
森田剛主演、パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』が9月23日から東京芸術劇場プレイハウスにて開幕。

ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナー(1813~1837)が遺した未完の戯曲『Woyzeck』(ヴォイツェック)。今回の脚本は、2017年にロンドンのオールド・ヴィック劇場で上演され、高い評価を集めた、ジャック・ソーンのアダプテーション版。ビューヒナーの原作を現代的に解釈し、冷戦下の1981年ベルリンを舞台に、政治的緊張感と心理的・感情的な深みを強調したドラマで、ロンドンの観客を圧倒。このニューアダプテーションを日本で初上演。
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でその名を知られる劇作家のジャック・ソーン。彼の手によって現代にアップデートされた今回の『ヴォイツェック』は、過去のトラウマと自身の心の闇と闘いながら生きるヴォイツェックの姿を通じて現代社会の様々な問題を浮き彫りにし、内面的な葛藤に直面する現代人の姿を映し出す。
演出は、米国アクターズスタジオ大学院演出学科を日本人で初めて卒業し、小田島雄志・翻訳戯曲賞、紀伊國屋個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞ほか、多くの受賞歴を持ち、2018年より新国立劇場の芸術監督を務める小川絵梨子。
主演ヴォイツェック役は、多くの舞台作品で主演を務め、様々な演出家のもと難役を演じてきた森田剛。ヒロインのマリー役に伊原六花。ヴォイツェックの母親とマギーの二役に伊勢佳世。ヴォイツェックの同僚アンドリュー役に浜田信也。大尉役に冨家ノリマサ。医者役に栗原英雄。
ゲネプロ前に会見が行われた。
まずは今の気持ち、意気込み。
森田剛「ついに初日の日が来たなっていう感じであっという間に約1ヶ月の稽古を終えて、(心臓が)バクバクしています」
伊原六花「本当に相手見ないとわからないなと思うことがたくさんあるんですけど、キャストスタッフの皆さんと作り上げてきたので、まずは必死に(役を)生きようと思います」
伊勢佳世「今日はありがとうございます。ここまでみんなで一緒に来れたことが本当に嬉しいですし、これから本番、楽しみでもあります。よろしくお願いします」
浜田信也「今回、一緒に作っている仲間が本当に素晴らしい方たちばかりで毎日の稽古もとても楽しく朗らかに過ごすことができました。あとは本番をみんなで一緒に楽しく乗り切っていけたらいいなと思います。楽しみにしてます」
冨家ノリマサ「稽古中から、森田さんがみんな引っ張っていて、とても素晴らしい経験ができたと思います。作品自体が震えるほどの作品なので、その震えが自分にも伝わっていて、初日を終えながら、迎えたいと思っております」
栗原英雄「ついにここまで来たなという感じです。怒涛のごとくみんなでやって、今日を迎えました。明日はもっといいものになると思いますので、頑張りたいと思います」
稽古場でのエピソードについて
森田剛「たくさんの言葉をいただきました。その中で素敵だなと…一緒にやっている。仲間を信じるっていう…『相手に委ねる』そんなこと言われました。だから、100%信じている、自分も信じてもらって、そこで役として生きれたらいいなって思ってます」
伊原六花「全く同じなんですけどそれ以外本当に宝物みたいな言葉をたくさんいただいて、印象的で、いただいた言葉をずっと考えて…『うるせえバーカーでいいから』っ仰って。それで力が抜けたというんでしょうか、原点、その場で起こることをもう少しビビッドに感じて楽しめたらもっと楽しいなっていう思いです」
伊勢佳世「本当にお2人と一緒で、いつも目からウロコのことばかりで、でも本当に相手を信じて、本当に今起こってることに反応してそれだけでいいって言ってくれるので、本当にそれだけで舞台にしようって思ってますし、そうなったことでいろんなことが起こります。面白いし楽しいなと思っています」
浜田信也「大体皆さんと同じなんですけど、前に進んで、相手に委ねて、1人でやらずに、いつも舞台上にいる人と一緒に時間を過ごしてその場で生きていくっていうことをとにかく大事にしたい、それをいろんな言葉で伝えてくださいまして、その言葉が印象に残っています」
冨家ノリマサ「皆さんから言われた通りのことで、僕も同じように相手を感じるほど、とにかく相手を感じることこれを一番頭の中に刻みながらやってます。稽古場でのエピソードは、稽古が終わった後の休憩時間が皆さんすごく仲良くてこれが癒しの時間でした」
栗原英雄「ほぼみなさんが言われた通りですね。なかなかしつこく、今皆さんが言ったようにそれを毎日毎日アドバイスを受けました。すごく、とてつもないハードルの高いノートをいただいたり、アドバイスをいただいたり、そういう日々でしたね。相手に委ねて、1人でやらずに、いつも舞台上にいる人と一緒に時間を過ごしました」
作品台本を読んだ時と稽古を重ねて本番近くなった時の印象について。
森田剛「ものすごく変わってきます。やっぱり日々の稽古の中で、今は毎日発見ですね」
伊原六花「受ける印象があまり変わってないんですけど、稽古していくたびにいってもらえる言葉とかでどんどん周りにだったり、今生きている場所がすごく快適になっていったので」
伊勢佳世「母親の役が台本にはあまりセリフが書かれていないので森田さんが演じるのを見ながら、自分で母親もこうなんじゃないかなんじゃないかってすごく想像させてもらったので、稽古中は本当に森田さんが変わるごとに自分もすごくそれに影響を受けて、膨らませていった感じがあるので。どんどん違う感じになってきた気がします」
