アダム・クーパー出演 来日公演 ミュージカル『コーラスライン』開幕 新演出で_

新『コーラスライン』、50年の時を経て日本特別来日公演が開幕した。

ニューヨーク市。1975年。観客のいないブロードウェイの舞台で、17人のパフォーマーが新しいブロードウェイミュージカルの最終オーディションに挑む。合格するのはたった8人。
『コーラスライン』は、ブロードウェイを革命的に変えたミュージカルの傑作。マイケル・ベネットは、ダンサーたちとの深夜の録音セッションから得た実際の証言を基に作品を創作。劇場の知られざる英雄たちの生涯を称え、情熱、打ち砕かれた希望、夢を追うために本当に必要なものを描いた、心に響く物語。マイケル・ベネットへの最大のリスペクトを持って創作された新バージョン。


この新プロダクションは2021年12月イギリス レスターにあるCurve劇場で初演、ニコライ・フォスターが新演出を手がけ、アダム・クーパーがザック役を演じ、絶賛。エネルギッシュな振付、心に響く「私」の「あなた」の物語。
舞台上のダンサーたちの“人生”が私たちに熱く熱く響くまさに“最強バージョン”!17の物語 8つのチャンス 唯一無二の感動
SEVENTEEN STORIES. EIGHT CHANCES. ONE SINGULAR SENSATION。
雑踏の音、まさにニューヨークの中心、そして始まる。オーデション風景、合図に合わせて踊る、映画や劇団四季の『コーラスライン』を観たことがある観客なら、もう、その後の展開など、いうまでもない。

有名すぎるミュージカルナンバー、ザックとキャシーのシーン、最後のラインダンスなど、脳内に蘇ることだろう。確かにストーリーも曲もあの!『コーラスライン』ではあるが、演出、振付、照明、セットetc.が新しい。マイケル・ベネットのオリジナル版を彷彿とさせつつ、現代らしい空気感のあるダイナミックな動き、フォーメーションになっている。衣装もオリジナル版を踏襲しつつ、新しくなっている。

初演は1975年7月25日、1990年4月28日の千秋楽まで6137回公演して当時最長のロングラン、1976年のトニー賞で最優秀ミュージカル賞をはじめ9部門を獲得、つまり初演から実に50年、半世紀も経っているのに色褪せない。舞台上の全ての登場人物の人生、生き様、取り立てて特別なものではない。

だが、彼らのバックボーン、共感する部分も多く、また、彼らはそれをなんということもなく語るが、その裏側にあるものはアメリカならでは、人種のるつぼと言われるが、まさにそれを目の当たりにする。そしてLGBTQ、今でこそ、こういったテーマを題材にした舞台や映画はあるが、この『コーラスライン』が発表されたのは1970年代。当時の観客には新しく映ったことだろう。そこから50年、半世紀、同じシーンでも立ち位置や動きを変えるだけで異なる印象。また、ザックは最初から舞台上にいる。オリジナル版では、どこからか声が響く、だが、上手にはザックのデスクがある(電話機やライトがしっかり70年代!)、そして席を外す時は客席に降りる。ザックの心模様がよりはっきりとわかる。

そしてキャシーとのシーンもオリジナル版より”濃い”印象。椅子を使う演出など、UP TO DATE されている。未来へ残したい作品、だからこそ、時代と共に変化もする、だが、単に新しいだけでなく、マイケル・ベネットへの尊敬の念も感じさせる演出、振付、そうして次の世代へ繋いでいく。クリエイティブスタッフ、キャストの心意気、そして『コーラスライン』で描かれる”人生”。だから名作、オリジナル版を観たなら、様々な相違点をチェックするのも一興。休憩なしの120分。

