海宝直人主演 ミュージカル『イリュージョニスト』開幕

ミュージカル『イリュージョニスト』が3月いよいよ東京・大阪にて開幕。
原作は、ピューリッツァー賞を受賞した作家、スティーヴン・ミルハウザーによる短編小説『Eisenheim the Illusionist (幻影師、アイゼンハイム)』。`06年にはエドワード・ノートン主演にて映画化され(2008年日本公開)、ウィーンを舞台に、天才幻影師と公爵令嬢の禁断の愛、傾国の危機が迫るオーストリア皇太子の苦悩、嘘と真実に翻弄される人間模様を、巧みなストーリー展開と華麗なトリックで描き話題に。
この作品を、世界初演となる新作オリジナルミュージカルとして`21年1月に開幕を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、演出内容を変更してのコンサートバージョンでの上演になった。当時、日本のみならず、世界中の舞台芸術業界が危機的状況の中、イギリス、アメリカ、そして日本のクリエイティブスタッフが一丸となり創り上げたコンサートバージョンは、パンデミックの終息とフルバージョン上演への願いと共に終幕。そして、 4年の歳月を経て、再始動。
主役の幻影師(イリュージョニスト)アイゼンハイム役を海宝直人、皇太子レオポルド役に成河、公爵令嬢ソフィ役 に愛希れいか、ウール警部役に栗原英雄、そして興行主ジーガ役を濱田めぐみと、`21年のコンサートバージョンと 同じキャストが揃った。


ストーリーは2021年のコンサートバージョンと変わらないが、今回は”本来の演出バージョン”。セットは俳優陣が動かす、アナログ方式、それが物語をダイナミックに立体的に見える。また、それがよく計算されたフォーメーションで、ただセットを動かしているわけではなく、空気感、世界観を支配する。そして『イリュージョニスト』なので、もちろんイリュージョンも見どころ。19世紀末のウィーン。あれだけの栄華を極めたハプスブルク帝国はすでに斜陽、国家をなんとかしたいと思う皇太子、公爵令嬢であるソフィと婚約している。そのソフィはアイゼンハイムとは幼馴染で相思相愛の仲。イリュージョン、恋愛、そしてミステリー、歴史的背景も相まって退廃的で世紀末的な空気感に包まれた時代。イリュージョン、幻影、錯覚、幻、勘違いなどの意味がある。愛は止まらない、アイゼンハイムとソフィ、逢瀬を重ねるも、皇太子レオポルドの知るところとなり、烈火の如く怒る。しかも過激なまでの正義感。ソフィは婚約解消を申し出るが、穏やかにことが運ぶはずもなく…という展開。

様々な思惑、皇太子はウール警部にアイゼンハイムの追い落としを命じる、アイゼンハイムとソフィは相思相愛でも階級の壁に阻まれるも、その想いを貫きたい、興行主ジーガはアイゼンハイムの味方、ウール警部は立場上、皇太子側であるが、アイゼンハイムのことは嫌いではない、それぞれの感情が交錯し、ラストへと突き進んでいく。2幕では、このタイトルの意味するところも見えてくる。アイゼンハイムは確かに幻影師(イリュージョニスト)だが、それ以上に舞台上全てがある意味”イリュージョン”。ようやくのフルバージョンでの演出、キャッチーなメロディ、記憶に残るナンバーの数々、メインキャストの圧倒的な歌唱力、ライトモチーフが印象的。ミュージカル『イリュージョニスト』、幻なのか、錯覚なのか、幻想なのか、誤解なのか、アイゼンハイムが仕掛けた”イリュージョン”なのか、そこは劇場で、東京は29日まで。

コメント
STAFF
脚本/ピーター・ドゥシャン
皆さまにトム・サザーランドが演出を手掛ける、私たちのミュージカルを観ていただけることを、非常に楽しみにしています。舞台上にはワクワクするような演出が満載です。クリエイティブチームの仕事は驚くほど素晴らしく、俳優たちはそれぞれの役をダイナミックに表現しています。刺激的な時間を、劇場でどうぞお楽しみください。

作詞・作曲/マイケル・ブルース
『イリュージョニスト』フルバージョンが、ついに日生劇場(そして梅田芸術劇場)で上演されることを、とても嬉しく思います。このプロダクションは挑戦的かつ壮大で、圧倒的な舞台装置と、現代社会に響く力強いテーマ性を兼ね備えた作品です。2021年のコンサートバージョン以来、一流のプリンシパルキャストの皆さんはさらにその演技を深め、卓越した技術とショーマンシップを存分に発揮しています。この目が離せないミステリー・ロマンス・スリラーでは、オーケストラの響きがこれまで以上に壮麗で、アンサンブルの圧倒的な歌声が劇場の屋根を吹き飛ばすほどの迫力を生み出しています。 素晴らしい才能を持つ俳優たち、クリエイティブチーム、そして技術スタッフたちと共に仕事ができたことを心から光栄に思います。

演出/トム・サザーランド
日本で初めてミュージカルを演出してから、早くも10年が経ちました。その間に、ここで共に創作する仲間たちを、世界最高峰の技術を持つアーティストとしてだけでなく、大切な友人だと感じるようになりました。今回、ピーター・ドゥシャンとマイケル・ブルースによるこのスリリングなミュージカルを皆さんと共有できることを、大変嬉しく思います。素晴らしいキャストの皆さんによって、キャラクターに命が吹き込まれ、この作品はさらに鮮やかで豊かなものになりました。コンサートバージョンも愛していましたが、いよいよ開幕が近づく今、より刺激的で没入感のあるミュージカルに生まれ変わったことを確信しています。どうぞお楽しみください。いいえ、”大いに”お楽しみください!

