日本青年館ホールにて上演のミュージカル『タイタニック』が、いよいよ本番を迎える。 本作品は、タイタニック号に乗船した人々の物語が、史実に基づき描かれている、壮大な群像劇。劇中では、一人のキャストが1等客、2等客、3等客、船員など、早替えをしながら様々な役を演じ分けるなど、見 どころのひとつとなっており、2015年の初演で大好評を博した本作の待望の再演。 2015年『タイタニック』初演、2016年『グランドホテル』、2017年『パジャマゲーム』と日本で演出を手掛け たロンドンで注目の若手演出家トム・サザーランドの再演作! 開幕に先駆け、プレスコールが開催された。場面はオープニング、全キャストが出演する約20分間「出航」のシーン。その前に全員集合!状態でパチリ、まずは演出家のトム・サザーランドが再び上演できる喜びを口にした。それからキャストの挨拶、皆、出演できることに関して感謝と喜びの言葉の他に、「丁寧に演じたい」「愛することの尊さを」「生のライブ感」「生き様をしっかりと」という言葉が出た。この作品は誰かにフォーカスしているのではなく、すべてのキャラクターの人生、希望、夢、愛、といった普遍的なテーマが詰まっている。それを生で、演劇で、ミュージカルで見せることの意義、石川禅は「素晴らしい舞台」といい、初演から参加している鈴木壮麻は「3年半前にトムと作った、あの感情が忘れられない。この出航に立ち会ってください」とコメント。加藤和樹は「今年は新しいタイタニック、みんな大変な思いをしていますが、力を合わせて!」と語る。また演出については「シンプルになったと思います」とコメント。
俳優陣はフォトコールの準備のため、ここで退場。それからトム・サザーランドが作品とフォトコールの場面解説。やりたいと思ったのが5年前のことで『タイタニック』をミュージカルにしたいと思ったが、周囲は「どうかな?」という反応だったそう。しかし、そこは超前向きなトム・サザーランド、「チャレンジが好き」と語る。
実はこの作品、冒頭シーンが重要な位置を占めている。「挑戦する人々の夢、希望、野望」これがミュージカルには不可欠と語る。「1522人の夢を持った人々をご覧いただきます」とコメント。ミュージカルに登場するキャラクターは皆、希望に満ち溢れている。「22人の役者で80人以上の人間を見せています。衣装を変えて新しい人物になる。これが大事なこと。同じ役者であることを認識していただきたい。タイタニックの雰囲気も見せます、役者は通路を走っていきます。一緒に乗船している気持ちになります」と語る。タイタニック、船旅、それにトム・サザーランドは自分自身と重ね、「知らない場所で素晴らしい作品を作る、日本で再演できるのは嬉しい」とコメント。また「あんまり、まえもって計画して演出はしていない」ともコメント、つまり役者と創る、創造する、今年の『タイタニック』は今年だけ!
それからフォトコールが間髪入れずに行われた。いわゆる『諸注意』はタイタニック号の乗組員からの注意、という形、つまり客席も『タイタニック』の一部なのである。舞台の中央に机、一人机に向かい、一心不乱に何かを書く、そう、タイタニック号の設計図だ。彼は設計士・アンドリュース(加藤和樹)、そして、ついに完成する、美しく、壮大なタイタニック号!流れるように楽曲が流れ、歌う、コーラス、ソロ、きっと皆、こんな感じだったに相違ない、と思わせる、人々の輝く顔、顔、顔。乗組員も乗客も皆、晴れやかで希望と夢に満ち溢れ、闊達に歩く。客席通路も頻繁に使う。きっと未来は輝いている、そうに違いない、と信じる人々。ここのミュージカルナンバーは本当に光輝く楽曲、そしてスピーディーに進行する。あっという間のオープニングであったが、濃密なシーンであった。
10月1日、出航!
【概要】
ミュージカル『タイタニック』
原作:ピーター・ストーン
音楽・作詞:モーリー・イェストン
演出: トム・サザーランド
出演:
加藤和樹 石川禅 藤岡正明 戸井勝海 相葉裕樹 津田英佑 渡辺大輔
上口耕平 小野田龍之介 木内健人 百名ヒロキ 吉田広大 栗原英雄
霧矢大夢 菊地美香 小南満佑子 屋比久知奈 豊原江理佳
安寿ミラ 佐山陽規 鈴木壮麻
日程・場所:
2018年10月1日~13日/東京・日本青年館ホール
2018年10月17日~22日/大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
公式HP:http://www.umegei.com/titanic-musical/
取材・文:Hiromi Koh