
プラハに次ぐチェコ第二の都市、ブルノにあるブルノ国立劇場。新国立劇場と同じ、オペラ、バレエ、演劇の3部門を擁した、チェコ共和国最大の劇場のひとつです。ヤナーチェク劇場、マヘン劇場、レドゥタ劇場というブルノ市内に点在する3つの劇場を運営し、毎シーズン約20の新作を上演し、幅広いレパートリーで毎年70以上の異なる演目を上演。
この度、劇場付きのスタッフ・キャストが所属する「ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニー」を招聘し、2022年4月の初演以来、レパートリー作品として定期的に上演されているカレル・チャペックの名作『母』を、新国立劇場で上演する。チェコの国民的作家であり、劇作家、ジャーナリスト、評論家、小説家、童話作家としても活躍したカレル・チャペックによって書かれたこの戯曲は、1938年に初演された約90年前の作品です。ブルノ国立劇場 演劇芸術監督ミラン・ショテク氏による、現代劇の上演と共にチェコ演劇の古典作品に現代的なアプローチを続けるという方針のもと、本作は2022年4月レドゥタ劇場にてシュチェパーン・パーツルの演出で上演され、その後もレパートリー作品として定期的に上演され、また国内にとどまらず、イスラエル国立劇場ハビマでも上演、高い評価を得た。
1936~1939年に起こったスペイン内戦を受けて執筆された、戦争により夫と息子たちを次々と失くしていく母親の物語は、約90年の時を経ても色あせず、パーツルの見事な演出と、ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニーのリアリティが溢れる演技で、皮肉にも、まるで現在の世界情勢を今すくいとったかのような作品として我々の前に現れる。戦争で夫と息子たちを亡くした母と、亡くなった家族たちの対話劇。今回が初来日となるブルノ国立劇場ドラマ・カンパニーによる、時に悲痛、時にユーモラスな珠玉の作品を。
あらすじ
夫をアフリカでの戦いで失ったドロレスには5人の息子がいた。長男は医師として、次男はパイロットとして、それぞれの使命を果たして死んだ。双子の三男と四男は内戦に巻き込まれ、戦いの中で2人とも殺される。亡くなった者たちは霊となってドロレスに話しかける。戦火が激しくなり、戦争への参加が呼びかけられる中、唯一生き残っている末息子のトニは軍への入隊を志願し、死んだ父と兄弟たちはトニの決断を応援する。トニまで失う事はできないと必死に抵抗するドロレスだが…。
トレイラー動画
概要
シリーズ「光景―ここから先へと―」Vol.1 海外招聘公演 『母』
〈チェコ語上演/日本語及び英語字幕付〉
日程・会場:【公演日程】2025年5月28日(水)~6月1日(日)新国立劇場 小劇場
作:カレル・チャペック
演出:シュチェパーン・パーツル
ドラマトゥルグ:ミラン・ショテク
美術:アントニーン・シラル
衣裳:ズザナ・フォルマーンコヴァー
音楽:ヤクブ・クドラーチュ
英語字幕翻訳:ヤロスラフ・ユレチュカ マルチナ・ナーフリーコヴァー
日本語字幕翻訳:広田敦郎
舞台監督:八木清市
技術監督:友光一夫
制作:ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニー
出演:ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニー
テレザ・グロスマノヴァー、トマーシュ・シュライ、ロマン・ブルマイエル、マルチン・ヴェセリー、
ヴォイチェフ・ブラフタ、ヴィクトル・クズニーク、パヴェル・チェニェク・ヴァツリーク
芸術監督:小川絵梨子
主催:新国立劇場
後援:チェコ共和国大使館、チェコセンター東京
Supported by Embassy of the Czech Republic in Tokyo, Czech Centre Tokyo
公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/play/mother/
「母』舞台写真 提供:ブルノ国立劇場