明治時代の長崎を舞台にした蝶々さんの愛と哀しい運命が、プッチーニならではの美しく感動的な音楽で描かれるオペラ『蝶々夫人』。日本が舞台とあって日本ではひと際人気で、新国立劇場でも最も多く上演されてきた看板演目。アメリカ士官ピンカートンへの一途な愛を貫く蝶々さんの悲劇が、栗山民也演出により、鋭く雄弁なドラマとして観客に迫る。
美しく繊細で、蝶々さんの凛とした姿を伝える新国立劇場の『蝶々夫人』は、海外からの鑑賞者も多く、有名な「ある晴れた日に」に象徴される美しい音楽、心揺さぶる物語はオペラ初心者にもお薦め。
蝶々夫人を演じるのは、ドラマティックな声と情感あふれる表現、そして近年特に充実した活動が高く評価され、また、日本各地で歌い、”理想の蝶々さん”と評判ソプラノ小林厚子。共演者には、アメリカ海軍士官ピンカートンに、ヨーロッパの劇場で引っ張りだこのアメリカの新星テノール、ホセ・シメリーリャ・ロメロ、シャープレスには躍進中のイタリア人バリトンブルーノ・タッディアがそれぞれ新国立劇場初登場。蝶々さんを献身的に支えるスズキには山下牧子が出演。指揮は明晰で劇的な表現が評判のエンリケ・マッツォーラが13年ぶりの新国立劇場登場。
<ダイジェスト映像>
あらすじ
明治の頃、長崎の海を望む丘。アメリカ海軍士官のピンカートンは、結婚斡旋人ゴローの仲介で15歳の芸者、蝶々さんを身請けし、アメリカ領事シャープレスの忠告をよそに軽い気持ちで結婚式を挙げる。ピンカートンは帰国するが、愛を信じて疑わぬ蝶々さんは音信不通の夫の帰りを、3歳になった息子と女中のスズキとともに待つ。
やがてアメリカで正式に結婚したピンカートンが妻ケートを連れて長崎に。全てを悟った蝶々さんは、我が子をケートに託し、父の形見の短刀で命を絶つ。
概要
日程:2025年5月14日(水)18:30/17日(土)14:00/21日(水)14:00/24日(土)14:00 全4公演
会場:新国立劇場 オペラパレス
指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:栗山民也
美術:島 次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗
再演演出:澤田康子
出演
蝶々夫人:小林厚子
ピンカートン:ホセ・シメリーリャ・ロメロ
シャープレス:ブルーノ・タッディア
スズキ:山下牧子
ゴロー:糸賀修平
ボンゾ:妻屋秀和
Bonzo TSUMAYA Hidekazu
神官:上野裕之
ヤマドリ:吉川健一
ケート:佐藤路子
合唱指揮:冨平恭平
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:大野和士
公演情報 WEB サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/opera/madamabutterfly/
舞台撮影(『蝶々夫人』):寺司正彦