劇団四季ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』稽古快調

今年の超話題作、劇団四季のミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の稽古場取材会が行われた。
披露されたシーンは3つ。演出家のシーンの説明の後、始まった。
最初は第1幕12場。楽曲は「Future Boy」1955年にタイムトラベルしてしまったマーティがドクに助けを求めるシーン。タイムトラベルに雷を利用することを思いつき、道が開けたと歌うナンバー。

マーティ役は立崇なおと、ドクは野中万寿夫。場所はドクの研究室、置いてある小物がレトロ(1955年なので)。電話(黒い電話!)をしているドク、そこへドアを激しくノックする音が…息を切らして入ってきたのはマーティ、”助けてくれよ!”続けて”未来から来た…戻るんだ、1985年に!”未来から来た証拠写真を見せたりする。

ここのシーンは映画でも印象的。

“大統領は誰だ?””ロナルド・レーガン””俳優だぞ”なかなか信じられないドク。”タイムマシーンとやらに連れていけ”、マーティはデロリアンを見せ、ドクは驚く。ここで歌、ドクとマーティ、マーティにとってはドクだけが頼り。そしてある”証拠”を見せる、ドクはようやく確信する”これだ!”そして雷を使うことを思いつく。ここでダンサー陣が登場し、グッと華やかな場面に。

映画を見たことがあるなら、映画のシーンが脳内に蘇る。細かい笑いもあり、見せどころ。この場面の前、マーティは若かりし頃の親に会っている。”二人(両親)の出会いをなんとなく邪魔したかもしれない…”と。物語のポイント。ドクは未来が変わってしまうことについての説明をする。

 

撮影:荒井健

早速、演出家が細かい動きや指示を出す、シーンがより面白く!
それから次の場面は第2幕第4場。楽曲は「For the Dreamers」まだ1955年。マーティを未来に帰す、超難しいミッション。その計画に陰りが見えた時、ドクが夢をあきらめずに追い求める想いを歌うナンバー。マーティは笠松哲朗、ドクは阿久津陽一郎。

録音した音を再生したりしいているドク。そこへマーティがやってくる。”移動式テレビスタジオ”、今では当たり前、当時は超新しい。ドクは力説する”自分の運命について知りすぎるのは良くない…君の存在も同じことだ。君を1985年に帰す計画をしている”と言い、模型を使って説明する。

デロリアンがタイムトラベルする速度は時速88マイル。ちなみに時速80マイルとは、kmにすると時速128.75!!とてつもない速さ。ドクの研究室には過去の偉大な発明家の写真が、皆、歴史の教科書で見たことのある顔。”偉大な発明家はどのくらい失敗したか知ってるか?…信じることをあきらめない”と語り、そこから歌。

しっとりとした曲調でキャッチーナンバーだ。”けなされても諦めない”と歌うドク、元気が出る歌詞。

撮影:荒井健

またまた、演出家から色々と指示が。
最後は第1幕9場、楽曲は「Gotta Start Somewhere」、1955年、ダイナーで働くゴールディ・ウィルソン(1985年では市長選に立候補している)が何事も成せばなるとジョージ(1985年ではマーティの父親)を励ますシーン。食事をしているマーティとジョージ。

元気いっぱいなゴールディ・ウィルソン、”いつかは絶対に有名になる!”と言い、”市長に立候補してみるか…この街を綺麗にしてみせる”と超がつくほどの前向き発言。歌い踊る、勢いのあるメロディ、群舞が圧巻、それに引き換え、自信なさげなジョージはカウンターで料金を払って自転車に。”待って!父さん!ジョージ!”と叫ぶマーティ。

最後に箒を高く振り上げるゴールディ・ウィルソン。かなり難易度の高い楽曲。かなりの完成度であるが、それでも細かく指示を出す演出家、箒の角度や振り上げる速度、体の見せ方、さらにカッコよくなる。
披露されたシーンは以上だが、公演は4月6日、まだまだ稽古は続く、初日の最後の最後まで。完成度の高さが期待できる稽古披露であった。

それから、取材会が行われた。マーティ役の立崇なおと、笠松哲朗、ドク役の野中万寿夫、阿久津陽一郎、演出家のジョン・ランド、そして代表取締役の吉田智誉樹が登壇。
ジョン・ランドは劇団四季の稽古のレベルの高さについて「非常にわくわくする日々を過ごさせていただいておりますし、毎日感銘を受けております。呼んでいただけたことは本当に光栄。このカンパニーがとても心から愛しております。才能が素晴らしい、この劇団全体としてのレベルも素晴らしい。非常に多くのレパートリーを持っておられることがものすごい。それぞれのレパートリーの中で新しいことを発見をする機会になっていると思います」と最大級の賛辞を。


