ミュージカル『燃ゆる暗闇にて』が、サンシャイン劇場にて開幕。
スペインの巨匠と言われる劇作家“アントニオ・ブエロ・バリェホ”の傑作、『燃ゆる 暗闇にて』。盲学校を舞台に、とある転校生が来たことで起こる変化を軸に、「幸せ」についての真意を問い、多くの人の共感を呼んだ本作。昨年、韓国ミュージカル界における名コンビ、演出のソン・ ジョンワンと作曲・音楽監督のキム・ウニョンにより、新作ミュージカルとして生 まれ変わり、満を持して2024年10月 に日本版として初上陸する。 日本では、2年前に戯曲版を手掛けたばかりの田中麻衣子が演出を、田中とはオフ・ブロードウェイミュージカル 『Ordinary Days』以来の2作目のタッグとなる落合崇史が音楽監督を務める。
主演は、学園の中心人物・カルロス役に渡辺碧斗、転校生・イグナシオ役の佐奈宏紀と坪倉康晴のWキャストの3名。
そのほかの出演には、熊谷彩春が学園のヒロインでもあるホアナ役を。ミゲリン役に「PLAYBACK7 project」のコゴン、エリサ役に高槻かなこ、アンドレス役にダンス&ボーカルグループGENICの雨宮翔、アルベルト役に松村優、ロリータ役に菅原りこ、エスペランサ役に日髙麻鈴。学園の校長ドニャ・ペピータ役に壮一帆。
盲学校を舞台に、人と人が起こす化学反応や対立・葛藤を繊細に描き、人間の普遍的なテーマに切り込んだ本作は、1950年に上演されるとたちまち多くの演劇賞を受賞。閉ざされた学校の中で繰り広げられる、無垢な学生たちの繊細な心の動きや葛藤を、今回は更にエモーショナルなロックテイストの音楽で彩る。
風の音、音楽、学生たちが舞台上に現れ、「安全なこの場所♪」と歌う。ここは盲学校、彼らにとっては自由で危険のない場所、そのなかで不自由なく学校生活を送っている。年頃ゆえに恋愛関係になってる生徒もいる。とりわけ、カルロスとホアナは優等生カップル。「ここが一番!」と学生たち、自分たちの置かれている環境に何の疑問を持たずに日々を過ごしている。そんなある日、一人の転校生がやってくる。
杖をついて黒い眼鏡。学校では誰も杖をついていないので、彼の杖の音が響く。ここの校長・ドニャ・ペピータは校内で唯一の「見ることのできる者」。「鉄の精神」強くならなくては、と歌う。
イグナシオの考え方は盲学校の生徒たちとは真逆。学校での自由は「偽り」と思っている。イグナシオは臆せずに自分の感じ方、思っていることを吐露する。イグナシオの考え方に共感する者も出てきて、校内は不穏な空気に包まれていく。だが、カルロスは自分の信じることを曲げない。カルロスは「杖は要らない」と言い、イグナシオは「杖は俺の一部」と言う。イグナシオの演説に心揺れる生徒たち。そして、学校は混乱し、一気に結末へと、と言うのがこの作品の流れ。
2幕もので楽曲は22、歌が途切れない印象、登場する生徒たちが個性的、みんなのリーダー・カルロス、彼のガールフレンド、ホアナ、純真無垢。ミゲリンはカルロスの親友だが、イグナシオのルームメイトになり、次第にイグナシオの考え方に共鳴していく。エリサはミゲリンの彼女、イグナシオに不安を感じる。アンドレス、アルベルト、ロリータ、エスペランサ、彼らもまた、イグナシオの一挙一動に揺れ動く。迷い、傷つき、己の生き方を考える、イグナシオが学校にやってきたことで「光」への渇望が生まれる、2幕の「光、見えたなら」は彼らの光に対する想いが見える。演出、とりわけ照明も光を意識したもので、観客もまた、自分たちが実は見えていないのではないか、という想いに駆られる。
様々な解釈ができるエンディング、幸せとは?見えていても、見えていないものもある、多くのことを考えさせるミュージカル。なお、障害者向けに舞台手話通訳や字幕サポート、視覚障害者向けに舞台説明会、音声サポートも設けている。公演日により、サポート内容が異なるので、詳細は公式HPを。
ゲネプロ終了後に会見が行われた。渡辺碧斗、佐奈宏紀、坪倉康晴、熊谷彩春、コゴン、高槻かなこ、雨宮翔(GENIC)、松村優、菅原りこ、日髙麻鈴、壮一帆。
