『ファッション・フリーク・ショー』は、世界的ファッションデザイナーであるジャンポール・ゴルチエの生い立ちからデザイナーとしての半生を描いた作品。 演出・衣装をゴルチエ自身が手掛け、マドンナ、デヴィッド・ボウイや、ナイル・ロジャース「Le Freak」をフィーチャーした音楽にのせて、実際にパリコレを飾った200着を超えるオートクチュールで魅了するファッションエンタテインメント。なお、この『ファッション・フリーク・ショー』の舞台裏に迫ったドキュメンタリー映画『ジャンポール・ゴルチエ:フリーク&シック(原題)』が、9月29日(金)より日本公開となる。
ジャンポール・ゴルチエは、1976年、自身の名を冠した「ジャンポール・ゴルチエ」のブランドでプレタポルテコレクションで鮮烈にデビューを果たし、2004年からはエルメスのデザイナーも兼務するなどファッション界の第一線で活躍。マドンナなどの世界的 スターの衣裳も手掛け、常に時代の先端を走るデザイナーとしてファッション界を牽引。
衣装は実際にパリコレを飾ったオートクチュールなどから200着を超え、選りすぐりの代表作、人気作が惜しみなく登場し、 このショーのために書き下ろした新作デザインの数々も見どころの一つ。
ディスコからファンク、ポップからロック、ニュー ウェーブ、パンクまで、ジャンポール・ゴルチエの半生を通じてインスピレーションを与えた、デヴィッド・ボウイや、ナイル・ロジャース「Le Freak」をフィーチャーした音楽にのせて、マドンナ、クリスティーヌ・アンド・ ザ・クイーンズ、ストロマエ、ミュージカル「レジスト」のダンスも手がけたフランスの振付師、マリオン・モーティンが振付を手掛け、 コンテンポラリーからストリート、ジャズなど多岐にわたるダンスが作品を彩る。
始まる前、舞台上はキービジュアルにもなっている個性あふれる映像。そして始まる。最初は映像、手術室のよう、これがなかなかに憎い映像で「なるほど」と思わせてくれる。そしてテディベア(個性的!)、それも映像も合わせると、とにかくいっぱいいっぱい、めいっぱい、いる!「こんばんわ」と日本語で。サービス精神旺盛。字幕で「ゴルチエの話を知りたい?」と出る。ファッションショーのようでありながら、前衛的なパフォーマンスのようであり、カテゴライズが難しい、それほどまでに独創的。子供時代から描いていくゴルチエの半生。
字幕が出る、「1970年 18years old」18歳の若いゴルチエ役が登場、ラフな服装、初々しい挙動、運命の出会い、そして人生初のファッションショー、と舞台は時系列に連なっていく。時折通路も使う。常識に囚われないデザイン、「みんな、これに喝采したの?ひどい趣味」という字幕が。拍手もあれば批判もある、だが、時代はゴルチエにとっては追い風、次々とクリエイティブなものを生み出していく。
ダンス、フォーメーション、楽曲がとにかくかっこいい。”ファッション”に対するゴルチエの哲学、思想も感じる舞台。1980年代のゴルチエは、下着ルック、アンドロジナス、ボディコン服といった斬新な作品を次々と発表、時代を牽引。そんな時代の流れとゴルチエのファッションの歴史をショーにしてみせる。全く新しいショー、映像演出もとにかくアート。彼のファッションを彩る楽曲と映像と照明、目眩く舞台、本当に唯一無二の作品であることには違いない。
初日に先駆けて、レッドカーペットおよび公開プレスコールが行われた。この日のためにジャンポール・ゴルチエご本人が来日。そして日本公演スペシャルゲストとして本編に登場する、城田優、ナジャ・グランディーバ、七海ひろき、美弥るりか、さらに、スペシャルサポーターとして塩野瑛久も登壇。
ロビーにレッドカーペット、まずはジャンポール・ゴルチエご本人が登壇。パネルのキービジュアルを指して「これは若い時のです」と言い、作品については「エンターテインメントです」と語る。1975年に初めてパリコレに。「(自分自身の)半生を描いています」と作品について語った。
10代後半だった1970年にピエール・カルダンのもとでキャリアをスタートさせ、1976年に自身の名を冠したブランドを立ち上げた。オンワード社の強力なバックアップを受けて事業規模を急速に伸ばし、1980年代に入ると早くもパリコレのトップデザイナーへと成長。またオンワードとの関係としては1981年にライセンス契約を結んでいる。1980年代、ゴルチエの人気、この時代を知ってる世代は大きく頷ける。「ぜひ、楽しんで」とゴルチエ。
それから、日本公演スペシャルゲストとして本編に登場する、城田優、ナジャ・グランディーバ、七海ひろき、美弥るりか、さらに、スペシャルサポーターとして塩野瑛久がレッドカーペットに登場。皆、個性的なファッションで!
