ブロードウェイで絶賛!世界中で上演されたミュージカル『アナスタシア』、記憶を無くした主人公アーニャが、自分の過去を取り戻し、愛する家族と自分の心の帰る場所を見つける旅路を描いた、大人から子供まで楽しめる愛と冒険に満ちた作品。
2020年のコロナ禍で大半の公演が中止となった奇跡の舞台、好評上演中だ。
第70回アカデミー賞で歌曲賞、音楽賞にノミネートされたアニメ映画「アナスタシア」に着想を得て制作されたミュージカル。ブロードウェイ公演は、2017年3月にプレビュー公演を経て、4月に開幕後、2019年3月まで2年間にも及びロングラン上演された。
出だしは1906年、場所はロシア帝国の首都、セントペテルブルク。頭にリボンをつけた少女とその祖母。少女はアナスタシア、皇女。祖母はマリア皇太后(麻実れい)。孫娘にオルゴールをプレゼント。「可愛いアナスタシア」オルゴールの音色に合わせて“Once Upon A December(遠い12月)”を歌うアナスタシア。幸せなひととき。だが、時代は変わる。1917年、世界史の授業でも習うが、革命が勃発、ロマノフ王朝の崩壊。スピーディーに展開、逃げ惑う皇帝一家、だが、非情にも…皇帝一家は”全滅”。パリにいたマリア皇太后にもその悲報が届く。1927年、レニングラード。革命が起こり、生活はよくなったのか…答えは…NO。「見通しは暗いよ」という人々、ボリシェヴィキの支配。そんな中、ある噂が…皇女アナスタシアが実は生き延びている、アナスタシア生存説は20世紀の最も有名な謎の一つ、数多くの女性が自分がアナスタシアであると主張したと伝えられている。
そんな”アナスタシア生存説”にふとある考えが浮かんだ青年・ディミトリ(海宝直人・相葉裕樹・内海啓貴)、詐欺師のヴラド(大澄賢也・石川 禅)と賞金稼ぎを思いつく。マリア皇太后が孫娘・アナスタシアを探しており、見つけた者には報奨金を贈るという。その報奨金ほしさに手頃な娘をアナスタシアに仕立てよう、という魂胆。そこへ現れたアーニャ(葵わかな・木下晴香)と名乗る娘が現れた。
彼女は記憶消失、アナスタシアに仕立てようと色々と教え込む。そんな彼女にひたひたと危険が。政府高官グレブ(堂珍嘉邦、田代万里生、海宝直人)、偶然路上で出会ったアーニャに一目惚れ、だが、上官から彼女を探しだし、暗殺せよとの命令が下される。しかし、詐欺師2人とアナスタシアはマリア皇太后のいるパリへと向かうのだった。
多彩な楽曲、スピード感あふれる舞台転換、それは世界最高水準の高精細LED映像のおかげ。リアリティーあふれる街並み、木立ち、パリのエッフェル塔などなど、これらがどんどん!出てくる、出てくる。1幕後半の列車でパリへ行く一行のシーン、疾走感いっぱい、広がる景色。21世紀の舞台演出、こういった演出は20世紀だったら、さぞかし大掛かりな装置を拵えるんだな、きっと、と想像してしまう。
つまり、”実体”のある装置は最小限、あとは映像と照明で。よって幕前での芝居は一切ない。流れるように舞台もストーリーも進行する、だが映像がめだちすぎることはなく、観客は自然に物語の世界に引き込まれる。21世紀のテンポに合わせた演出、とも言えるだろう。また、1幕の幕切れにアナスタシアが歌うビッグナンバー、「私が私になるために♪」と歌う。
記憶喪失で自分が何者なのか、今ひとつわからないアナスタシアの”自分探し”。だが、パリに行けば見つかるかもしれない、という期待、前向きで元気の出るナンバーだ。そして2幕はパリ、時は1927年、3人ともすっかり垢抜けて(笑)、チャールストン(1920年代のイケてるダンスステップ)を踊る、ここの群舞は華やかで「2幕、つかみはOK!」といったところ。
