韓国大ヒットミュージカル「神が僕を創る時」が好評上演中だ。
デジタル天上界・クラウドで人間を作る創造の神と、そんな神に立ち向かい、人生の払戻しを求める林らの物語が描かれる。日本語翻訳・訳詞を安田佑子、日本版台本脚色を川尻恵太、日本版演出は磯貝龍乎。本公演は2チーム、神役に真琴つばさ、グァンス(SUPERNOVA・超新星)。不運な男・林役を竹中凌平と高橋駿一が務め、世界の美しさを写真に収めようとする若空役に 渡辺みり愛と藍染カレン(ZOC)、林に足りないものをすべて持ち合わせて生まれ、豊かな人生を送る長井役は中山咲月とウゴン(TRITOPS*)がキャスティング。
最初に登場するのは神様、白い衣装、神様なだけに厳かな音楽、映像がPOPで可愛らしい。神様が人間を創造、クラウドで。スプーンを使って皿に
材料を入れて人間を創造する。そして神様も…疲れる、そこへ若い男性が客席から登場する、「そうやって適当に作ったのか?!」、彼は林、どん底人生を歩んできた、ある日、ロトに大当たり、ところが当選した日に交通事故で呆気なく…享年30。そんな林が神様に人生の払い戻しを迫る、そして彼を創造する際の様子も描かれ、ますますヒートアップする林。
そんな林と真逆な人物、長井、どうも林の近くに住んでいた様子。林は長井が気に入らないので余計に頭に血がのぼる。何がなんでも払い戻しさせてみせる!の勢い。ここから物語が動き出す。
登場する”人間”は3人、不運な林、なんでも持ってる長井、そして世界を旅してきた若空。林の払い戻しへの飽くなき執念、神様、削除マネージャーが彼らに関わる。行動力があり、諦めない性格の林のせいで、物事があらぬ方向にジェットコースターのように疾走。それを歌で綴る、全部で18曲あるのだが、絶え間なく歌があるので、もっと多い印象すら受ける。はちゃめちゃな話だが、とにかく面白い。林と同じく「運がない」と感じることも多々あるし、最近では「親ガチャ」という言葉も流行った。この破天荒な展開の中に差し込まれている人生、人類の事象、ふと考えさせられる。戦争で多くの人が亡くなったり、そんな映像も。林の反乱、おとなしく早死にせずに、人生を払い戻してもらうという”夢”に邁進する姿はしつこいを通り越してむしろ清々しさも感じる、ここまで突き抜けたキャラクター設定、その他のキャラクターもインパクトあり。
神様は万能で完璧というイメージがガラガラと音を立てて崩れるのも、むしろ親近感が湧く。若空は文字通り若かりし頃は元気で優しい少女、老婆になると達観した考え方を持つ。また、削除マネージャーの右往左往ぶりはつい笑ってしまう。削除マネージャーは”削除マネージャー713号”、またマニュアルにないことはできない模様。そして、この舞台、ライブ感強め、客席中央に花道のような通路を設営、そこの通路を客席が挟む形に。歌唱シーンは自然にクラップで盛り上がり、笑うところは大いに笑う。楽曲も多彩で、飽きない。また、グッとくるセリフもあり、胸に迫るものも。
1幕ものであっという間、初日は特別カーテンコールで、撮影OK、しかもただ並ぶだけでなく、撮影のために歌って踊っての大サービス!
特別カーテンコールの様子
この日は神様役は真琴つばさ、不運なハヤシ(林)を竹中凌平が、溌剌としたヤング(若空) に渡辺みり愛、ナガイ(長井)/削除マネージャーは中山咲月。真琴つばさは元宝塚トップスターだけあってマント捌きが!翻し方が絵になる。たおやかな雰囲気を讃えつつ、しなやかな神様役を。ハヤシ(林)は竹中凌平、エネルギッシュな役作り。渡辺みり愛のヤング(若空)、特に80歳のヤング(若空)がチャーミング。中山咲月、特に削除マネージャー713号の後半のとほほ感がちょっと哀愁漂う。2日目の昼の回は神様はグァンス、ハヤシ(林)は高橋駿一、ヤング(若空) 、藍染カレン、ナガイ(長井)/削除マネージャーはウゴン。最初に神様が登場するのだが、真琴つばさの時とはポーズが異なる。
演者の持ち味によってポージングや動き、振付を変えている。そして不運のアイコン・林が登場するのだが、高橋駿一が宙返りして登場。特技はアクロバットなので、その身体能力を活かした登場。物語、歌は全く同じだが、チーム、演者の違いで空気感が変わる。グァンスはアイドルグループSUPERNOVA(旧・超新星)のメンバー。ダンスも今風な味付けの動きでPOPな神様。
ビートに乗って気持ちよさそうに体を動かす、神様の特技はダンス、といった風情で困った時の表情はちょっと可愛らしかったり。高橋駿一の林はかなり押しが強い印象。ウゴンの長井はかなり嫌味な味付けのキザ、林にとっては目の上のたんこぶのような存在。ヘアスプレーをプシュ、林にもお見舞い。そしてヤング(若空)の藍染カレン、ショートヘアーで元気でPOPな印象、それは80歳になっても元気一杯、あちこち旅ができる体力!