それから俳優陣への質問、作品への想いやもしもタイムマシーンがあったら?について。
立崇なおとは「初めて見たのがいつかだか覚えてない」と言いつつ、「マーティ役はマイケルJフォックスさんのイメージがものすごくある作品だなということを感じておりますので本当にそこにリスペクトを持ちつつ、自分らしいマーティができたらな」と語り、タイムマシーンがあったら「未来に行ってみたいなと。過去は変えられないって思ってるので未来に行って何か確かめることをしてみたい」とコメント。


笠松哲朗は「僕もですけど金曜ロードショーとかで、子供の頃から何度も見ていて…映画の世界を舞台として、映画の世界と作品の世界で舞台を通して入れることが本当に楽しみです」とコメントし、「僕たちが演じ、パフォーマンスすることでお客様にこの世界にお連れするんですけど、僕たち自身も演じることで、それを自分事として体感して実感できる…ドラマを生きていけることが、今からとても楽しみ…マーティとしての旅路を楽しめることがとてもありがたいです」と語った。そしてタイムマシンについては「ギター、弾いたことがなくて…このの作品に合格させていただいたことを知ってからちょっとずつ始めたんですけど、とても苦戦しておりまして。高校生ぐらいの自分に会って”ギターを始めておきなさい”と…」とコメント。
野中万寿夫は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』日本公開当時のドンピシャ世代。「僕が20代のときにちょうど上映されて。僕らの青春時代をものすごく反映していて、 すごく励まされた映画であることは間違いなくて、それが舞台になるっていうことを聞い たときは本当にびっくりしました」と語る。そしてタイムマシンがあったらの問いかけには「未来には行きたくないっていう…行かない方が楽しみが多分生まれてくるんだろうなと。過去に行きたいかって言ったら…高校生のときにはあの一言が言えなかったとかそういうような思いもありますけれども」と…もしかして甘くしょっぱい?体験?


阿久津陽一郎は「僕は作品を知ったのはおそらく高校生ぐらいだったと思うんですけども、新宿で見た覚えがあります」と語り、「すごく面白いなと重なってる部分がありまして…『未来は自分の手の中にあるんだ過去は君と共有できる』みたいなところ…実際に舞台をご覧に全てご覧になっていただければわかるとは思うんですけど」とコメントし、タイムマシンについては「ドクというキャラクターを通して考えてみると自分の行動の先に未来を築き上げられてるっていうふうに信じて疑わない人…自分の信念を貫くことで、その人生は切り抜いていく、諦めないことで成功が近づく、そういったことにすごくこだわってる人だな と感じますので、ぜひそういった思いで未来を見ていきたいなと思います」と回答。
またダンスシーンについての質問があった。ジョン・ランドは「振り付け家と1950年代と1980年代、両方の時代性を反映していこうじゃないかっていうようなお話をした」とコメント。また、ミュージカル化するにあたって「映画関係者の方々とも多くやり取りをしながら本作を作っていきました」と語る。実際はどんな感じなのか、そこは劇場で。
また、この作品を選んだ理由について吉田智誉樹は決定する前に市場調査会社に依頼したことを明かした。つまり、どのくらいの認知度があるのか、ということで結果は「性別年齢幅広く多くの方に愛されてるってことはわかりました。映画の公開時を考えますと、我々の世代がほぼ…でも若い世代の20代とか30代の層でもしっかりと認知があり、しかも愛されてるってことがわかったんです」と語る。また、他のコンテンツと比較すると男性が多かったそう。そして「男性にも劇場に足を運んでもらうきっかけになりうるコンテンツかなと。あの男性トイレどうするか問題はありますが。そういうことはきちっと克服して劇場に新しいお客様を招きたいと思います」と語った。


また演出のジョン・ランドは「時代を超えた物語」とコメント。色褪せないコンテンツ、そこが作品の大きな魅力であろう。
また、『見てほしいポイント』について立崇なおとは「生オケ」笠松哲朗は「ザ・ミュージカルっていう演出が盛り込まれている」、野中万寿夫は「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に関してはどんどんアドリブを入れてくれみたいな、そういった演出もわりとあるんです」これはリピ確実。阿久津陽一郎はストレートに「デロリアン」これは見たい!吉田智誉樹は「直感的に絶対にいいミュージカルになると思いました」と語り、「大きな夢を持って未来に向かっていくっていうところ」とコメント。ジョン・ランドは「作品を通して文字通り世界中の方々に対して喜びを提供できたらなと広められたら」と語った。
ここで時間となり、取材会は終了した。

<製作発表会レポ>

速報!新作ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』25年4月上演 by劇団四季

概要
日程・会場:2025年4月6日〜 四季劇場[秋]
チケット発売中(2026年3月29日分まで)
公式サイト:https://www.shiki.jp