数々の演劇賞を受賞したブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』が`24年3月に豪華キャストで日本初演。日生劇場60周年イヤーの締めくくりを飾る。
`01年の同時多発テロの裏で起きた実話を基にしたストーリー。今回、25歳以下限定のチケットが発売されるほか、視覚・聴覚に障害のあるお客様への鑑賞サポートが実施。
来月の7日に初日、絶賛稽古中、稽古場での取材会が行われた。
まず、シーンの披露、最初はM1 Welcome to The Rock、「ザ・ロックへようこそ」冒頭の場面、全員が登場する、歌う、俳優陣が演じるキャラクターがここで大体、わかる。スピード感もあり、また、ストンプで印象的な場面に仕上がっている、稽古が快調な様子が伝わる。
演出家が細かいところを指示、そしてまた再び。披露しているとはいえ、リアルに稽古。メインで歌唱していない俳優陣、実は細かく演技、これはいくつ目があっても足りない(笑)、振付家からの細かい動きの指示もある。その場でやってみせ、それを俳優陣がなぞる作業。目線の使い方、手の先までの”演技”だんだんと出来上がっていく、その過程を見せてくれる。
最後に披露されたのは、M10 Screech In 「ラム酒を飲め」、皆で酒を飲む陽気な場面、タラへ接吻することを意味する。ニューファウンドランドで継承されている新来者に対する歓迎儀式。
新来者はタラにキスをし、住人から「お前さんはスクリーチャーなのかい?」と聞かれる。「Deed I is, me old cock, and long may your big jib draw!(もちろんだ友よ。君の船に常に追い風が吹くことを願う)」と答えなければならない。通常、この儀式はパブで行なわれる。
スクリーチ(ラム酒の一種)をショットで飲み干すと、「ニューファウンドランド・スクリーチャーズ王室政令」に基づき、スクリーチャー認定証が授与される。よってタラ(鱈)が登場、だが…魚臭い(笑)、皆、楽しそうにやるも、その臭さ、俳優陣の「臭い!!」のリアクションがそれぞれなので、ここは大いに笑って見るシーン。
カム・フロム・アウェイ(Come From Away)の楽曲は伝承されてきたケルト民謡、英国諸島色の濃いフォークロック楽譜、そして世界のミュージックがブレンドされた歌曲が多く、また楽器も独特のものが登場する。なかなか見ない楽器、バウロンなどがでてくるので、こちらもチェックしたい。
この作品は主演という位置づけの役者がおらず、ソロナンバー(独唱)がほどんどいない。主役がいない舞台のことをミュージカルでは“アンサンブルミュージカル”と言う。役者紹介では12人全員が「代表的な役名+その他」と紹介されており、何百人にものぼる登場人物を12名で演じ分けているので、トニー賞の主演男優賞と主演女優賞の選考対象者もなく、公演終了後のカーテンコールの並びでも、役者12名が平等の配置。舞台演出では衣装替えはほとんどなく、小道具、ナレーション、演技、そしてアクセントの使い分けのみで、何百人もの登場人物を演じ、絶え間なく役が入れ替わる。変化する舞台環境の中、どの役にもそれぞれ個性と見せ場があり上手く役割を配分。ガンダーの住人と乗客・乗員の日常から非現実的な事件を、リアルに演じる個性豊かな役者に注目。
公開稽古が終わり、キャストが挨拶、皆、座組みの良さをアピール。また、稽古も順調に進んでおり、安蘭けいは「笑いの絶えない稽古場」とコメント、皆、大きく頷く。「これからどんどん良くなる」と手応えも。石川禅は「歴史に残るミュージカル」とコメント。シルビア・グラブは「濃いメンバー」と言い、「合宿みたいな稽古場で楽しんでます。笑いがあり、楽しみながら作り上げています」とコメント。橋本さとしは「2曲でかなり疲れました」とコメントし、皆の笑いを誘う。「皆さん(取材陣)が来てくださって気合い入りました!今日は全部歌いました!うまいこと編集して宣伝、よろしくお願いします」とアピール(笑)。また、この座組み、平均年齢が高め、濱田めぐみは「大体はいつも年長なのですが、今回は中堅どころです(笑)。和気藹々とした稽古場、ハイエネルギーのまま、初日を迎えたい」と意気込みを。森公美子は「踊りを少々間違えた森です…私も引退をかけて、膝をしばいて頑張っています」とやや自虐的な(笑)。「このメンバーで多分これ、全員が揃っては今回だけかもしれないと…」と言い、加藤和樹も「再演が難しいキャスト」とコメント。吉原光夫は「辛い状況で人にどれだけ優しく出来るのかがテーマ」と語り、「元々僕は愛が深いですが、精進しています」とコメント。稽古の熱量について柚希礼音は「朝から晩までクタクタになってお稽古してます」とコメント、パワー100%で日々稽古。最後に演出家のクリストファー・アシュリーより「何度でも観ていただきたい」と挨拶。公演は3月7日より。
フォトセッションの後、町長役の橋本さとしが!締めを!「ポンコツ町長でないことを〜」と言い(笑)、キャスト陣から大きな笑いが。
物語
9月11日
あの日、世界が停止した。
9月12日
ある小さな町で起きた奇跡の物語。
この物語は私たちに、世界に希望を与えた。
2001年9月11日、ニューヨークで同時多発テロ事件の発生。アメリカの領空が急遽閉鎖された。目的地を失った38機の飛行機と7,000人の乗客・乗員たち。行き場のない38機の飛行機は、カナダのニューファンドランド島のガンダー国際空港に降り立つ。
カナダの小さな町。わずか1万人の人口は一夜にして約2倍となった。人種も出身も様々な人々はこの地でどんな5日間を過ごし、飛びたつのか―
概要
<東京公演>
期間:2024年3月7日(木)~29日(金)
会場:日生劇場
主催・企画制作:ホリプロ
※大阪、愛知、福岡、熊本、群馬公演あり
<キャスト>(五十音順)
安蘭けい
石川 禅
浦井健治
加藤和樹
咲妃みゆ
シルビア・グラブ
田代万里生
橋本さとし
濱田めぐみ
森 公美子
柚希礼音
吉原光夫
スタンバイ:
上條 駿、栗山絵美、湊 陽奈、安福 毅
<スタッフ>
脚本・音楽・歌詞:アイリーン・サンコフ/デイヴィッド・ヘイン
演出:クリストファー・アシュリー
ミュージカルステージング:ケリー・ディヴァイン
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
■レジデントチーム
音楽監督:甲斐正人
演出補:田中麻衣子
振付補:青木美保
美術補:石原 敬
照明:日下靖順
音響:山本浩一
衣裳:阿部朱美
ヘアメイク:鎌田直樹
ステージマネージャー/プロダクションマネージャー:徳永泰子
テクニカルディレクター:清水重光
演出助手:西 祐子
音楽監督助手/キーボードコンダクター:竹内 聡
歌唱指導:やまぐちあきこ