なお、終演後はアフタートーク、メンバーは2人の林と2人の削除マネージャー/長井。同じ役だが、雰囲気が異なり、また、削除マネージャーの衣装、ちょっと変えてる!二人同時に出てくる貴重な機会。今日の削除マネージャー、ウゴンは韓国の「スプーン階級制度」についての解説。これを押さえておくと物語の意味や林の悔しさがよくわかる。生まれながらに『持ってる』お金持ちは金のスプーン、そこから『銀』『銅』『泥』となるのだそう。また初日が明けて「お客様の声がかかって嬉しい」と中山咲月。また、ウゴンはこの作品で2キロ痩せたとか。また、竹中凌平と中山咲月は共演がこれで2回目とか。アフタートークも時間になり「最後までブラッシュアップして!」と締めくくり、会場から拍手でアフタートークはお開きとなった。なお、公演は27日まで、1幕もので上演時間は約2時間を予定。
<真琴つばさ×グァンス・クロストーク>
イントロダクション
―初めに雲があり、神はそこで人間を創造した。そこの名は、クラウド―
神が人間を創造する時、デジタルシステムを使って材料を配合するとしたら?
人間が死んだら破壊ドライブへ送られ削除されるとしたら?
想像力とユーモア溢れるデジタル天上界「クラウド」。
人間創造に熱意を失った神。
神に立ち向かい人生の払戻しを求めるハヤシ(林)。
神すら忘れかけた世界の美しさを写真に収めようとするヤング(若空)
ハヤシが持っていない全てを手に入れ豊かな人生を送ったナガイ(長井)。
溌剌なアイデア溢れる舞台をROCK·POPS・R&Bなど耳に残る軽快なバンドサウンドで彩るミュージカル。ナンバー数はなんと全18曲!!
破天荒な反乱を夢見るキャラクターたちが繰り広げる人生払戻しバラエティ!!
概要
日程・会場:2024年10月18日(金)~10月27日(日) こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
出演
神様 : 真琴つばさ / グァンス(SUPER NOVA・超新星)
ハヤシ(林): 竹中凌平 / 高橋駿一
ヤング(若空)
: 渡辺みり愛 / 藍染カレン(ZOC)
ナガイ(長井)/削除マネージャー : 中山咲月 / ウゴン(TRITOPS*)
STAFF
・オリジナルスタッフ
作/作詞:ウォン・チェヨン
作曲:コ・ヒョンジョン
演出/台本協力:ピョ・サンア
音楽監督/メロディー編曲:キム・ヒウン
オリジナルプロダクション:(株)演劇列伝
・日本版スタッフ
日本語翻訳/訳詞 : 安田佑子
日本版台本脚色 : 川尻恵太
日本版演出 : 磯貝龍乎
音楽監督 : 宮﨑誠
振付/ステージング:結樺レイナ
歌唱指導 : 咲山類
企画プロデューサー&版権コーディネート : ウォン・ジヘ
プロデューサー : 石津美奈 / 松尾歩 / 吉成将
エグゼクティブプロデューサー : 東川真之
主催/企画/制作 : 「神が僕を創る時」製作委員会
「こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ提携公演」
公式サイト:https://kamiboku.com
クレジット
Book & Lyrics by Won Chaeyeon
Music by Ko Hyunjung
Book & Lyrics
Cooperation by Pyo Sanga
Orchestrations by Kim Hee-eun
Original Production by The Best Plays Inc.