NISSAY OPERA 2023『マクベス』もうすぐ開幕

『マクベス』(Macbeth)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラ、11月11日、12日、沼尻竜典指揮、粟國淳演出で上演される。
ストーリーは説明不要なくらい有名、言わずとしれたシェイクスピアの有名な四大悲劇、オペラは4幕、最初に短い前奏曲がある。
スコットランドの荒野、雷鳴、戦い、黒いマントのコロス、仮面を被っている。枯れた木、この木の一部が動き出すのだが、そのふわっと動く瞬間はこれから起こる物語を予見させるに十分。魔女たちがダンカン王の二人の戦士マクベスとバンクォーに予言を告げる。マクベスには“いずれスコットランドの王になるお方”、バンクォーには“将来の王の父となるお方”と言う。マクベスは元々は王に忠実な将軍だったが、魔女の予言によって欲望が頭を擡げる。2人だけになったマクベスとバンクォーの二重唱は2人の想いが伝わるところ。

そして、こちらも有名、マクベスの妻、王座への執着に取り憑かれてしまい、その野望を実現すべくメラメラと闘志を剥き出しに、ついにマクベスはダンカン王を殺してしまう。そして魔女のバンクォーへの予言に不安を感じ、バンクォーとその息子を殺害しようと企むが、バンクォーは殺害できたが息子は逃げてしまった。そしてもはや、全てが敵に見えてしまったマクベスは妄想と亡霊に悩まされ、破滅へと向かう、これが大体の流れ。


聴きどころは枚挙に遑がないが、1幕の終わり近くの六重唱、一同が復讐を誓うところ、最初はアカペラから始まってオーケストラが加わり、壮大なアンサンブルになるところは圧巻。また、マクベス夫人が罪を重ねる決意をする、まさにこの後の狂気の序章といったところ、ここで歌われる楽曲も聴きどころで表現力が問われる。国王就任を祝う祝宴のシーン、「乾杯の歌」華やかだが、そのあとは次第に…マクベスはバンクォーの亡霊を見て半狂乱。

一同はマクベスへの不信感を抱く。そこからは坂を転げ落ちるようにマクベスと夫人は破滅へ。マクベス夫人が、血に染まった手の幻覚に襲われ、手を擦る、有名なシーン、「ここにまだ染みがある…」と歌う(「夢遊病のアリア」)、衣装は白いドレスに血の色のショールのようなもの、それが落ちてまるで血が…迫真の演技と歌で。

そして夫人が死んだことを聞いたマクベスはもはや戦うのみ、人生の悲哀を歌い、兵士がバーナムの森が迫っていると彼に告げる。そしてマクダフとの対決、アクションシーン。「女の股から生まれた者にマクベスは殺せない」と予言を受けていたが、マクダフは帝王切開で生まれたことを知り、万事休す。辞世のモノローグ、哀しみと憐れみを感じる場面。最後はマクベスの死、勝利とマルコムが王となることを讃える合唱「国王に幸あれ!」が高らかに歌われる。
衣装は白と黒のモノトーンが基調、狂気を感じさせるところに”赤”が使われる、その”赤”が強烈に感じる。セット、枯れ木はシルバーっぽい色、それが実は様々な表情を見せる。天井に上がった時は、不穏な雲のようにも見える。黒マントのコロス、不気味さを視覚的に見せる。

また、ダンサー陣の卓越した身体能力、妖しさをたたえたり、あるいは不思議な空気感を作ったり、ステージングが秀逸。「マクベス」、オペラに限らず様々な演出があり、また、奇しくも「レディマクベス」も上演中、クリエイターの意欲を掻き立てる「マクベス」、ヴェルディは19世紀を代表するイタリアのロマン派音楽の作曲家、1847年3月、初演でヴェルディは38回カーテンコールに立ちあったと言われている。日生劇場では実に53年ぶり、新制作。なお、11月10日には舞台フォーラムで、「マクベス」の演出・美術・衣裳・照明についてのレクチャーが行われる。

イントロダクション
スコットランドの将軍マクベスは、戦場からの凱旋の途上で魔女たちに遭遇し、「いつか王になる」という予言を受ける。
野望に燃えるマクベスは夫人と共謀して、国王ダンカンと、同じく魔女から「王の父」になると予言を受けた戦友バンクォーを殺害する。
暴力によってスコットランド王の地位を手に入れたマクベス。しかし、即位の宴席で、手に掛けたバンクォーの亡霊を見たマクベスの心は、
しだいに恐怖によって支配されていく。かつての英雄は、独裁者として暴政を敷くようになり……。

概要
日程・会場:2023年11月11日(土)・12日(日)日生劇場
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
台本:フランチェスコ・ピアーヴェ
(原作:ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』)
指揮:沼尻 竜典
演出:粟國 淳(日生劇場芸術参与)
管弦楽:読売日本交響楽団
出演:
11月11日
マクベス:今井 俊輔
マクベス夫人:田崎 尚美
バンクォー:伊藤 貴之
マクダフ:宮里 直樹
マルコム:村上 公太
侍女:森 季子
11月12日
マクベス:大沼 徹
マクベス夫人:岡田 昌子
バンクォー:妻屋 秀和
マクダフ:大槻 孝志
マルコム:髙畠 伸吾
侍女:藤井 麻美
両日
マクベスの従者・第一の幻影 他:後藤 春馬
マクベスの従者・第一の幻影 他:金子 慧一
第二の幻影:田浦彩夏
第三の幻影:大木美枝
ダンサー(両日)
西田 健二 吉﨑 裕哉 中村 駿 鈴木 遼太 永森 祐人 高橋 佑紀 小川 莉伯

美術・衣裳:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:大島 祐夫(A.S.G)
振付・ステージング:広崎 うらん
合唱指揮:須藤 桂司
演出助手:上原 真希
舞台監督:幸泉 浩司(アートクリエイション)
副指揮:喜古 恵理香・ 松村 優吾
コレペティトゥア:平塚 洋子・経種 美和子

公式サイト:https://www.nissaytheatre.or.jp/schedule/macbeth2023/

撮影:三枝近志