公開ゲネプロ後に簡単な会見が行われた。登壇したのはザック役のアダム・クーパーと演出のニコライ・フォスター。

ニコライ・フォスター「私たちはとても恵まれた立場でして、今まではオリジナルの偉大なるマイケルベネットの演出に基づいたプロダクションしかなかった。 アダムクーパーとともに、白紙の状態からこの作品を新たに作り直すというチャンスをいただきました。 もう演出、振り付け、照明、あらゆるところから新しく解釈するという機会をいただいたということですね。 そして私たちにとっては、やはり21世紀というレンズを通して、この作品を見ていくということに今回着目いたしました。偉大な振付家のエレン・ケーンに助けていただき、この作品が現代コンテンポラリーな世界の中でいかにして、どう生きるかということを我々は探っていきました。 この作品の中で見られるテーマセクシャリティであったり、その演出家や役者の関係性、ヒエラルキーというものが、現代の演劇界の中でどういうふうに生きるかということを、今のお客様にどう伝えるかということを大事にしながら、作ってまいりました」と語った。ストーリーもミュージカルナンバーもオリジナルだが、そこに21世紀を意識した味付け、変化、名作だからそのまま上演する、という選択肢もあるわけだが、あえてそれをやらない心意気。

アダム・クーパー「まずこのお話を聞いたときに、すごくワクワクしました。 映画版を見て、僕自身も育ったので。 映画版は舞台版とは少しナンバーとかは違いますが、もともと知っていた作品、オリジナルのリバイバルも2013年にロンドンで拝見させていただいて。変わらず面白みのある作品でありつつ、やはりその時代性という意味では少し遅れをとっている。 そのせいで、せっかくのその作品の良さというのが薄まっているというふうに感じた中で、ニコライがこうして新しいバージョンを演出するというふうに聞いて、演出だけでなく振り付け、そして音楽アレンジも変わっていくと聞いて、すごく素敵だなと思いました。 というのも、やはりいい作品、例えばシェイクスピアもいろんな風に解釈されていますよね。だったらいいミュージカルだってどんどん新しくされていくべきだというふうに感じましたので、とても嬉しかったです」とコメント。
また日本の演劇と海外の演劇との違いについての質問が出た。アダム・クーパーは「演劇は普遍的で、どの国も共通のものなのではないかと思います」と言いつつ、「我々の目的は人(の心)を動かす物語を作り出すこと。これまでさまざまな国でお仕事をさせていただいてきました。意義のある、そして作品に対してきちんと正義を果たすことはどこの国に行っても変わらないです」と語る。しかし、アダム・クーパーは「「個人的には日本がとても好き」と笑顔。今回の公演、日本語も飛び出すので!どのシーンなのかは劇場で。
最後にアダム・クーパーは「「とてもすばらしい体験をしていただけると思います。僕自身、舞台の上で毎日、すばらしい才能をに目の当たりにする喜びを感じております。オリジナルプロダクションと同じくらい…もっとすばらしい作品になっていると思います。ぜひ楽しんでいただければと思います」と締めて会見は終了した。

イントロダクション
物語は、ニューヨーク。舞台の新作ミュージカルのオーディション会場。ステージ上には、1本の白い線が書かれている。その線の前に、最終オーディションに残ったメンバーは17名。最後の課題を渡される。『自分自身について語ってほしい』と。そして、課題を渡すのが、新作ミュージカルの演出家・ザックである。最終オーディションの面々は、多様な人生を歩んできており、誰一人として同じ回答をする者はいない。自分の人生のシェアをするとき、人は最高の主役であり、輝く瞬間を見るのであった。そんなメンバーの中に、過去にザックと恋人関係にあったキャシーも、再び舞台に戻るためにオーディションに挑んでいた。

概要
公演名
ミュージカル『コーラスライン』プレミア公演
日程・会場:2025年9月8日(月)~9月22日(月) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
出演:アダム・クーパー ほか
ミュージカル『コーラスライン』日本特別公演
原案・振付・演出:マイケル・ベネット
台本:ジェームズ・カークウッド/ニコラス・ダンテ
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
作詞:エドワード・クレバン
共同振付:ボブ・エイヴィアン
演出:ニコライ・フォスター
振付:エレン・ケーン
セットデザイン:グレイス・スマート
ミュージカル・スーパーヴァイザー:デイヴィッド・シュラブソール
衣裳デザイン:エディ・リンドレー
照明デザイン:ハワード・ハドソン
音響デザイン:トム・マーシャル

WEB:https://tspnet.co.jp/whats-ons/acl/