ミュージカル『ワイルド・グレイ』上演中 愛と美に生きる、その顛末。

ミュージカル『ワイルド・グレイ』が好評上演中だ。
登場人物は3人、オスカー·ワイルドとアルフレッド·ダグラス、そしてロバート·ロス。音楽は生演奏、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ。一人の男がゆっくりと登場する、彼の名前はロバート·ロス、オスカー·ワイルドの友人であり、オスカー·ワイルドの”信奉者”。時代は19世紀末、場所はロンドン。慣習と規範、の時代。オスカー・ワイルドを偲ぶ歌、それから時間が遡る。オスカー・ワイルド、アルフレッド·ダグラスとの運命の出会い。ここから本格的に物語は動き出す。

福士誠治(ロバート・ロス)
立石俊樹(オスカー・ワイルド)
東島京(アルフレッド・ダグラス)

創作意欲が増すワイルド、史実でも出版活動は活発。そしてアルフレッド·ダグラス、通称ボジー、美しく、まるでワイルドの代表作「ドリアン・グレイの肖像」の主人公のようなルックス。当然、ワイルドはボジーに惹かれていく。この危うい関係をシンプルだが、多彩な楽曲で彩る。

この関係をロスが見逃すはずがなかった。彼はワイルドに忠告するも、その危うさこそがボジーの魅力、この力に抗うことはできないワイルド。ボジーは父親との関係に苦悩、不安定、その彼を支えるワイルド。ボジーはワイルドが自分にぞっこんであることを意識、ワイルドの戯曲の「サロメ」のように振る舞い、誘惑。この不安定かつ、妖しくも美しい、耽美的な空気感が終始、舞台を覆う。


3人が織りなすカルテット、福士誠治、立石俊樹、東島 京の組み合わせで観劇。福士誠治のロバート·ロス、ワイルドを心から想い、言いにくいこともはっきり言い、そしてボジーに警戒感を抱く。東島 京のボジーは一見無邪気に見えるがその奥底の気持ち、不安定さから生まれる狂気とも捉えられる感情のほとばしり、ワイルドとの諍い、熱演が光る。

そして立石俊樹のワイルドは飽くなき美の追求、作家として成功するも、その社会的地位は彼にとっては重要ではない。愛と美に生きるワイルドを時には軽やかに、時には熱く表現、ラストは圧巻。2時間休憩なしのミュージカル、ビッグナンバーも多数、舞台進行も滑らかで、時折ヴァイオリニストが舞台中央でメロディを奏でる。「美しさは絶対的なもの」とワイルドは言う、愛と美に生きるワイルドの象徴的な言葉。


実際のワイルド、史実では1886年(当時ワイルドは32歳) 生涯の友人となるロバート・ロス(当時17歳)に出会う。1890年『ドリアン・グレイの肖像』発表し、翌年にアルフレッド・ダグラス卿(愛称ボシ:当時22歳)と知り合う。1893年にはフランス語の『サロメ』をフランスで出版。その後、訴訟などが起こり、1900年脳髄膜炎により死去。月並みな言い方だが波瀾万丈の人生、彼らが生きにくい時代。その中で懸命に生きた3人、シンプルな構成だが、描かれている世界は深い。公演は2月22日まで。

配役
福士誠治(ロバート・ロス)、立石俊樹(オスカー・ワイルド)、東島京(アルフレッド・ダグラス)
平間壮一(ロバート・ロス)、廣瀬友祐(オスカー・ワイルド)、福山康平(アルフレッド・ダグラス)

あらすじ
慣習と規範に縛られた19世紀末、ロンドン。
文学界の異端児 オスカー・ワイルド(立石俊樹/廣瀬友祐) は小説「ドリアン・グレイの肖像」を連載するが、美と若さのために魂を売り渡す青年ドリアン・グレイの物語は、時代に合わない破格的なテーマと内容で英国社会に衝撃を与える。議論と批判は収まらず、結局主人公のドリアンが死を迎えるという望まない結末で小説を出版する。そんなワイルドを支え続けるのは、友人であり支持者である ロバート・ロス(福士誠治/平間壮一) だった。二人が望んでいた自由が芸術の中でさえ挫折したその時、ドリアン・グレイにそっくりな青年 アルフレッド・ダグラス(東島京/福山康平) が現れる―

概要
ミュージカル『ワイルド・グレイ』
東京公演
日程・会場:2025年1月8日(水)~1月26日(日) 新国立劇場 小劇場
ツアー
日程・会場:
名古屋:2025年2月8日(土) ウインクあいち 大ホール
ー12:00 [福士・立石・東島]
ー16:00 [平間・廣瀬・福山]
大阪:2025年2月14日(金)~16日(日) 森ノ宮ピロティホール
ー2月14日(金)14:00 [福士・立石・東島]
ー2月15日(土)13:00 [福士・立石・東島]/17:00 [平間・廣瀬・福山]
ー2月16日(日)13:00 [平間・廣瀬・福山]
高崎:2025年2月22日(土) 高崎芸術劇場 スタジオシアター
ー12:00 [平間・廣瀬・福山]
ー16:00 [福士・立石・東島]
スタッフ
脚本:イ・ジヒョン
音楽:イ・ボムジェ
翻訳:石川樹里
演出・上演台本:根本宗子
訳詞:保科由里子
音楽監督:竹内 聡
美術:山本貴愛
照明:佐藤 啓
音響:原田耕児
衣裳:田中大資
ヘアメイク:高村マドカ
歌唱指導:益田トッポ
稽古ピアノ:中條純子
演出助手:加藤由紀子/井口綾子
舞台監督:幸光順平
キャスト
福士誠治(ロバート・ロス)×立石俊樹(オスカー・ワイルド)×東島京(アルフレッド・ダグラス)
平間壮一(ロバート・ロス)×廣瀬友祐(オスカー・ワイルド)×福山康平(アルフレッド・ダグラス)

主催:ホリプロ/ローソンチケット

企画制作:ホリプロ

HP: https://horipro-stage.jp/stage/wildgrey2025/