2021年入所の第17期生が、修了公演としてテネシー・ウィリ アムズの一幕劇に挑戦する。
今回上演するのは、1930 年~1940 年代に書かれた、『坊やのお馬』『踏みにじられたペチュニア事件』『ロング・グッドバイ』の3作品。工業化が進み急速に変化を遂げる当時のアメリカを舞台に、脱却できない日々の閉塞感の中で懸命に生きる人々の 姿を描く。
流れ続ける時間、変化し続ける時代の中に取り残され、ただ立ちすくむことしかできない、孤独な魂たち。
その等身大の葛藤を、宮田慶子演劇研修所長の演出のもと濃密 な会話劇で。
コロナ禍に立ち向かいながら3年間の研修に励んできた第17期生の集大成となる。
上演作品あらすじ
『坊やのお馬』
アメリカの大都会、工場地帯にある安手のアパートで暮らす、工場労働者のムーニーとその妻ジ ェーン。二人の間には乳飲み子がいる。ジェーンと暮らすまではカナダで木こりをしていたムー ニーは、夢のない、機械のように働くだけの生活に苛立ち、落ち着きがなく、早朝から台所を歩 きまわっている。現実生活のやりくりに精一杯のジェーンと、自由にあこがれるムーニー。二人 は永遠に会話がかみ合わない。ムーニーは、この泥沼の生活から脱して、木こりの生活に戻ろう と決意する。
『踏みにじられたペチュニア事件』
ボストン文化圏のなかにあるマサチュセッツ州のプリマンプロパーという町で、「シンプル小間物 店」を経営しているミス・ドロシイ・シンプル。早朝、彼女はその店を開けひどくいきりたって いた。大事に育てたペチュニアの花々が踏みにじられていたのだ。警察に被害を訴えるドロシイ。 そこに、自分がやったと言い放つ若い男が現れる。 ペチュニアを踏みつけただけでなく、ドロシイの心のなかにも土足で入り込んでくる男。次第に ドロシイはこの男の言う通りに行動する。
『ロング・グッドバイ』
アメリカ中西部の大都市の真ん中にあるうらぶれた共同住宅で、売れない小説を書いて暮らすジ ョー。彼は今日、生まれてから 23 年間ずっと暮らしてきたこの部屋に、別れを告げようとしてい る。治療費の支払いに怯え 300 ドルの保険金を残して自殺した母。貧しいことに耐えられず家を 出た妹。家では一言も発さず毎晩ソファーに座っているだけだったが父も、突然行方をくらませ た。運送屋たちが思い出の家具を運び出すと、過去の記憶が甦る。
概要
新国立劇場演劇研修所 第17期生修了公演 流れゆく時の中に -テネシー・ウィリアムズ一幕劇-
『坊やのお馬』『踏みにじられたペチュニア事件』『ロング・グッドバイ』
日程・会場:2024年2月6日(火)~11日(日・祝) 新国立劇場小劇場
作 :テネシー・ウィリアムズ
演出:宮田慶子
翻訳:鳴海四郎 (坊やのお馬) / 倉橋 健 (踏みにじられたペチュニア事件/ロング・グッドバイ)
美術:土岐研一
照明:中川隆一
音響:信澤祐介
衣裳:西原梨恵
演出助手:日沼りゆ(第15期修了)
舞台監督:松浦孝行
出演:新国立劇場演劇研修所 第17期生
飯田桃子 小林未来 佐々木優樹
田崎奏太 立川義幸 根岸美利 樋口圭佑
新国立劇場演劇研修所修了生
二木咲子(第1期修了)
須藤瑞己(第15期修了)
ギター演奏 伏見蛍
演劇研修所長:宮田慶子
宣伝美術:荒巻まりの(第8期修了)
主催・制作:新国立劇場
新国立劇場演劇研修所ウェブサイト:https://www.nntt.jac.go.jp/dramastudio/
演劇研修所修了生の出演情報:https://www.nntt.jac.go.jp/play/training/graduate/info/