2010年(日本では2013年)に出版されるや、かつて無い独創的な世界観が大きな話題となったカナダの小説「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」。一見、突飛に思える“妻が縮む”や“夫が雪だるまになる”“老いた母が98人に分裂する”などのファンタスティックな設定が、現実社会の様々な事象のメタファ(暗喩)となっており、読み解こうとすればする程さまざまな解釈を呼んだ。
そんな“舞台化不可能”とも言えるファンタジー小説を、演劇界の名匠G2が10年の構想を経て世界初の舞台化。
主演は「エリザベート」「マリー・アントワネット」などでタイトルロールを務めた日本のミュージカル界のトップ・花總まりと俳優のみならず司会としても絶大な支持を得る谷原章介。初共演となる“美しい夫婦”二人が日常のすれ違いやもどかしさ、そして「事件」から起きる夫婦関係の変化を丁寧に紡ぎます。更に、花總まりは物語の中で歌唱も。花總まりはステイシーという役名があるが、谷原章介は「僕」、そのほか銀行強盗も刑事も役名はない。それだけでも一風変わった作品であることがわかる。
開幕に先駆けて簡単な会見が行われた。登壇したのは花總まり&谷原章介。
花總まりコメント
「この作品は『舞台化は難しいんじゃないか』言われていましたが、いよいよ皆様にこの物語をお届けすることができます。この舞台を作るために、キャスト・スタッフ総動員で一生懸命やってきたので、作品が持つ力、カンパニーが持つ力を感じていただけたらうれしい。今までさまざまな難しい役を演じてきましたが、ステイシーは、自分をだましながら演じないといけない部分が多い役。今回は体が縮んでしまうという種類の違う難しさです。イメージをつかむのが難しい作品ですが、さすがはG2さん! 不可思議な作品を手がけたらNo.1の演出家さん。ユーモアを交えて演出してくださり、お客様にもわかりやすくなっています。この物語を皆さんにお届けできることがうれしい。共演の谷原さんは、最初は近寄りがたいのかなという印象があったけど、全然そんなことなくて。大らかででポジティブな方で、現場が疲れてくると『よし、やるぞー!』と。自分に言っているのかみんなに言っているのか分からないですが、皆を元気づけてくれて有難いです。安心感があります」
縮んだら、なにをしたいか
「物語のように身体が縮んだら、鳥の背中に乗って冒険に出かけたいです(隣で「夢があるね!最高の答えだ!」と絶賛」
谷原章介コメント
「どう取り組んだらいいか迷いながら、あっという間の5週間…稽古してきました。やりとりするセリフは少ないんですけど、夫婦として良い形は作れたかなと思います。花總さんはとてもすてきな役者さん。やわらかい印象の方で、それは今も変わらないのですが、関わっていく中で…芯がすっげぇ強いんですよ。人に求めるのではなく、自分に求めることに芯が強くて、自分に厳しいからこそ、いままでやってきたんだと思います。この舞台は役者、ダンス、映像など、色々な分野の方の力が結集しています。食べ物に対してすごく気を使ってて、駄菓子の差し入れをしたら袋の裏を見てこれは一番上に書かれているものが含有量が多いってことだから』って教えてもらいました(笑)。(花總が演じる)ステイシーが、アカペラで美しい旋律を奏でるところがあるんですけど、そこが大好きです(隣で「ハードルを上げないで」と(笑))。G2さんが演出する作品は余白が多い。本作も、お客様がイメージを膨らませやすく、深い考察ができる舞台です。ダークでシリアスな、そしてユーモアのある物語。G2さんがおっしゃるには『本作はコメディ』。観客の方がイメージを膨らませて、深く創造・考察ができる舞台となっております。舞台転換も多く、僕も客席から観たいなという作品。ぜひ、お楽しみにしてください」
縮んだら、なにをしたいか
「僕は身長が大きく、普段は体を縮めて舞台や野球を観に行くと体を縮めて小さくならなきゃいけなくて…縮んだらのびのびと試合を楽しみたいと思います」
エイプリルフールの嘘
谷原章介「今日、初日休演いたします。ゲネプロから初日公演を迎えるので、二日落ちみたいになるのが怖いな…(隣で「それはないと思います。けれど、明日に廃人のようになっているかも(笑))」
あらすじ
その日その銀行には、13人の人々がいた。
突如現れた風変わりな強盗(平埜生成)は
天井に向けて一発の銃弾を放つと、こう言った。
「今持っている物の中で最も思い入れのある物を差し出せ」
先頭に立っていた男が100ドル札を出すと、
強盗はそれを破らせ再び口を開いた。
「言葉の意味をよく考えろ。最も大切な物を差し出すんだ」
13人それぞれが思い出の品を渡すと、強盗はこう告げ、姿を消した。
「私はあなた達の魂の51%を手にした。それによりあなた達の身に奇妙な出来事が起きる。
自ら魂の51%を回復しない限り、命を落とすことになるだろう」
かくして13人の被害者達に信じられないような出来事が起きる。
デイビッドの年老いた母親は98人に分裂し、
ドーン(入山法子)は足首に彫ったライオンのタトゥーが体から抜け出し、
24時間追い回されるハメに遭い、
ジェニファーは自宅の居間で神と遭遇した…。
自らも被害にあった刑事(栗原英雄)は被害者達を集めるが、
解決の糸口は見つからず、新たな“不思議”が起き続ける。
目に見えた被害に見舞われていなかったステイシー(花總まり)だったが、
ある晩、自分が少しずつ縮み始めていることに気づく。
夫(谷原章介)は気のせいだと笑うが、縮んでいくペースを計算し、彼女は知る。
八日後には自分が消えてしまうことを――。
それにより、すれ違いの続いていた夫婦関係が変化、
やがて奇跡が訪れる――。
概要
舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』
日程・会場
東京:2024年4月1日(月)~4月14日(日) 日本青年館ホール
大阪:2024年4月20日(土)~21日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
名古屋:2024年4月26日(金)〜28日(日) 御園座
出演
花總まり 谷原章介
平埜生成 入山法子 栗原英雄
中山祐一朗 吉本菜穂子 幸田尚子 楢木和也 西山友貴 吉﨑裕哉 山口将太朗 山根海音 黒田勇 須﨑汐理
スタッフ
原作 アンドリュー・カウフマン
脚本 / 演出 G2
主催 TBS / ローソンエンタテインメント
© 2010 by Andrew Kaufman
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