ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』開幕 シンディ・ローパー登壇!

ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が開幕した。
本作は、経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーがドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程が描かれた同名 イギリス映画(05年公開)をミュージカル化した、今なお人気を集める大ヒット作品。
日本では16年に初演、19年、22年に再演され、日本中を熱狂の渦へと巻き込み、4回目の上演となる今回もその熱は止まず、上演決定が発表されるや否やSNSでは大きな盛り上がりを見せた。


靴工場の跡取り息子チャーリー役には、ミュージカル『DEATH TAKES A HOLIDAY』に出演した東啓介と、2025年2月にミュージカル『ヒーロー』で主演した有澤樟太郎。ドラァグクイーンのローラ役には、10月に自身初のフルオーケストラコンサートを成功させた甲斐翔真と、ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』で好評だった松下優也。靴工場で働く従業員のローレン役は田村芽実と清水くるみ。チャーリーのフィアンセであるニコラ役には熊谷彩春、靴工場の現場主任ドン役を大山真志、工場長ジョージ役にひのあらた。
公開稽古、チャーリー役は東啓介、ローラ役に甲斐翔真、ローレン役は田村芽実。
前説は現場主任ドン役の大山真志、「RRRR♪」電話に出るドン、スマホで写真を撮ったり。なかなか楽しいので、早めに席に着いておきたい。

基本的な流れは変わらないが、メインキャストを一新した分、フレッシュで勢いがある。しかも長身!東啓介は身長190センチ、最後は高いヒールのキンキブーツを履くのだが、ヒール部分は軽く10cm以上ありそうで…2m?!甲斐翔真も身長185cm、長身コンビ!ちなみに有澤樟太郎も184cm、松下優也も180cm。

シンディ・ローパーのキャッチーでかっこいい楽曲、超前向きなローラ(甲斐翔真・松下優也)、チャーリー(東啓介・有澤樟太郎)を始め、その精神がさざなみのように工場の面々に波及していく。表情も皆、輝いていく。

1幕終わり近くのベルトコンベアーを使ったナンバー、ここは何度観ても圧巻の一言。難しいフォーメーションをきちっと!会見では「通し稽古をなん度もやった」という発言があったが、その成果、一糸乱れぬ動きに最後のキメでは大きな拍手と歓声が。ひのあらたや飯野めぐみらの初演からの続投メンバー、安定感以上に貫禄もあり、また、ローレン役はゲネプロでは田村芽実、キュート、そしてパンチのある歌。

会見では演出・振り付けのジェリー・ミッチェルがカンパニーを絶賛していたが、完璧な仕上がり、最後のシーン、ランウェイ、まずはチャーリー、赤いハイヒールのブーツ、歩き慣れていないという動作がコミカルで微笑ましく、続いてローラ、流石、キマってる、それからエンジェルスたち、工場の面々も!


見どころを挙げるとキリがないが、描かれているテーマも深い。ローラはドラァグクイーン、差別や偏見はうんざりするほど受けてきたはずだが、それでも未来を見据え、自分らしく生きる。

その姿勢は舞台を飛び出して客席にも波及する。傾きかけた工場、だが、創意工夫と発想の転換でそれこそ”満塁逆転ホームラン”も可能、そして他者への思いやり、夢と希望を持つこと、多くのテーマを内包する作品、公演は5月18日まで。

会見には、CHARLIE PRICE(チャーリー・プライス)役の東啓介と有澤樟太郎、そしてLOLA / SIMON(ローラ / サイモン)役の甲斐翔真と松下優也、演出・振り付けのジェリー・ミッチェルが登壇した。フォトセッションの後、会見。

