舞台『ピーターとアリス』が東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演中だ。その後2月28日~ 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。 この舞台は、トニー賞やオリヴィエ賞で数々の受賞歴を持つマイケル・グランデージの演出によって、13年にロンドンウエストエンドで初演。脚本は、世界を熱狂させたミュージカル『ムーラン・ルージュ!』や映画「ラストサムライ」「007 スカイフォール」など多数の名作を生み出したジョン・ローガンの書き下ろし。

世界中で愛される名作「ピーター・パン」と「不思議の国のアリス」。そのモデルとなった2人が、奇しくも数十年後に出会い、現実と幻想を交錯させながらそれぞれの辿った人生を赤裸々に語り始める。演出は、『夜への長い旅路』『MISHIMA~班女~』『陽気な幽霊』ほかを手掛けてきた熊林弘高。翻訳は、直近『インヘリタンス-継承-』『陽気な幽霊』などで熊林とタッグを組む早船歌江子。不思議の国のアリス役を演じるのは古川琴音。ピーター・パン役は青木柚が演じる。
「ピーター・パン」のモデルとされる人物ピーター・ルウェリン・デイヴィス役は劇団EXILEの佐藤寛太。そして、「不思議の国アリス」のモデルとなったアリス・リデル・ハーグリーヴス役は麻実れいが演じるほか、飯田基祐、岡田義徳、簡秀吉、山森大輔らが出演。

通路からアリス・リデル・ハーグリーヴス(麻実れい)がゆっくりと登場し、最前列の客席に座る。そして場内アナウンス、後方に座っている観客は、本当にギリギリに客席に入った観客と勘違いするかもしれない。そのくらい、ナチュラル。彼女はピーター・ルウェリン・デイヴィス(佐藤寛太)に会う。アリス・リデル・ハーグリーヴスは、あの「不思議の国のアリス」のモデル、年齢は80代、そしてピーター・ルウェリン・デイヴィスは「ピーター・パン」のモデル、いい大人、物語では二人とも”永遠に子供”だが。ピーターは独立系の出版社を経営している。時は1932年。「不思議の国のアリス」は1865年11月に刊行、1886年には7万8000部、1898年までは15万部以上、大ヒット。対する「ピーター・パン」は1904年に発表された戯曲「ピーター・パン:大人にならない少年」が初出。そして1911年に小説「ピーターとウェンディ」が発表された。何度か手直しされ、1928年に台本「ピーター・パン:大人にならない少年』が出版された。


現在(1932年)、過去、虚と実、それぞれの原作者、不思議の国のアリス(古川琴音)とピーター・パン(青木柚)登場(ピーター・パンはもちろん、フライング!)、なかなかにカオスな状況。様々なバックボーン、映像演出が興味深い。時折、モノクロ映画「不思議の国のアリス」の映像、おそらく最古のものであろうか、作品世界をよりクローズアップさせてくれる。


1932年、第二次世界大戦と第一次世界大戦の間、第一次世界大戦の映像、不思議の国のアリスとピーター・パン、シニカルな発言、今の現実、過去、アリスとピーター、アリスの息子は戦争に行き、ピーターは戦地に赴いた。苦い現実。そして最終着地点は?
作品の捉え方は観客の数だけいる。「不思議の国のアリス」も「ピーター・パン」もファンタジーだ。だが、現実はこういった作品に描かれている世界観とはほど遠い。しかも、ファンタジー🟰楽しい、ではない。「不思議の国のアリス」はなかなかにハードな冒険をした挙句、全ては夢だった、そして「ピーター・パン」、ピーターに連れられたウェンディも海賊に捕まったりとこちらもハードな冒険、ピーターは永遠に子供だけど、自分は違う、家に戻り、時が経ち、大人になる。

現実を生きるアリスとピーターの顛末もかなりビターで物悲しい。上演時間は休憩なしの2時間弱。たかが2時間弱と思うなかれ。ピーターとアリスの人生、そして「不思議の国のアリス」と「ピーター・パン」の奥に秘められたもの、作家の想い、現実、交錯し合い、混沌としていく。その濃密な時間を観客は味わう。その味はどんな味なのか、そこは劇場で味わって欲しい。
<古川琴音 & 麻実れい 舞台『ピーターとアリス』クロストーク>
あらすじ
1932年、ロンドンのとある書店で開催された「ルイス・キャロル展」の開幕式で、アリス・リデル・ハーグリーヴス(当時80歳)と、ピーター・ルウェリン・デイヴィス(当時35歳)は出会う。永遠の子どもとして物語に刻まれた2人は、そのとき一
体何を語り合ったのか。現実の世界に”ピーター・パン”と”不思議の国のアリス”が登場し、過去と幻想が複雑に交錯して
ゆく。大人になった2人が辿り着く、人生の終幕とは――
概要
舞台『ピーターとアリス』
作:ジョン・ローガン
翻訳:早船歌江子
演出:熊林弘高
会期会場:
東京:2026年2月9日(月)~2月23日(月祝)東京芸術劇場 プレイハウス
大阪:2026年2月28日(土)~3月2日(月)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
キャスト:古川琴音 青木 柚/飯田基祐 岡田義徳/簡 秀吉 山森大輔/佐藤寛太 麻実れい
公式サイト:https://www.umegei.com/peteralice2026/
撮影:岡千里