合同取材会では、皆、どれだけゴルチエが好きかアピール。塩野瑛久は私物のメガネがゴルチエ、美弥るりかは宝塚歌劇団在籍中の好きなブランドがゴルチエ。城田優はスカーフなどなど。そしてスペシャルゲストとして登場する面々に共通することは「まさか、ゴルチエのショーに出演するとは!」と言うこと。なんといっても『世界のゴルチエ』、気合いの入ったファッション。それを見たゴルチエは「自由なファッションを楽しんでいるのがわかります。楽しみながら個性を披露していてすばらしいと思います…自分が楽しむことが重要」と語った。ファッションの楽しみ方、まず自分が楽しいかどうか。七海ひろきは「自分の気持ちを上げてくれる」とコメント。ナジャ・グランディーバは「スーパーモデル大好き、ファッションショー大好き、女装はじめました。(今回の参加は)夢のよう」と感慨深げに。観劇する側だけでなく、舞台に上がる側にとってもスペシャルなショー。必見な作品、東京は6月4日まで。その後、大阪は7日より11日まで。
オフィシャルインタビュー
ジャンポール・ゴルチエ:
日本でのショーを実現することは私にとって長い間描いていた夢でもありました。というのは、自分がファッションの世界で活躍するきっかけを作ってくれたのは日本の企業だったんです。それから何度も日本に訪れていますが、自分にとって世界で最も心に魅力を感じているのは日本です。
デザイナーになりたての頃は、何もないところから始めたので、2年間本当にお金がなくて困っていた状態でした。そんな中、私がファッションの世界で活躍するきっかけになった出来事というのが、パリにあった「バスストップ」というお店との巡り合いです。ここでデザイナーとして発揮することができました。最初はパリコレをやりましたが、次第に日本でもライセンス契約を結ぶことができ、「オンワード樫山」とはファミリーの一員のような長い付き合いをずっと続けており、先ほどお話しした自分がファッションの世界で活躍するきっかけを作ってくれた日本の企業でもあります。
私は半世紀デザイナーとしてキャリアを積み重ねてきましたが、引退をした後も何かやりたいと考え、新しい挑戦としてエンターテインメントのショーを手掛けてみたいと思いました。そこで、今までファミリーだった「オンワード樫山」の現名誉会長の廣内武さんがぜひ、自分たちも貢献したいとおっしゃってくださり、今回の日本公演が実現しました。
私がデザイナーとして最初に修行をしたところは、『ピエール・カルダン』でした。当時の『ピエール・カルダン』では、日本人のアシスタントデザイナーの方もいらっしゃいましたし、有名なモデルさんや日本の方々、カメラマンといった方がいました。そういった人たちと仲良くなり、日本の文化や日本食を教えていただきました。若い時から私は日本文化に興味を持って日本との関わりというものをずっと考えてきました。また、最初に私の師匠になっていただいた方が『ピエール・カルダン』のアシスタントデザインをされていた日本人女性で、その方の影響も非常に多くあります。
Q.今回のショーで気に入っている場面はありますか?
