
イギリスの作家デイヴィッド・アーモンドが生み出した物語『ヘヴンアイズ』がついに日本初演へ。
不思議でちょっと不気味だけど、あたたかさに包まれた世界をどう舞台で立ち上げるのか──演出を手がける荒井遼さんに聞きました。
――今回、この戯曲を選ばれたのはどんな理由からでしょうか
荒井:不気味さと美しさと温かさが共存している小説を読んで魅了されました。戯曲版があることを知り、すぐに取り寄せ企画をしました。自分の趣味100%で選びました。他のアーモンド作品も、これからぜひやりたいです。
――作品の見どころやテーマについて、どのように感じていらっしゃいますか
荒井:今年5月に上演した、太田省吾さんの『更地』と繋がっています。冥界シリーズ。今作には、「何も無いことが、無になる」というセリフがあります。何も無いことすらなくなる。そういう世界観が心地よいです。心の空洞や孤独。壊滅した世界での愛の風景。そして互いが支え合う物語です。We are alone. We are not alone.が象徴的に出てきます。難しく考えないで見て欲しいです。
――稽古場での手応えや、キャストとのやり取りで印象に残っていることがあれば教えてください
荒井:ストーリーだけでは伝わらない小説の雰囲気をどう演劇で表現するか。不思議だけどなぜか納得できる世界を作りたいと思っています。
今年の春に石田亜佑美さんと出会った時に、主人公のエリンをぜひやってほしいと思い、すぐにオファーをしました。すごい集中力で、直感的にシーンや役を掴んでいきどんどん自分のものにしていく様が本当にすごいと思います。渡辺碧斗さんには、答えを早く決めないで沢山寄り道して、だんだん出来上がる創作過程を一緒に楽しんでほしいと最初にお伝えしました。野口さんは、立ち稽古で繰り出すアイデアやアプローチがとっても面白いんです。湯川さんもはかない謎の存在を楽しんでくれていると思います。里内さんには今回、弾けてエネルギーを出してやって欲しいなと思っています。初舞台の岡島くんは色々アイデアを考えてくれていて嬉しいです。大谷さんは劇全体のことを考えてくださりアイデアを言ってくださるのが本当にありがたいです。こういう作品では、リアリズム演劇の窮屈さから解放された芝居作りができるので健康にいいです。
――最後に、公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします
荒井:正解とか考察とかそういう風に考えないで、そのままを受け取っていただけたらと思います。
ヘヴンアイズと呼ばれる少女はいるんだと。それをそのまま受け取っていただけたら幸いです。
公演への意気込みを一言にまとめた、キャスト直筆の色紙が到着しました!







色紙プレゼント
9月15日(月・祝) 14:00公演に来場のお客様を対象に、本ページで紹介した「キャスト直筆色紙」を抽選で7名にプレゼント。
・対象:9月15日(月・祝) 14:00公演 当日入場のお客様(公演チケットをお持ちでも、入場されない場合は抽選対象外となります)
・当選発表・お渡し方法:公演終了後、受付にて当選者の席番号を掲示。掲示された当選席番号の半券を確認後、色紙をお渡し。
・注意事項
色紙は全7種、種類の選択は不可。
一人につき1枚のプレゼント。
当選の場合は色紙の引き換えに半券が必要です。入場後も半券は必ずお持ちください。
当日退場時に受け取りのない場合は、当選無効となります。
あらすじ
自由を求めて、孤児院を抜け出し筏に乗り込んだ 3 人の子どもたちは漂流し、たどり着いたのは真っ黒な泥が広がるブラック・ミドゥンだった。
そこにはヘヴンアイズと呼ばれる、手足に水かきのある不思議な少女と、奇妙な管理人の老人が二人きりで暮らしていた……。
「月の明るい晩にヘヴンアイズと出会った。どんな悲しみ苦しみのなかにも天国をみいだす目を持っている少女。」
ブラック・ミドゥンの泥には、たくさんの秘密と悲しみ、そして希望が埋まっている……。
概要
『ヘヴンアイズ』
日程・会場:2025年9月12日(金)〜17日(水) すみだパークシアター倉
作:デイヴィッド・アーモンド
翻訳:髙田曜子
演出:荒井遼
出演:石田亜佑美、渡辺碧斗、湯川ひな、野口詩央、里内伽奈、岡島洸心、大谷亮介