沢尻エリカ主演『ピグマリオン-PYGMALION-』上演中

沢尻エリカ主演『ピグマリオン-PYGMALION-』が好評上演中だ。この作品は「マイ・フェア・レディ」や「プリティ・ウーマン」の原作、シェイクスピアに次ぐ英国人劇作家、ジョージ・バーナード・ショーが1912年に執筆した傑作喜劇。映画「マイ・フェア・レディ」ではオードリー・ヘプバーンが主人公イライザを演じ魅了。数々の名優が演じたイライザ役に挑戦する。そのほかヒギンス教授に個性派・六角精児、こちらも宝田明、細川俊之などの名優揃いの役柄。上流階級の家庭で育ったフレディ・エインスフォードヒル役を橋本良亮。清水葉月、玉置孝匡、市川しんぺー、池谷のぶえ、小島聖、春風ひとみ、平田満という豪華キャスト。演出には英国演劇界の重鎮、ニコラス・バーター。

雷鳴、大雨、人々は雨宿り。上流階級の親子、花売り娘、メモをとる紳士etc.さながら人々が出会う”交差点”のよう。メモをとる紳士はヒギンス教授、音声学の学者、花売り娘の名はイライザ(沢尻エリカ)の訛りをメモしていたのだった。イライザは酷いコックニー(ロンドンの労働者階級で話される英語)、訛りや言葉使いで階級がわかる。花売り娘は労働者階級、ブルーカラー労働者、イギリス人の約半数がこのカテゴリーに属する。今も上流、中流、労働者の3つに大別されている。ましてや、この時代、階級は現在よりきっちり。それがセリフの随所に現れている。そういったイギリスの社会背景についての知識をほんの少し頭に入れておくと物語は俄然面白く感じるはず。

「マイ・フェア・レディ」を観たことがあるなら、大体の流れはわかるはず。演奏は生バンド。このバンド、ただ演奏するだけでなく、この作品の立派な”登場人物”、街中で演奏したり。1幕の後半、ヒギンスはイライザをミセス・ヒギンスのおもてなしの日に呼ぶ。ここでくり広げられる会話、登場人物たちの立場、考え、感情がそこはかとなく見えてくる。そこへイライザが入ってくる。この変貌ぶり、舞台が一瞬、華やぐ。ここのシーンは1幕のハイライト。完璧な立ち振る舞いのイライザ、周囲の反応が見どころ。また2幕、いよいよ大使館のレセプション、イライザ、社交界デビュー、ここの場面は2幕の、そして作品全体の見せ場となる。

原作者のバーナード・ショーは戯曲を53本のこした。1925年にノーベル文学賞を受賞し、この『ピグマリオン』はハリウッドで映画化されて第11回アカデミー賞の脚色賞を授与。この作品、ロマンチック・コメディなので、もちろんバッド・エンドにはならない。そしてこの作家らしい、社会や階級制度への痛烈な批判もしっかり込められている。登場人物に悪人は一人もいないが、階級社会の中で一生懸命に生きている。
ヒロイン役の沢尻エリカ、『欲望という名の電車』で舞台初挑戦、今回は二度目だが、とりわけイライザが変貌を遂げる瞬間は美しく、劇場の空気も変わる。また、ちょっと訛りが抜けきらないところはキュート、そして芯の強い女性を熱演。イライザを”教育”するヒギンスは六角精児、動きが少々子供染みていて少し上から目線のキャラクター、嫌味にならないところがチャーミング。

そしてこの二人に関わる登場人物たち、ピカリング大佐、エインスフォードヒルの家族、家政婦のミセス・ピアース、ミセス・ヒギンズら、皆、芸達者。また、イライザを好きになるフレディ・エインスフォードヒル・フレディ、イライザを一目見た瞬間からラストに至るまで、階級に囚われずに自分の気持ちに正直な人物、橋本良亮が爽やかに。家政婦のミセス・ピアースは「ヒギンスのことならなんでも知ってる」という風情、貫禄漂う家政婦を池谷のぶえが存在感たっぷりに。ミセス・エインスフォードヒルは階級こそ上だが、あまりお金持ちではない風情が最初のシーンでわかる。だが、息子のフレディ、娘のクララは次世代らしい振る舞い、それによって母親のミセス・エインスフォードヒルが階級とお金に囚われていることがより強調されている、そのコントラストが作品のテーマを際立たせている。なかなかに稀有な上演作品、また、奇しくも「プリティ・ウーマン」が上演中、見比べてみるのも一興。『ピグマリオン-PYGMALION-』、東京は2月8日まで上演。その後、名古屋、北九州、大阪、大千穐楽は3月8日。

<開幕会見レポート>

沢尻エリカ主演『ピグマリオン-PYGMALION-』開幕会見レポ

<六角精児インタビュー>

六角精児『ピグマリオン-PYGMALION-』インタビュー

あらすじ
音声学のヒギンス教授は、ある雨の夜、コヴェントガーデンの路上で花売り娘のイライザと出会う。ロンドン訛りが強烈で教養の一欠片もないイライザ。そのイライザの夢は路上の花売りではなく、花屋で働けるレディになること。「この娘にたった6カ月で上流階級の話し方を身につけさせることは可能なのだろうか。」ヒギンスは面白い実験材料が見つかった!と喜び、盟友のピカリング大佐と協力して、イライザを徹底的に教育する日々が始まる。
過酷なレッスンを経て、ヒギンス教授とピカリング大佐の期待以上のレディに生まれ変わったイライザは、見事、社交界で大成功をおさめる。そんな中、若い青年フレディはイライザの真の魅力に惹かれていく。

概要
タイトル:ピグマリオン-PYGMALION-
会期会場:
東京:2026年1月20日(火)~2月8日(日) 東京建物 Brillia HALL[豊島区立芸術文化劇場]
名古屋:2026年2月13日(金)~2月15日(日) 御園座
北九州:2026年2月21日(土)~2月23日(月・祝) J:COM北九州芸術劇場 大ホール
大阪:2026年3月5日(木)~3月8日(日) SkyシアターMBS
作:ジョージ・バーナード・ショー
演出: ニコラス・バーター
翻訳: 髙田曜子
上演台本:須貝 英
美術/衣裳:パメラ・ハワード
出演
沢尻エリカ
六角精児
橋本良亮 清水葉月 玉置孝匡 市川しんぺー
池谷のぶえ 小島聖 春風ひとみ
平田満
渡辺慎平 松谷翔一朗 ウラシマ 根橋そら 恩田晴菜 小山うぃる
<MUSICIAN>
Cl./Fl./A.Sax.:土井徳浩 (大阪公演:鈴木直樹)
Vn. :定村史朗 Acc.:藤野由佳 Dr./Perc.:和田啓

公式HP:https://pygmalion2026.jp/
#ピグマリオン2026

©舞台『ピグマリオン』2026/撮影:岩田えり