ジャンポール・ゴルチエ:
『ファッション・フリーク・ショー』は私自身の半生を描いているのですが、その中でも最も印象的なシーンは、私のデザイナーのパートナーとなっていたフランシス・メヌージュがエイズになり亡くなってしまったことです。彼と二人でブランドを立ち上げてきたので、最初の出会いの部分や最後の場面は自分にとって非常に印象的なことですし、ストーリーの中でも最も大事なシーンでもあります。
Q.選曲はどの程度関わっていらっしゃるのでしょうか。
ジャンポール・ゴルチエ:
ショーのバックサウンドいつもは自分が選んでいたので、今回も今までと同じように各場面の音楽は自分で選曲しました。フューチャーしたのは、「ナイル・ロジャース」なんですが、これは70年後半から80年代のディスコの時代で、自分にとって非常に印象に残っている時代になります。もう一つは、楽しくリズミカルでダンスにとても向いていると思ったので、80年代のディスコ・ミュージックを選択しました。今はネオダンスといって、若い人たちが80年代のポップスの音楽に非常に興味を持っている時代なので、自分が楽しかった時代と同じ世代の人たちと現代の若い人たちの両方に楽しんでもらえると嬉しいです。
Q.いろんなダンスで身体表現をされていますが、特に好きな表現はありますか?
ジャンポール・ゴルチエ:
ダンスの振付は、マリオン・モタンに任せているですが、日本公演では特にファッションとミュージカルを融合したところに強調しています。後半にはステージにモデル、ダンサーを集めて、まるでファッション・ショーのようにポージングをしてもらう場面があります。それはきっと皆さんに面白いと感じていただけると思いますし、これまで海外でいくつか公演をしてきましたが、日本公演で初めて披露する場面になります。
もう一つ気に入っているのは、先ほどもお話ししたパートナーとの出会いのシーンです。ゴルチエと言えばボーダーのTシャツが有名なのですが、二人分のボーダーのTシャツに二人が中に入ってダンスをするんです。それはとてもロマンチックで、若い時の出会いが上手く表現されていると思います。
コロナ禍ということもあり、日本での公演を長い間夢を見ていましたが、このように実現することができたことを非常に嬉しく思っています。ありがとうございました。
ドキュメンタリー映画概要
『ジャンポール・ゴルチエ:フリーク&シック(原題)』
公開日程・会場:
9月29日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマカリテほか全国順次公開
出演:ジャンポール・ゴルチエ、マドンナ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ロッシ・デ・パルマ、ナイル・ロジャース、マリオン・コティヤール
監督:ヤン・レノレ
2018 / フランス / フランス語・英語・スペイン語 / 96分 / カラー / シネスコ / 5.1ch / 字幕翻訳:宮坂愛 / 映倫区分:G
© CANAL+ / CAPA 2018
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
公演概要
日程会場:
東京:2023年5月19日(金)~6月4日(日) 東急シアターオーブ
大阪:2023年6月7日(水)~6月11日(日) フェスティバルホール
CREATIVE TEAM
JEAN PAUL GAULTIER:CREATOR, WRITER, DIRECTOR AND COSTUME DESIGNER
ONIE MARSHALL:CO DIRECTOR
MARION MOTIN:CHOREOGRAPHER
SIMON PHILPS:ARTISTIC ADVISOR
FANNY COINDET:ASSISTANT DIRECTOR
PER HÖRDING:LIGHTING DESIGN
JUSTIN NARDELLA:SET DESIGN AND VIDEO CO-DESIGN
RENAUD RUBIANO:VIDEO CO-DESIGN
PRODUCERS
KATSUMI KUROIWA:President, CEO, Avex Inc / Avex Entertainment Inc. International Tour Producing Partner
GARRY MCQUINN:International Producer
THIERRY SUC:Original Producer公式WEB:https://fashionfreakshow.jp
舞台および取材会撮影:金丸雅代