渡辺碧斗は「壮一帆さんに見守ってもらいながら、同年代のメンバーで支え合って作ってきた作品。稽古場でやってきたことを、本番でもそのまま出せれば」とコメント、壮一帆は稽古場でも”先生”。佐奈宏紀「一筋縄ではいかない脚本に、キャスト一丸となって立ち向かってきました。一言では語れない…千秋楽まで突っ走っていきたい」とコメント。Wキャストの坪倉康晴は「個人的にはWキャストは初めてです。2人のイグナシオを観に来ていただけたら」とコメント。なお、ゲネプロでは佐奈宏紀。熊谷彩春は「素敵な人たちと創り上げてきました。同世代も多く、ここで頑張ってきたものを!」と意気込んだ。壮一帆は「一人、だいぶ年上で…毎日、毎日、みんなが上がっていくところを見てました。明日から千秋楽まで、みんなをしっかり愛して、良い学校の先生でありたい」といい先生らしく。コゴンは「みんな頑張ってやってます。明日から!緊張しています」と語り、高槻かなこは「初めてのミュージカルです。みんなで一緒に」と元気よく。雨宮翔は「みんなで話し合いながら作りました。楽しんでいただけたら」とコメント。松村優は「むずかしい部分もたくさんあるので…一人一人のいろんな個性がはっきりしてる、いろんな視点で楽しんでいただけたら」と語り、菅原りこは「この作品はとても難しかったんですが、みんなで力を合わせて頑張って」とコメント。日髙麻鈴は「すごく緊張しています。みなさん個性豊かで暖かくしていただきました。最後までよろしくお願いいたします」と挨拶。
質疑応答でWキャストの印象、イメージを聞かれて渡辺碧斗は「柔(坪倉)と剛(佐奈)」だそう。他のキャストからは坪倉は「セクシー」佐奈は「ワイルド」。
最後に公演PR、渡辺碧斗は「盲学校が舞台ですが、テーマはすべての人に当てはまるものだと思います。自分の幸せを見つめ直し、考えるきっかけや、今後何かを選択するときに頭によぎるような作品になれば。一同、最後まで誠心誠意走り抜けていきますので、応援よろしくお願いします」と締め括った。
あらすじ
何かを強く願うことは「希望」か「絶望」か。誰もが心に抱く「幸せ」の正体に深く斬り込むー ドン・パブロ盲学校。「安全で自由な学校」という教育方針のもと生活する生徒たちは、皆とても幸せそうに日々を送っていた。
カルロスとホアナは、誰もが羨む優等生カップル。他の生徒たちも、まるで自分の障がいを忘れるように生きていた。 そんなとある日、転校生・イグナシオがやってくる。彼はこれまで沢山の生きづらさを感じ、悲観的かつ、希望を持たない言葉、態度に、他の生徒たちの今までの信念を揺らがせ、“自分には何かが欠けている”という現実を突きつける。
「多くを望まず、与えられた世界に満足することこそ救われる」という学校理念を信じるカルロス。「宿命の悲しみや、やるせなさを分かち合い、いつかの奇跡を信じることこそ救われる」というイグナシオ。2人の対立で学校は更に混乱を極めていきー想像を絶する衝撃的な結末が、彼らを待ち受ける。
概要
タイトル:ミュージカル『燃ゆる暗闇にて』
会期会場:2024年10月5日(土)-10月13日(日) サンシャイン劇場
演出:田中麻衣子
音楽監督:落合崇史
翻訳:吉田衣里
上演台本・訳詞:オノマリコ
In The Burning Darkness
Original Script by Antonio Buero Valljero Book & Lyrics by Sung Jong Wan
Music by Kim Eun Young
出演:渡辺碧斗/佐奈宏紀 坪倉康晴 ※Wキャスト /熊谷彩春/コゴン 高槻かなこ/ 雨宮翔(GENIC)松村優 菅原りこ 日髙麻鈴 / 壮一帆
SWING 須田拓未
※出演日など詳細は公式WEB参照
企画協力:conSept
主催・企画・製作:avex live creative
問合:https://supportform.jp/event (平日10:00〜17:00)
※詳細は公式WEB参照
オフィシャルHP https://musical-moyuru-kurayami.jp