明日海りお, 平野綾, 和希そら, 別所哲也 出演ミュージカル『9 to 5』開幕

ミュージカル『9 to 5』が10月6日、日本青年館ホールにて開幕した。

数々の受賞歴を持つ音楽界の “LIVING LEGEND”ドリー・パートンが手掛けたミュージカル『9 to 5』は2009年にブロードウェイで上演されるや大きな話題を集め、トニー賞、グラミー賞にノミネート、その後2019年にはロンドンのウエストエンドでもヒットを記録。
働く女性の仕事や恋愛の悩みを描く笑えてスッキリする傑作ミュージカル・コメディ。
日本では2012年に上演、翻訳・訳詞は青井陽治、振付に上島雪夫、演出は西川信廣、ヴァイオレット役に草刈民代、ジュディ役紫吹淳、ドラリー役、友近。ハラスメント社長フランクリン役は石井一孝。
今回の公演、演出は『キューティ・ブロンド』や『四月は君の嘘』をはじめ現在上演中のミュージカル『この世界の片隅に』など、数々の話題作を手掛ける上田一豪。
ロサンゼルスの大企業でキャリアを築くシングルマザーのヴァイオレット役にはミュージカル『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン – WAR PAINT- 』、ミュージカル『王様と私』など、主演作がすべてヒットを記録しているミュージカルスター明日海りお、グラマラスな秘書ドラリー役には歌手としてのアジアツアーも控える実力派平野綾、新入社員のジュディ役には宝塚歌劇団退団後今作が初舞台として話題を集める和希そら、横暴なふるまいを続けるハラスメント社長フランクリン役には映画、ドラマ、舞台、ラジオなどで幅広く活躍する別所哲也。
元は1980年制作のアメリカ合衆国のコメディ映画。出演はジェーン・フォンダ、リリー・トムリン、ドリー・パートン他。アメリカ国内で初週の興行収入が390万ドルを越えるヒットを記録、コメディ映画で第20位の興行収入、1980年の全米興行収入第2位を記録。

オープニング、物語の設定は1979年、最初のナンバーは映画にも出てきた名曲『9 to 5』、映画公開当時ドリー・パートンが歌唱、大ヒットした楽曲。キャストの服装が!ある一定の世代には懐かしいファッション、髪型。
メインキャラクターはヴァイオレット(明日海りお)、シングルマザーで10歳になる息子がいる。ドラリー(平野綾)、キュートでナイスバディ、新入社員のジュディ(和希そら)、ただの新入社員ではない、離婚したばかりでオフィスでの仕事に慣れない(タイプを打つ姿が笑える)。そんな彼女たちがいる会社のフランクリン・ハート・ジュニア社長(別所哲也)これが典型的なパワハラ、セクハラ、今なら、間違いなく訴えられる!ふんぞりかえって葉巻(タバコじゃない)をふかす、そばには媚びへつらう社員もしっかりいる、わかりやすいキャラクターだ。
映画が大ヒットしているので、物語の展開やオチは先刻承知、という観客もいるだろう。ヴァイオレット、ドラリー、ジュディの3人が意気投合、トンデモ社長をやっつける!というのが大体の流れ。

ジュディには電話もタイプライターもムズイ(笑)。
ドラリー、ファッションが可愛い。

とにかく荒唐無稽で爆笑につぐ爆笑シーンが「これでもか」と用意されている。社会風刺がてんこ盛りで、これを普通に表現するのではなく、”お笑い”に変えているのが、この作品の面白いところ。社長のハラスメントシーンも「ダメダメでしょう」と思いながら、ひたすら笑える。そして3人の妄想シーン、この妄想の中でフランクリンは相当な酷い目に遭わせれているのだが、同情の余地なし、と言うのもお笑いポイント。

ハラスメントの塊、フランクリン社長。ちょっと成金風味な出立ち。

そしてこの妄想が…ヴァイオレットはいつものようにフランクリンにコーヒーを入れる(日本だと現在絶滅しているお茶汲み)が、トンデモ失敗を!この失敗も笑える。また、彼女たちに敵対するキャラクター、ロズ・キース(飯野めぐみ)の”お局”感が強烈、ヴァイオレットを慕うジョー(内海啓貴)、出番は少ないが、ハッピーな結末を予感させてくれる愛すべきキャラクター。1幕で、様々な伏線が張り巡らされており、2幕では痛快かつ、現代的な結末が待っている。妄想シーン、ドラリーの場面では、楽曲がカントリー調、これは映画版のドラリー役のドリー・パートンがカントリー・ミュージックの第一人者であることに由来。