CAST
イリュージョニスト・アイゼンハイム/海宝直人

前回公演は感染症による制約の中、カンパニー一丸となり、創造力を駆使して作品を作り上げました。そして今回は待望のフルバージョン。ドラマチックで美しい音楽はそのままに、より刺激的で想像力豊かな舞台に生まれ変わりました。ある時は色鮮やかに、ある時は魅惑的に、またある時は幻想的に。多彩な表情を見せながら、この作品が問いかけるのはまさに現代そのもの。ぜひ皆さま劇場でご体感ください。

皇太子・レオポルド/成河

ついにフルバージョンを皆様にお披露目できることを嬉しく思います。トム・サザーランドによる唯一無二の空間演出は全て、アナログを駆使した人海戦術です。今のデジタル優位の世界で、イリュージョンも含めた、このアナログの持つ「脳みそを使った最高峰の遊び」をご堪能下さい。そして、この作品が最後に突きつけてくる問いは非常に今日的なものです。劇場でこの問いが美しい音楽と共に皆様に届く瞬間を楽しみにしています。

公爵令嬢・ソフィ/愛希れいか

初日の幕が開くギリギリまで、皆んなで試行錯誤を繰り返し、妥協することなくチャレンジし続けています。私自身も初日にどうなっているのか正直分かりませんが、きっと緻密で美しく、かつ大胆な舞台になるのではないかなと思っています。 千秋楽までソフィとして精一杯生きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。 スリル満点の『イリュージョニスト』の世界を最後までお楽しみください!!

警部・ウール/栗原英雄

いよいよ開幕の時を迎えます。この作品が皆様の元へお届け出来る事に喜びを感じております。2016 年プロジェクトの立ち上がりから本日まで多くの人が関わって来ました。様々なことが有りました。これまで全てのスタッフキャスト関係者の仲間と創られた作品です。この作品が皆様の目にどう映り、どう心に響き、どう思考されるのか、、貴方の真実とは、、ミュージカル『イリュージョニスト』の幕が上がります。

興行主・ジーガ/濱田めぐみ

今回のフルバージョンになって圧倒的な世界観に包み込まれます。セットやライト、衣裳、メイクが揃って漸く完成した舞台『イリュージョニスト』になるのだと。 幻想的で独創的な魅力溢れる世界。前回よりも立体的により深くこの物語が迫って来ます。是非劇場にてこの物語に包まれて下さい。

<2021年公演レポ記事>

ワールド・プレミア公演 『The Illusionist -イリュージョニスト-』幻影、欺くこと、そして真実と正義と。

<STORY>
舞台は19世紀末、ウィーン。栄華を極めたハプスブルク帝国の斜陽。イリュージョニスト・アイゼンハイム(海宝直人)は、興行主ジーガ(濱田めぐみ)と共に世界中を巡業していた。ウィーンでの公演中、偶然にもアイゼンハイムは幼い頃恋心を寄せ合った公爵令嬢、ソフィ(愛希れいか)と再会する。だが、ソフィはオーストリア皇太子レオポルド(成河)の婚約者となっていた。傾国の危機を救うために、過激な思想に傾倒する皇太子。ソフィはそんな皇太子の熾烈な正義感に疑念を抱いていた。ひそかに逢瀬を重ね、変わらぬ愛を確かめ合うアイゼンハイムとソフィ。だが、二人の密会を知った皇太子は、怒りのあまり剣を手にソフィの後を追う。その夜、ソフィは死体となって発見される。事件の真相を探るウール警部(栗原英雄)は、様々な証言から徐々にソフィ殺害の深層に近づいて行く…。目の前に見えているものは果たして真実か?それとも虚偽なのか?

概要
脚本:ピーター・ドゥシャン
作詞・作曲:マイケル・ブルース
原作:ヤーリ・フィルム・グループ制作映画『幻影師アイゼンハイム』/
スティーヴン・ミルハウザー作『幻影師、アイゼンハイム』
演出:トム・サザーランド
出演:海宝直人 成河 愛希れいか/栗原英雄/濱田めぐみ 他
日程・会場
東京:
2025年3月11日(火)~29日(土)日生劇場
大阪:
2025年4月8日(火)~20日(日)梅田芸術劇場メインホール
問合:東京:0570-077-039 / 大阪:06‐6377‐3800 (10:00~18:00)
企画・制作:梅田芸術劇場
主催:梅田芸術劇場・アミューズ

公式HP:http://illusionist-musical.jp