そして、いよいよアナスタシア、マリア皇太后とご対面、という”2幕”。だが、そう簡単にいうはずもなく。また、ここでわかる”人間関係”にも注目、詐欺師・ヴラド、マリア皇太后に仕える伯爵夫人・リリー(朝海ひかる・マルシア・堀内敬子)、2人の関係が『あらま』な。そして、アーニャに心惹かれるディミトリ、そしてアーニャも満更でもない様子。そして銃を片手にパリに入るグレブ、彼の父は実は皇帝一家を銃殺した兵士であった(これは1幕で語られている)。ついにアナスタシアを見つけ出し、銃を構える、ここは手に汗握る場面。ラストは落ち着くところに落ち着くのだが、各キャラクターの感情、性格の造詣の深さ、また、パリでのシーン、二度と故郷の地を踏めない人々、楽しげに踊ったりするもそこはかとなく見える寂寥感。そしてリリー、彼女はクラブでパーティを主催、ここに裕福で高貴なロシア人亡命者が集う。ここで歌うリリーの迫力のナンバー(”Land of Yesterday”)はショーストッパーなシーンだ。
見どころをいちいち上げているとキリがないが、ラストはもちろん、バッドエンドにはならないので!アナスタシアの”自分探し”、だが、アナスタシアだけではない、ディミトリやグレブらもまた、自分の生き方を探している、意識しなくても、だ。人は常に自分は何者かを問いかける、そこに感情移入もできるし、共感もする。
アナスタシアの自分探しは同時に彼女の人生の冒険でもある。ロシア革命で皇帝一家全滅は悲劇には違いない。そして時代情勢、明日のことはわからない、不透明さ。“Once Upon A December(遠い12月)”、3回ほど出てくるが、その変調、懐かしくも哀しい運命を感じさせる。公演は東京は10月7日まで。それから大阪にて19日~31日まで。公開ゲネプロではアーニャ役は葵わかな、ディミトリ役には海宝直人、ヴラド役は大澄賢也、伯爵夫人リリー役には朝海ひかる、マリア皇太后役に麻実れい。ちなみに麻実れいと朝海ひかるは元宝塚歌劇団雪組トップスター、新旧元トップの共演であった。
概要
公演名:ミュージカル『アナスタシア』
日程・会場:
東京公演
2023年9月12日(火)~10月7日(土) 東急シアターオーブ
大阪公演
2023年10月19日(木)~31日(火) 梅田芸術劇場メインホール
スタッフ:
[脚本]TERRENCE McNALLY(テレンス・マクナリー)
[音楽]STEPHEN FLAHERTY(ステファン・フラハティ)
[作詞]LYNN AHRENS(リン・アレンス)
[振付]PEGGY HICKEY(ペギー・ヒッキ―)
[演出]DARKO TRESNJAK(ダルコ・トレスニャク) 他
キャスト:
葵わかな・木下晴香/海宝直人・相葉裕樹・内海啓貴/堂珍嘉邦・田代万里生/大澄賢也・石川 禅
/朝海ひかる・マルシア・堀内敬子/麻実れい
五十嵐耕司・伊坂文月・井上花菜・工藤 彩・熊澤沙穂・小島亜莉沙・酒井 大・杉浦奎介・渡久地真理子・西岡憲吾・
武藤 寛・村井成仁・山中美奈・山本晴美
内 夢華・鈴木蒼奈・戸張 柚
草場有輝・篠崎未伶雅(スウィング)
問合せ先:梅田芸術劇場(10:00~18:00) (東京)0570-077-039/(大阪)06-6377-3800
公式HP:https://www.anastasia-musical-japan.jp/
公式Twitter:@AnastasiaJapan
公式Instagram:anastasiathemusical_japan
企画・制作:梅田芸術劇場
東京公演主催:梅田芸術劇場・フジテレビジョン
大阪公演主催:梅田芸術劇場・関西テレビ放送