ジェリー・ミッチェルは「最高!とても興奮しています。皆さん、非常に自信たっぷりと満ち溢れて…皆さん各々それぞれ素敵です」とコメント。東啓介は「通し稽古をたくさんしてき待て、ようやく初日が開きます。この『キンキーブーツ』、新しいメンバーが変わってお見せできること、すごく楽しみにしております」と語る。同じくチャーリー役の有澤樟太郎は「岸谷五朗さん始め、日本のクリエイタースタッフの皆さんに、キンキーブーツという作品を、そしてチャーリープライスとしての生き方を…本当にノウハウをたくさん教えていただいて、そして最後ジェリーに魔法をかけてもらった気分です。カンパニーとしては、意識が最上級に上がってる状態なので、やり残したことは全くないですね。お客さんに見ていただいて、早く2025年の『キンキブーツ』を完成させたいという気持ちでいっぱいです」とやる気100%。甲斐翔真は「家に帰る前までは本当に初日って来るんだろうかっていうぐらい現実味がなかったんですけども、これからゲネプロがあって、明日初日ということで、今まで稽古してきて、この作品というのは最後のピース、つまりお客様が入った瞬間に出来上がるものだとつくづく思います。楽しみで仕方ないです。僕自身も楽しみ、皆さんにも楽しんでいただけるように(舞台上でローラとして)精一杯生きたいと思います」と意気込みを。松下優也は突如「皆様、ごきげんよう、松下優也役のローラです!」ここでドッと笑いが起きた。もう掴みはOK,続けて「『キンキーブーツ』本当にリスペクトを持って稽古初日から挑ませてもらいました。そして今の気分としては、いつも松下優也さんは舞台が始まる前は、初日のときはどちらからと言いますと、緊張感がどちらかというと多いらしいですね。高揚感がすごい…楽しみです」と語った。
また注目のメイクについて甲斐翔真は「ローラ役になれてるんだっていう…ヘアメイクですが大体1時間半もかからないぐらいですね」と言い、松下優也はまたまたローラになりきって「ここが明るいのは私がいるから!」、一同、笑。「メイクをするとスイッチが入る感じはあります、ヘアメイク・衣装さんには感謝です。どんどんブラッシュアップされていくし自分たちももっとここをこうした方がいいんじゃないみたいなのが、あったりとかします…(ローラになりきって)今日は一番最高な状態!」とまたまた一同、笑。
また履いてるキンキブーツのヒールの高さについては一番高いものだと12cmあるそう。
ジェリー・ミッチェルから「『キンキーブーツ』という作品は本当の自分であったり、そして自分に誠実であるということを発見していく物語だと言います。ここ今いらっしゃる4人の方々、皆さんそれぞれ、もちろん渡されているマテリアルはマテリアルは同じなんですけれども、日本のチームの皆さんであったり、そういうところの導きによってそれぞれ個人の方向で自分たちの”役”という形を、輪郭をはっきりと作っています。方向性という中で見つけていきつつ、それぞれしっかりと自信を持ってパフォーマンスを作っていることはすごいなと感じています」と語る。
東啓介は「セリフが結構な量なんですよ。セリフをどんどんどんどん喋ってどんどん物語を動かしていかなきゃいけないっていうのは稽古に最初に入ったときには、ちょっと慣れが必要だったなって思いました」と語り、有澤樟太郎は「お客さんが熱狂する姿を想像しながらずっと稽古してまして、まさにそのお客さんの期待を超える作品になったなと。やってみてこんなにも自分のエネルギーが必要なんだなと感じました。この作品はすごくライブ感のある、1人が変わればいろんな方向に変わっていくみたいな、そこのライブ感がすごくこの作品の魅力だなと…初日は楽しみな気持ちです」
甲斐翔真は「初演から見させていただいていち観客としてファンとしてみていましたが、始まったら、幕間位もメイクが…”あれ何やってたっけ?”ぐらいなすごくスピード感のある作品。すごく楽しいのですが、考えるまもなく、すごく貴重な体験になってると思います」と言い「脚のケアが、ふくらはぎが”上がっていく”」とコメント。ヒールが高いので、ふくらはぎが…。松下優也も「もう登場してからは本当に終わるまで、休憩の時間でさえもずっとメイクですし、全てがギリギリの中で…スタッフさんたちが本当に素晴らしい」とコメント。

