日本の劇団「十二人の怒れる男」開幕 有罪?無罪?同調圧力 差別と偏見と先入観_

日本の劇団「十二人の怒れる男」が下北沢の駅前劇場にて開幕。。
出演は、青木隆敏(スタジオライフ)、秋本雄基(アナログスイッチ)、浅川仁志(イッツフォーリーズ)、浅野康之(劇団鹿殺し)、岡本 篤(劇団チョコレートケーキ)、木津誠之(文学座)、栗原功平(劇団SET)、佐藤文雄(劇団銅鑼)、豊田 茂(劇団青年座)、畑中智行(キャラメルボックス)、牧田哲也(柿喰う客)、横道 毅(花組芝居)に、友情出演として志賀遼馬(イッツフォーリーズ)。日本を代表する全十二劇団から選りすぐりの劇団員達が集結。

声が響く、「第一級殺人罪…」ニューヨークの法廷で殺人事件の審理が終わった。被告は17歳の少年、日頃から素行が悪く、飛び出しナイフで実父を殺した容疑。12人の陪審員が評決のため陪審室に引きあげてきた。季節は夏、皆、汗を拭いたり、水を飲む者も。窓を開けて風を通す。12人、全員疲れており、評決を早く済ませたい。鍵がかけられるが、用事がある時はブザーを押す。12人、初対面、労働者風の者もいれば、オーダーメイドのスーツを着こなす者も、杖をついた老人、背広姿、ポロシャツ、皆バラバラ、名前も知らないもの同士だ。そして行きがかり上、ある者がまとめ役になり、まず、1回目の評決を取る、11対1で有罪とみなす者が圧倒的多数。

11人の言い分は論理的とは言い難く、さらに早く帰りたい気持ちも相まって一人無罪という者に対しての「圧」。少年を有罪とみなすものたちは口々にいう「危険な人殺しだ、見ればわかる」「あの連中の言うことなんて信じられない」と。観客は思う「論理的ではない、先入観、差別的」と。一人有罪に異を唱えた者は「彼を死に追いやること」と言う。とにかく評決は全員一致出なくてはならない。一人有罪に異を唱えた者は一つ一つ、粘り強く論理的に皆を説得する。杖をついた老人が「無罪」の側に。これで10対2となる。審理の時に出された”証拠”「部屋の真下に住む老人が、当日の夜、少年が“殺してやる!”と叫んだのを聞いた」「犯行に使われたナイフ」「高架鉄道をはさんで住んでいる婦人がその時を目撃した」、これらを一つ一つ、論理的に切り崩していき、少しずつ「無罪」へと傾いていく、と言うのがこの物語の流れ。

ヘンリー・フォンダ主演の映画を観たという人も多いだろう。さまざまなカンパニーで上演されている「十二人の怒れる男」。この作品にはさまざまな要素が含まれており、それは現代でも十分に通じる。彼らは知らない者同士だが、「全員一致で結論を出す」と言う課題を共有。よって仲間意識が出てくる。そして少年が有罪で死刑になったとしても、それは彼らにとって「人生に影響のない事柄」であり、「どうでもいいこと」でたいして深く考えていない、まして暑い、疲れている、早く終わらせたい気持ちが働いてたった一人無罪を主張する者に対して「同調圧力」をかけてくる。ところがこれに屈せずに事実を検証し、彼らの浅はかな意見を崩していく。たった一人でも多数の意見を変えて変革を起こす(マイノリティ・インフルエンス)、正義の人である。だが、見方を変えればかなりの策士。ことあるごとに「命がかかっている」と真っ向から正論を吐き、これには誰も言い返すことができない。

この「十二人の怒れる男」はさまざまな角度から見ることができる、だから何度観ても面白い、俳優陣の演技も見どころ。ラストに至るまでの過程も興味深いし、12人のキャラクターやバックボーンなどが透けて見えてくる。階級、職業、住んでいるエリア、差別と偏見に満ちた発言も飛び出す。下北沢の駅前劇場はおおよそ100人ちょっとの小ぶりの劇場、公演は15日まで。

作品について
『十二人の怒れる男』(12 Angry Men)は、1954年製作のアメリカのテレビドラマ及び、それを原案とする作品。
原作はレジナルド・ローズ。「法廷もの」に分類されるサスペンスドラマ。
特に本作をリメイクした1957年の映画が有名。ほとんどの出来事がたった一つの部屋を中心に繰り広げられている。

<劇団ナイスコンプレックス プロデュース「十二人の怒れる男」2021年レポ記事>

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概要
日程・会場:2024年12月11日(水)〜15日(日) 下北沢 駅前劇場
原作:Reginald Rose「TWELVE ANGRY MEN」
翻訳・脚本:下平慶祐
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
出演者 (五十音順):
青木隆敏(スタジオライフ)
秋本雄基(アナログスイッチ)
浅川仁志(イッツフォーリーズ)
浅野康之(劇団鹿殺し)
岡本 篤(劇団チョコレートケーキ)
木津誠之(文学座)
栗原功平(劇団 SET)
佐藤文雄(劇団銅鑼)
豊田 茂(劇団青年座)
畑中智行(キャラメルボックス)
牧田哲也(柿喰う客)
横道毅(花組芝居)
友情出演:志賀遼馬(イッツフォーリーズ)
舞台美術:長田佳代子
音響:佐久間修一
照明:和田東史子(松本デザイン室)
演出助手:佐々木昌美
舞台監督:本郷剛史
宣伝美術:Lamm Lemon
宣伝写真:白根美恵
制作:川瀬良祐 熊谷美咲
企画・プロデューサー:栗原功平
主催:スーパーエキセントリックシアター
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】

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