浜田信也「僕はガラッと変わっていました。僕は180度変わったなと言ってもいいかなっていうぐらい変わりました。森田さんと一緒のシーンが、僕は多いのですが、だんだん仲良くなっていく過程、それが登場人物としてももちろんそうなんですけど、お互いのことを少しずつ知っていくというんでしょうか、役として繋がりが深くなっていくのがリンクしていて、結果的に最初の印象とは自分の中ではかなり変わりました」
冨家ノリマサ「僕は自分の役もそうなんですけれども、最初に台本を読んだときに理解できなくて…『なんだこれ』って思いながら、さあ、これでこの物語の中で自分という歯車がどういうふうに作用していけばいいのかなってすごい考えながらでも、稽古が始まると、どんどん皆さんがいろんなものを立ち上げてきて、最初の印象とずいぶん変わって、稽古途中で自分の中のポジション、ハードル、どういうふうに動けばいいのかっていうのが、だいぶ見えてきたっていう…もうゲネプロと本番ですけれども、1ヶ月経ってやっと見えてきたものがあります」
栗原英雄「最初はやっぱり考える…読んだときはどうで考えてどうなんだろうって悩んでいたものが、日々違う形で感覚的なことがわかってきて。その後に自分もそうなんですけど登場人物が立ち上がってきて、みんなが立ち上がってきて交わって、こういう物語が流れていくんだなっていうのが少しずつ感覚的にわかってきました。あとはこれからどうなるのかなっていうのが今思ってるところです」
役を演じるにあたり、共感できる点、苦労した点など。
森田剛「人間は愛したいし、愛されたいし、認められたい、自分の居場所を探したい、諦めないという強い気持ちは共感といいますか、彼のそういう部分に憧れています」
伊原六花「必死に生きているところはすごく共感ができるなと思います。環境や時代は全然違いますが、楽しいことは楽しい、喧嘩するときは喧嘩する、ちゃんと生きてる、そうして生きていきたいなと私も思ってるので、そういう部分ではすごく共感できるなと思ってます」
伊勢佳世「私とは割と生活がかけ離れていますし、嫌な女にも見えますけれど、よりよく生きたいって思っている欲望、ちょっと楽しかったり、やっぱり自分にもそういうところがあるんだなって感じてます」
浜田信也「あと人に見せたくない弱み、コンプレックスそういうものをから目を背けることで、楽しく生きていこうっていうところが僕のはありまして。そういうのは多分、誰しも無意識に多少は持ってるところ、弱さなんじゃないかなという思っています。そこについては自分にもそういう要素があるので」
冨家ノリマサ「軍人の役なので…日本は今、平和ですけれども、世界を見れば、本当にたくさんの戦争が起こっている中で、そこに従事している軍人の思いというのは理解ができます」
栗原英雄「ただその時代に生きた人間が必死に生きようとしたらどういうふうな行動をとって、それが正しいかどうかもわからず必死に生きるためにこの人はこう生きてるんだなっていうところは、現在にも通じると思うので、そういうところは同じかなとは思ってます。自分の役はマッドサイエンティストのような人で(笑)、共感できる部分は少ないのですが、その行いが正しいかどうかは別として、必死になって生きようとしているところは、現代を生きる我々にも通じると思います」
最後に公演PR。
森田剛「とにかくやるだけ、本気でやりますから見に来てください。見に来てくださった方のはその場で起こってることを素直に感じてもらえたらいいなと思います」
ストーリー
冷戦下のベルリン。軍事占領下の緊張が渦巻く街で、イギリス人兵士ヴォイツェック(森田剛)は、幼少期のトラウマとPTSD、そして貧困の記憶に苛まれながら生きていた。薬物投与による幻覚とフラッシュバックが彼の心を蝕み、現実と過去の境界が崩れ始める。愛する人への狂おしいほどの執着と嫉妬が、彼を予想だにしない運命へと導いていく――。
コメント
小川絵梨子(演出)
無事初日を迎えられることを大変にありがたく幸せに感じております。
素敵なスタッフ・キャストの方々と作り上げてきた、この「ヴォイツェック」の世界を、ぜひお客さまに楽しんでいただけましたら大変に幸いです。

概要
パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』
原作:ゲオルク・ビューヒナー
翻案:ジャック・ソーン
翻訳:髙田曜子
上演台本・演出:小川絵梨子
出演:森田剛 伊原六花 伊勢佳世 浜田信也/中上サツキ 須藤瑞己 石井舜 片岡蒼哉/冨家ノリマサ 栗原英雄
日程・会場:
東京:2025年9月23日(火・祝)〜9月28日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
東京:11月7日(金)~11月16日(日)(リターン公演) 東京芸術劇場 プレイハウス
岡山:10月3日(金)~10月5日(日) 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場
広島:10月8日(水)〜10月9日(木) JMSアステールプラザ 大ホール
北九州:10月18日(土)〜10月19日(日) J:COM北九州芸術劇場 大ホール
兵庫:10月23日(木)〜10月26日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
愛知:10月31日(金)〜11月2日(日) 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
企画・製作=株式会社パルコ