最後に
東啓介「舞台上に、みんなそのまま生きている、セクシュアルなお話ですが、『受け入れること』、これが作品が愛される魅力だと思います」

有澤樟太郎「作品を作ってきた方々の愛が素晴らしい、愛をお客様に」

甲斐翔真「ハッピーな作品、現代社会、何か大事なものを忘れていたなって思わされる作品でもあります。実はみんな自由なんだよ。ただ自分が変われば、世界が変わる、わかってるようでわかってない。気づかない間に何か固められて、自分じゃどうにもならないって思いを持ってるとは思うんですが、ローラの考えそれを超越、1人の人間として自由に生きて、自分の居場所を探す本当の自分になりたい、姿になる。これこそがやっぱり美しい瞬間なので僕はただローラ、1人の人間としてます演じさせていただき、そういう魅力があるが、作品が愛される理由だと思います」

松下優也「(またまたまたローラになりきって)これは私たちが最高だから!!すごくゴージャス、照明、LED、華やかで、繊細な部分も、ダイナミックで派手なパフォーマンス、これは一方通行で届けるものではない、こっちが皆さんに作品をお届けするっていうだけじゃないところがここも愛される理由かなと思います。本当の自分を探し求めるあなたに寄り添う作品かなと思います」

初日カーテンコール シンディ・ローパー登壇 ※12分頃〜

<2019年公演レポ記事>

小池徹平×三浦春馬ら豪華メンバー続投!ブロードウェイミュージカル『キン キーブーツ』

ストーリー
イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗の靴工場「プライス&サン」の次期社長として産まれたチャーリー・プライス(東啓介・有澤樟太郎)。彼は父親の意向に反してフィアンセのニコラ(熊谷彩春)とともにロンドンで生活する道を選ぶが、その矢先父親が急死、工場を継ぐことになってしまう。
工場を継いだチャーリーは、実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならず、途方に暮れる。従業員のひとり、ローレン(田村芽実・清水くるみ)に倒産を待つだけでなく、新しい市場を開発するべきだとハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラ(甲斐翔真・松下優也)にヒントを得て、危険でセクシーなドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”をつくる決意をする。チャーリーはローラを靴工場の専属デザイナーに迎え、ふたりは試作を重ねる。
型破りなローラと保守的な田舎の靴工場の従業員たちとの軋轢の中、チャーリーはミラノの見本市にキンキーブーツを出して工場の命運を賭けることを決意するが…!

概要
日程・会場:2025年4月27日(日)~5月18日(日) 東急シアターオーブ
キャスト
CHARLIE PRICE(チャーリー・プライス):東 啓介・有澤樟太郎
LOLA / SIMON(ローラ / サイモン):甲斐翔真・松下優也
LAUREN(ローレン):田村芽実・清水くるみ
NICOLA(ニコラ):熊谷彩春
DON(ドン):大山真志
GEORGE(ジョージ):ひのあらた
PAT(パット):飯野めぐみ
TRISH(トリッシュ):多岐川装子
HARRY(ハリー):中谷優心
ANGELS(エンジェルス):穴沢裕介、佐久間雄生、シュート・チェン、大音智海、工藤広夢、轟 晃遙
ANGELS/SWING(エンジェルス/スウィング): 本田大河、長澤仙明
SIMON SR.(サイモンシニア):藤浦功一
MR.PRICE(ミスタープライス):石川 剛
RICHARD BAILEY(リチャード・ベイリー):聖司朗
MARGE(マージ):舩山智香子
MAGGIE(マギー):伊藤かの子
GEMMA LOUISE(ジェンマ・ルイーズ):熊澤沙穂
HOOCH(フーチ):竹廣隼人
MUTT(マット):趙 京來
YOUNG CHARLIE(ヤングチャーリー):奥田奏太、星 駿成、村山董絃
YOUNG LOLA(ヤングローラ):古澤利音、見﨑歩誠、髙橋維束
SWING:上條 駿、加藤文華
Creative Staff
脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー
演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力・上演台本:岸谷五朗
訳詞:森雪之丞
主催:AMUSE CREATIVE STUDIO・フジテレビジョン・サンライズプロモーション東京
企画・製作:AMUSE CREATIVE STUDIO
東京公演問合:アミューズチアリングハウス https://fc.dps.amuse.co.jp/cheering/qa/contact
大阪公演問合:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888(10:00~18:00*日祝休)https://kyodo-osaka.co.jp/

オフィシャルサイト:http://www.kinkyboots.jp/