髙地優吾 初単独主演舞台 ニール・サイモン『Come Blow Your Horn ~ボクの独立宣言~』開幕

真逆な兄弟。

ニール・サイモンが3年半の歳月をかけたブロードウェイ デビュー作「Come Blow Your Horn ~ボクの独立宣言~」が10月に新国立劇場にて上演。髙地優吾(SixTONES)の初の単独主演作品となる。出演は、忍成修吾、岡本玲、松井愛莉、⾼岡早紀、⽻場裕⼀。

日本でも人気が高い、アメリカを代表する劇作家ニール・サイモンのブロードウェイのデビュー作『Come Blow Your Horn』を原作とするコメディ。映画化もされ、日本でも幾度となく上演された作品。
兄に触発されプレイボーイに変わっていく、控えめで内気な主人公バディ・ベーカーを演じるのは、SixTONESのメンバー、髙地優吾。プレイボーイで独身生活を謳歌するバディの兄アラン役には忍成修吾。アランの本命の恋人コニー役には岡本玲、女優志望でバディを誘惑するペギー役にはこの舞台が舞台初出演となる松井愛莉。バディとアランの母ベーカー夫人役には高岡早紀。バディとアランの父ベーカー氏役に羽場裕一。

イケイケなアラン。

兄のアランが登場する、イケイケな雰囲気、とにかくモテモテ、ト書きには「ハンサムで切れる33歳の独身」。いわゆるプレイボーイで22歳のマギーを自分のアパートに誘い込むところから始まる。女優志願のペギーに自分は映画のプロデューサーの友達がいると嘘をつき、それを餌に彼女を誘う(あかん奴)。

女優志望はあざと可愛く(笑)。
真面目は弟、父親がうるさく厳しいので兄の家に転がり込んでくる。
真逆な兄弟。
アランの本命の彼女・コニー。アランはもう少し独身を謳歌したいと思っている。
かなり困ってる!

そんなアランの元に弟・バディが転がり込んでくる、兄とは真逆で真面目、奥手。両親、とりわけ父親からあれこれ指図されてうんざりして家を出たのだった。そんな弟を兄は歓迎。“人生をエンジョイしろ”(Come Blow Your Horn)と言う。そんなアパートにもう一人来客が、それは…母親。次男が家出したので、心配に。控えめな古風な女性、子供たちを愛している。

マダムっぷりがハマる高岡早紀。
厳格、昔気質な父親。

父は厳格で頑固で昔気質。会社経営をしており、息子二人にも働かせているが、バディが兄アランと同じような道楽息子になってしまうのではと心配。アランには恋人・コニーがいる、こちらが本命だが、モテモテ人生を謳歌したいがためにコニーをはぐらかしてばかりいる。
コメディなので、当然、バッドエンドにはならないのだが、そこに至るまでのドタバタと葛藤、そこにすれ違いや勘違い、嘘も重なって、多重な笑いを巻き起こすのが、ニール・サイモンの作品の特徴で、ストーリーは全てアランのアパートの部屋で展開される。今、来ちゃ困る人が訪ねてきたり、わちゃわちゃてんやわんやの時に電話は鳴るし、母親が電話に出てわけが分からず、電話の内容を聞かれるも「忘れた」(笑)。そしてプレイボーイの兄と生真面目な弟、これが2幕になると…キャラが逆転!

すごいキャラ変!
「誰?」っていうくらいの変わりよう。

地味な服装だった弟・バディは派手なジャケットを着て、ちょっと”業界人”風味な出立ち。マギーに対して嘘をつく(あかん奴)、一方の兄のアランは地味なスーツで髪は七三分けで真面目に仕事。母親の服装はいかにも”マダム”風で、父親は派手さはないが仕立ての良い服。登場人物たちの服装が時代とキャラをビジュアル的に見せてくれる。若いマギーは流行りの服を、コニーは品の良い明るい色の服、アランの部屋のインテリア、棚にずらりと並んだお酒で彼の趣味も垣間見える。

タジタジ。

1幕では、2幕で起こる”すったもんだ”な展開を予測させてくれる伏線が張り巡らされており、休憩を挟んでの2幕で「やっぱり」「そうくるか」「どうする?」とあれこれ思いながら単純に楽しめる。配役も適材適所、真逆だが、仲の良い兄弟、アラン&バディは忍成修吾と髙地優吾が息のあったやり取りを見せてくれるし、女優志望のペギー、松井愛莉が時にはあざと可愛く、本命恋人のコニーは岡本玲、ヤキモキした表情がキュートでコニーの心情を端的に表現。兄弟の両親、母親役の高岡早紀、品の良さとちょっと天然な可愛さ(受話器をとってあたふた)で、その夫である羽場裕一はいかにも頑固、堅物、融通が効かなそうな、でも見た目は”イケオジ”、ラスト近くの愛全開は微笑ましい。
ニール・サイモンの処女作であり、名作、BWでは1961年2月22日初演。映画は1963年、フランク・シナトラ主演で製作、日本での上演は数えきれないぐらいだが、データによると1989年に博品館劇場矢崎滋、綾田俊樹他で上演され、最近では2016年に井上芳雄、間宮祥太朗他で上演、これ以外にもきっとかなりの数が上演されているに相違ない。名作『Come Blow Your Horn』、人生で絶対に一度は見ておいた方が良い作品だ。

ゲネプロ前に会見が行われた。キャスト全員が登壇した。コメントは以下の通り。

髙地優吾
昨日の夜まで役と向き合っていたのですが、ゲネプロが始まったら楽しくできたので良かったです!
稽古場では皆さん大人な感じでグループとは大違い、同じ 6 人なのにこんなに静かなんだ…と思いました(笑)最初は僕で大丈夫かな?と不安な気持ちもありましたが、台本が面白かったので、そこに頼って頑張ろうと。台詞も多かったですが日常会話がベースなのでそんなに苦ではなく、言葉遊びの部分は難しくもあり楽しかったです。
変貌する前の小心者のバディ君の方が得意かな?と思っていたのですが、やってみるとお調子者の方が入り込めました。新しい自分に気づけましたね。でも実際はプレイボーイではないです。
みんなで仲良く楽しく作り上げた作品です。ふらっとした気持ちで劇場に来て、笑って帰っていただければと思いますので、お待ちしております!

