ベルカント・オペラの名手ドニゼッティ作曲のラブコメ・オペラ。フランス軍の連隊に拾われ育てられた少女マリーと青年トニオのラブロマンスが、爽快で華やかな音楽で紡がれるオペラの魅力が詰まった傑作、開幕。
「ハイC」と呼ばれる超高音や、超絶技巧で彩られた名曲の数々は、まさにベルカント・オペラの真骨頂。
指揮はアメリカを中心に活躍する注目の指揮者 原田慶太楼、演出は日本のオペラを牽引する粟國 淳。イタリアの美術家 イタロ・グラッシと、気鋭の衣裳デザイナー 武田久美子を迎え、キュートでポップな世界を描く。
なお、本公演は一般公演のほかに、中高生向け鑑賞教室「日生劇場オペラ教室」公演を実施し、全3公演3,500名鑑賞予定。
軽快な序曲、舞台上には気球、大きなクマのぬいぐるみ、背景は山々(チロル地方の山村という設定)だが、ところどころ欠けたジグソーパズル。木の家は、どこかの家の子供部屋のような雰囲気。音楽に合わせて人々が動き出す。どどーんと大砲の音、「敵軍がくる」「武器をとれ」「迎え撃つ準備をしよう」と歌う。「聖母マリア、守りたまえ」と女性コーラス。
ベルケンフィールド侯爵夫人と家令のオルテンシウスは先を案じる。一人の農夫がフランス軍は退却したと告げに走って来るので、皆が喜んでいる。その時突然フランス軍曹シュルピスが現れ、続いて、連隊の娘・マリーが登場する。シュルピスとの二重唱。
マリーはこの21連隊のアイドル的存在、皆、マリーが大好き。赤子だった彼女は戦火の中、置き去りにされ、そこを21連隊に救われたのだった。シュルピスはマリーの様子を見てどうしたのか尋ねると、最近岩から滑り落ちそうになった時、助けてくれた男性がいたことを打ち明ける。マリーは彼に一目惚れをした様子。
そんな時に、兵隊たちが、一人の若者を連行、彼の名前はトニオ、なんとマリーの想い人!「命の恩人なの」と命乞い、トニオは21連隊に加わる。
そこへ侯爵夫人が戻ってきて…というのが大体の流れ。
ラブコメなのでトニオとマリーがどうなるのかはわかりきっているが、その過程が面白い。
また、ベルカント・オペラなので聴きどころが多い。1幕のラスト、「ああ友よ、今日は楽しい日」はハイC連発。「わたしの運命は変わる…お金も地位も、心は変えられないわ」ではマリアの超絶なコロラトゥーラ技巧、歌い手には難易度の高い楽曲ばかり。また、衣裳と美術がとにかく可愛い。1幕の幕切れ、マリーはベルケンフィールド侯爵夫人と共にパリに行くシーン、乗り物が!ぬくもりのあるおもちゃの機関車、色合いがカラフル。
また、21連隊の面々が個性的すぎる!金髪をツンツン立てた髪型やスキンヘッド、シンバルをもった猿も!漫画のキャラクターを思わせるような、何か秘密兵器でも持っていそうな面々がわいわいと賑やかに。
そしてマリーは白いオーバーオール、シュルピスは服の色がフランス国旗、ワイルドな雰囲気。トニオも最初は地味目な服装だったが、途中で派手派手に。この衣裳を見るだけでも楽しいが、振付もポップ、ちょっと真似したくなるような動き。ラストはもちろん、ハッピー、大団円。公演は10日まで。
《あらすじ》
舞台は、19世紀前半、ナポレオン戦争期のチロル地方。幼い頃に両親と生き別れ、アルプスの山で、フランス軍第21連隊に可愛がられて育った少女マリーは、かつて崖から落ちそうになったところを助けてくれた青年トニオと恋に落ちます。トニオはマリーとずっと一緒にいるため、第21連隊に入隊。しかし、そこにマリーの伯母を名乗るベルケンフィールド侯爵夫人が現れ、マリーは夫人とともにパリで暮らすことに。離れ離れになるマリーとトニオの行く末は……?
概要
NISSAY OPERA 2024『連隊の娘』
全2幕 ( 原語 [フランス語 ] 上演・日本語字幕付 ) 新制作
作曲:ガエターノ・ドニゼッティ
台本:ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
ジャン=フランソワ=アルフレッド・バイヤール
日程・会場:2024年11月9日、10日 日生劇場
出演
11月9日/11月10日
マリー : 砂田愛梨 / 熊木夕茉
トニオ : 澤原行正 / 小堀勇介
ベルケンフィールド侯爵夫人:金澤桃子/鳥木弥生
シュルピス:山田大智/町英和
オルテンシウス:加藤宏隆/森翔梧
伍長:市川宥一郎 (両日)
農民:工藤翔陽(両日)
クラッケントルプ公爵夫人:金子あい(両日)
公証人:阿瀬見貴光(両日)
従者:大木太郎 (両日)
カヴァー:川越未晴 (マリー)、澤原行正 (トニオ)
※糸賀修平は怪我のため、降板。
合唱:C.ヴィレッジシンガーズ
管弦楽:読売交響楽団
美術:イタロ・グラッシ
照明:稲葉直人 (A.S.G)
衣裳:武田久美子
主催・企画・制作:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
日生劇場公式サイト:https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/rentaino_musume2024/
撮影:三枝近志
提供:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]