やばいよ、やばいよ、やばいよ!な3人。何がやばいかは劇場で。

2幕の冒頭はショータイム、明日海りおのパフォーマンスは、ファンなら大きく頷ける場面に。そして結末に向けて一気にストーリーが進んでいく。

2幕冒頭のショータイム!何も考えずに堪能しよう。

3人のOL(昭和な表現)が魅力的、かつ共感できるキャラクター、また細かい部分、昭和な会社でいうところの「給湯室」の様子、オフィスの様子、電話はダイヤル、もはや骨董品屋でしか見たことのないタイプライター、コピー機(ジュディが大失敗)、社内の文書を各部署に配布するアルバイトぽい若い男性、机は一人一つ、昭和な一般企業勤めの経験があれば結構頷ける”小ネタ”。だが、描かれている内容は映画公開当時としては新しい。今でこそ『ハラスメント』という言葉が浸透しているが、当時はそういう認識も持てなかった時代、そういう点では革新的な内容、21世紀になってからミュージカル化されたが、現代人にも共感できるテーマ、内容。最後の”オチ”も現代なら、という感じだが、1980年当時は新しい”オチ”だ。公演は東京は21日まで。その後は大阪、福岡、静岡と巡演する。上演時間は休憩を挟んで2時間30分の予定。

公演に先駆けて簡単な会見が行われた。登壇したのは、明日海りお、平野綾、和希そら、別所哲也。

明日海りお
ようやく初日を迎えました。皆さんとひとつになって作っていけたらと思っています。
演出の上田さんが皆に寄り添ってくれる優しい方で、とりあえず自由にやってください!と言ってくださって。皆がやってみたいことに挑戦して、稽古場は常に大爆笑でした。劇中のナンバーはどれも素敵なのですが、私が特に好きなのは働き方改革をしよう!というシーンで歌う曲。(平野)綾ちゃんが中心になって歌うのですが、パワフルさとキラキラに溢れていて大好きな曲です。
ヴァイオレットは家事や子育てと仕事の両立が難しい中、相当な覚悟を持って苦労して生きている人。彼女と共通点があるなんておこがましくてなかなか言えないのですが、パニックになったところをドラリーやジュディに落ち着かせてもらうシーンは普段の私と一緒だなと思います。
不適切な発言をする社長は出てきますが(笑)、どの登場人物もいとおしく、最後にはすっきりさわやかに、朗らかに帰れる作品です。普段からミュージカルや舞台がお好きな方はもちろん、初めてのミュージカルにもおすすめです。劇場でお待ちしております!

平野綾
皆さんとは初共演とは思えないくらい仲良くさせていただいて、稽古中はいつも笑いを堪えるのに必死でした。今作では今までの作品では観たことがない 4 人を観られると思います。アンサンブル含め誰一人欠けても成立しない作品となっておりますので、舞台の隅々まで観ていただきたいです。
私のお気に入りの曲は、1幕ラストの「Shine Like The Sun」です。他のミュージカルではなかなか観ることができない別所さんを観ることができます(笑)。面白くて感動する不思議なシーンなので、是非ご注目ください!
スカッとする内容で、気持ちがスッキリして、観劇後は明日から頑張れるなと思える作品です。楽しみに足を運んでいただければと思います。

和希そら
ようやく初日を迎えられました。稽古中 は自分自身もがきながら過ごしていたのですが、カンパニーの皆さまが本当にあたたかくて楽しい日々でした。多くのお客様にその良い空気感を感じて楽しんでもらえるよう、私自身楽しみながら頑張りたいと思います。
アンサンブルの皆さんがセット転換をしてくれるのですが、稽古場でも、大変なセット転換の多い中気持ちの良い空気でいてくださり、なんて素敵な空間にいるんだろうと日々過ごしていました。
私のおすすめの曲は幕開け(オープニング)のナンバーです。それぞれの登場人物の生き方が現れていて、観ていてすごくわくわくして、今後どうなるのかウキウキした気分になります。
劇中ではいろいろなことが起きるコメディ作品ですが、一歩踏み出せるような勇気を持てる作品だと思います。皆さまには気軽な気持ちで劇場に来て、楽しんでいただきたいです。

