ直すきっかけになるかなと…常識に囚われないがテーマかな」とコメント。
最後に作品への思いを。
小山ゆうなは「すごく盛り沢山で犬も出てきます。子供たちも…色々素敵なナンバーがたくさんある作品。みんなで元気に健康に千秋楽まで乗り切れれば」と語る。コロナ禍も落ち着いてきたが、まだまだ油断はできない。武田真治は「この作品は、演じるたびに自分自身がエネルギーを、そんな作品なのでそのエネルギーが観客の皆様に。ご観劇いただき、もしかしたらコロナ禍で諦めていた夢とかやりたかったことに着手したいと思える作品だと思います。ぜひ、劇場へ元気にもらいに来ちゃってください!」とコメント。濱田めぐみは「我々もすごく楽しくワクワクして演じておりますので、観にきていただき、客席で、みんなで素敵な時間を過ごしてください。ぜひ、劇場にお越しください」とにこやかに。最後に山崎育三郎は「こんな作品『待ってました!』っていうくらいの大好きな作品。演劇でしかできない奇跡のステージ、ぜひ体感していただきたいと思います」と締めて会見は終了した。
ストーリー
19世紀後半のイギリス。新作戯曲が書けずに行き詰まっていた劇作家ジェームズ・バリ(山崎育三郎)は、公園で、未亡人シルヴィア(濱田めぐみ)と4人の子ども達ジョージ、ジャック、ピーター、マイケルと出逢う。
妻のメアリー(夢咲ねね)からも問い詰められ悩んでいたバリだったが、彼らと遊ぶうちに純粋で正直な気持ちを思い出したバリは、「演劇」も「遊び」も同じ「PLAY」なのだと気がつき、物語をどんどん生み出していく。 しかし、当時のイギリスでは、演劇は上流階級だけのもので、バリが「子供も楽しめるファンタジー作品を上演したい」と提案すると、劇場主のフローマン(武田真治)と劇団員たちは猛反対。 一方、父を亡くしてから純粋な心を閉ざし”大人”になろうとしていた三男のピーターは、バリと交流を深めるうちに、夢や希望を捨てることが大人になることではないのだと悟る。 バリとシルヴィアは、シルヴィアの母のデュ・モーリエ夫人(杜けあき)に反対されながらも交流を深め、お互いを理解し心を開く関係になっていく。 こうしてバリは、シルヴィアと子供たちと一緒に空想した世界を基に『ピーターパン』の物語を作りあげていく。 最初は反対していた劇団員たちも、次第に子供の頃の純粋な気持ちを思い出し、バリの描く世界に引き込まれていく。 順風満帆かに思えたが、シルヴィアの体調が悪化し、バリと兄弟たちは新たな試練に直面することになる。 そして迎えた新作舞台『ピーターパン』の公演初日。
『ピーターパン』という永遠の物語を生み出した一人の作家と、彼を囲む人々の、美しく、優しく、切ない、感動の物語。
概要
日程会場:
東京:2023年5月15日(月)~6月5日(月) 新国立劇場 中劇場
主催:フジテレビジョン/キョードー東京/ホリプロ 企画制作:ホリプロ
大阪:2023年6月9日(金)~12日(月) 梅田芸術劇場メインホール
主催・問合:梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00)
久留米:2023年6月17日(土)・18日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
主催・問合:インプレサリオ 共催:久留米シティプラザ(久留米市)
富山:2023年6月24日(土)・25日(日) オーバード・ホール
主催:北日本新聞社 /富山テレビ放送 /イッセイプランニング
名古屋:2023年6月30日(金)・7月1日(土) 愛知県芸術劇場 大ホール
主催:東海テレビ放送
キャスト
ジェームズ・バリ:山崎育三郎
シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみ
フック船長/チャールズ・フローマン:武田真治
メアリー・バリ:夢咲ねね
デュ・モーリエ夫人:杜けあき
キャナン卿:遠山裕介
クローマー:廣川三憲
ヘンショー:星 智也
家塚敦子、石川 剛、伊藤かの子、榎本成志、大久保芽依、工藤 彩、塩川ちひろ、永松 樹、福島玖宇也、MAOTO、ルイス魅麗セーラ (五十音順)
ジョージ:越永健太郎、ポピエルマレック健太朗(Wキャスト)
ジャック:生出真太郎、豊田侑泉(Wキャスト)
ピーター:小野桜介、長谷川悠大(Wキャスト)
マイケル:奥田奏太、谷慶人(Wキャスト)
スタッフ:
原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』
台本:ジェームズ・グラハム
作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ
翻訳・演出:小山ゆうな
訳詞:高橋亜子
音楽監督:小澤時史
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:前田文子
ヘアメイク:宮内宏明
振付:松田尚子
歌唱指導:亜久里夏代
稽古ピアノ:森本夏生
演出助手:河合範子
舞台監督:小笠原幹夫
公式HP=https://horipro-stage.jp/stage/findingneverland2023/