忍成修吾
アランと自分には共通点が全くと言っていいほどなく、役を作るにあたってはアランを見つけては失い、もう一度立て直しての繰り返しでした。
最初に登場した時は心臓がバクバクしたけれど、舞台に立てば今まで稽古してきたことを信じて走りきるだけです。東京21 公演でどれだけ心臓がもってくれるか心配ですが(笑)、お客さんに楽しんで観てもらいたいと思います。

羽場裕一
やっと今日開幕しますが、この舞台 は子供達の成長物語 だと思 っているので、しっかりと壁 になっていきたいなと思います。
いつも難しいことを言っている強面な父親役なので、稽古を引きずってしまって家でも奥さんに何かその言い方きついよね…なんて言われてしまって、家庭不和です(笑)

高岡早紀
散々!稽古を重ねてきて、息子二人が悩んでいる姿も散々!見てきまして(笑)パパと一緒に温かく見守りながら今日の初日を迎えました。
稽古中、皆さんが苦しんでいる姿を見るのは楽しかったです(笑)。でもそれ以上にお互いの癖を見つけて、どこか似てきて、家族になっていくのが素敵でした。皆さんに楽しんでいただける作品をお届けします。

岡本玲
本作は1960年代を舞台としたコメディなので、頭で考えず純粋に楽しんでもらえる作品だと思います。
女性が社会進出し始めた時代 ということもあるため、シナを作 ったり、ぶりっ子にしたりと女性らしさを意識して演じました。
私自身も楽しみながらワクワクして演じており、お客さんの反応も毎公演変わっていくと思うので、それも楽しんでいただけたら嬉しいです。

松井愛莉
稽古が始まってからあっという間に初日が来たなという感じです。
私は今回が初舞台なので、楽しみながらできたらいいなと思っています。
可愛らしくてぶりっ子なキャラ作りを一所懸命やっているつもりでも足りないと言われ、ちょっと苦戦しました。
みなさんが温かくて沢山アドバイスなど話しかけてくださったので心が救われました。

あらすじ
バディ・ベーカーは誕生日を期に、実家を出ることに決めた。両親に生活について指図されるのにうんざりしていたし、結婚相手すらも勝手に決めようとしていたからだ。バディと兄のアランは、二人とも父の会社で働いているが、アランは何年か前に家を出て、一人暮らしをしている。アランは本命の彼女コニーがいながら、複数のガールフレンドと付き合い、仕事もそっちのけで、気ままな独身生活を満喫している。家を出たバディは、アランのアパートに転がり込む。
社交的で女性にもてる兄と、内気なバディは、性格は似ていないが仲は良い。バディの親から独立するという決心にアランは喜び、ガールフレンドのいないバディに映画女優志望のペギーを紹介する。部屋に来ることになったペギーを待っていると、訪ねてきたのは、なんと母だった。母は、バディの家出を知った父の反応が心配で、アパートを訪ねてきたのだ。今にもペギーが来そうなので、バディは何とか母を追い返そうと、タクシーを拾いに行っている間に、アランに電話がかかってくる。母が対応するも誰にも内容を伝えられないまま帰ってしまう。
バディがハリウッドの映画プロデューサーの振りをしてペギーと話していると、今度は父が訪ねてくる。バディは「台本作家が来た。大事な話がある」と言って、うまくペギーを追い払う。父は、バディを連れ戻しに来たのだ。アランが帰ってきて3人が対立しているところに電話があり、行き違いで顧客を失ったことが分かる。父は、バディとアランを二人ともクビにして、去っていく。
3週間後、父の横暴ぶりにうんざりした母が、息子たちと一緒に住もうとやって来る。父も母のあとを追ってくる。そこへコニーも現れ、アランのことは、きっぱりあきらめることにしたと告げる。アランは心を決め、コニーに結婚を申し込み、会社のために新規契約を結んだことも父に報告する。アランとコニーと両親はお祝いに出かける。バディが約束をした新しい彼女が訪れるのを待っていると、そこに現れたのは・・・。

概要
『Come Blow Your Horn ~ボクの独立宣言~』
会期会場::
東京:2024年10月3日(木)~10月20日(日)新国立劇場 中劇場
大阪:2024年10月25日(金)~28日(月) 森ノ宮ピロティホール
翻訳:常田景子
演出:宮田慶子
配役
髙地優吾:バディ・ベーカー
忍成修吾:アラン・ベーカー
岡本玲:コニー
松井愛莉:ペギー・エヴァンス
⾼岡早紀:ベーカー夫⼈(⺟)
⽻場裕⼀:ベーカー⽒(⽗)
原作:ニール・サイモン
主催:フジテレビジョン 東京グローブ座 new phase

公式HP:https://www.comeblowyourhorn2024.jp/