別所哲也
「横暴な振る舞いをする大変不適切極まりない社長」を演じます(笑)。1979 年の作品ですが、そこからどのくらい男女の姿が変わってきたのか、笑い飛ばして楽しんでいただければと思います。
稽古場はすごく気持ちのいい現場でした。早替えや転換の多い作品ですが、何ができるのかアイディアを出し合っていろいろと仕掛けを作っています。好きなナンバーはヴァイオレット、ドラリー、ジュディ 3人の妄想の世界の歌と、3人それぞれの人生を歌う曲です。私自身の不適切な歌も楽しんでいただきたいですね(笑)。
考えることがたくさんある窮屈な時代ですが、1970 年代の携帯も SNS もない世の中がどうだったのか。このキラキラ輝く世界がどれだけ素晴らしいか、ぜひ笑って観ていただきたいです。何事もやりすぎてしまうフランクリンがどういうふうにとっちめられるのかもお楽しみに!

物語
ロサンゼルスの大企業に勤めるヴァイオレット(明日海りお)はシングルマザー。
⽇々の生活に追われながら仕事と家庭を両⽴し、社内で確固たる地位を築いていた。
若手社員ジョー(内海啓貴)に慕われる一方で、社長フランクリン(別所哲也)の横暴には悩まされていた。
ある⽇、同じようにフランクリンのハラスメントに耐えているグラマラスな秘書ドラリー(平野綾)、
新入社員のジュディ(和希そら)と意気投合したことで、フランクリンをとっちめる計画を⽴てる。
その計画を敵対するロズ(飯野めぐみ)に知られたことで、思わぬ騒動を引き起こすことに−−。

配役
ヴァイオレット・ニューステッド = 明日海りお
ドラリー・ローズ = 平野綾
ジュディ・バーンリー = 和希そら
ジョー = 内海啓貴
ロズ・キース = 飯野めぐみ
フランクリン・ハートJr. = 別所哲也

概要
作品名:ミュージカル『9 to 5』
日程・会場
東京:2024年10月6日(日)〜21日(月) 日本青年館ホール
大阪:2024年10月25日(金)〜28日(月) オリックス劇場
福岡;2024年11月1日(金)〜3日(日) キャナルシティ劇場
静岡:2024年11月7日(木)〜8日(金) 静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
CAST
明日海りお 平野綾 和希そら 内海啓貴 飯野めぐみ  別所哲也
ひのあらた 俵和也 高橋里央 高瀬雄史 小原悠輝 古田伊吹 望月凜 小林諒音
舩山智香子 コイタ奈央美 友部柚里 堤梨菜 杉山真梨佳 吉田彩美 柴田実奈
石井千賀 ルイス魅麗セーラ 飯沼帆乃佳
STAFF
音楽 / 歌詞:ドリー・パートン
脚本:パトリシア・レズニック
原作:20世紀フォックス同名映画
翻訳 / 訳詞 / 演出:上田一豪
音楽監督:江草啓太 振付:藤林美沙 ZoooM
美術:石原敬  照明:関口大和  音響:高橋秀雄
衣裳:十川ヒロコ   ヘアメイク:井上京子  歌唱指導:高城奈月子 吉田華奈
演出助手:髙野玲 山田朋佳  舞台監督:岩戸堅一 本田和男
制作協力:パソナグループ
プロデューサー:篠﨑勇己 清宮之禎 矢羽々恒弘 波多江利之
宣伝:る・ひまわり  宣伝デザイン:羽尾万里子 宣伝写真:marco
宣伝衣裳:十川ヒロコ 宣伝ヘアメイク:井上京子 宣伝プロップ:ORIN
製作:TBS / サンライズプロモーション東京 / 研音

公式サイト:https://9to5.jp

© ミュージカル 「9 to 5」

9 TO 5

Music and Lyrics by Book by
DOLLY PARTON PATRICIA RESNICK

Based on the 20 th Century Fox Picture

Originally produced on Broadway by Robert Greenblatt, April 2009

9 TO 5 is presented through special arrangement with Music Theatre International (MTI), New York, NY, USA.
All authorized performance materials are also supplied by MTI. www.mtishows.com