花總まり主演のミュージカル『破果(パグァ)』が東京・新国立劇場 中劇場にて好評上演中だ。
ク・ビョンモによる韓国の人気小説が原作、60代の女性殺し屋が主人公というなかなかない設定の作品。体の衰え、たった1人で生きてきた。一流の暗殺者という役どころに花總まりが挑戦する。
プロローグ、1人の男が登場する、彼の名前はトウ(浦井健治)、幼い頃に家族を暗殺され、自分だけ生き延びた。復讐に燃える心、だが、それとは裏腹に美しい爪角(花總まり)に惹かれている、という矛盾した感情。
プロの暗殺者の集団、「エージェンシーゼロ」、暗殺者を束ねるユン(中山優馬)、ここのナンバーで「エージェンシーゼロ」がどういう集団なのかがわかる。孤独な人生を歩んできた爪角だが、捨て犬を可愛がる、そんな爪角、守りたいもの、自分のそばにいてくれる犬や近所の人々をいつしか愛おしいと思うようになった、人間らしい感情の芽生え。暗い表情の爪角だが、犬の世話をする姿に観客はほのかな温かいものを感じるはず。だが、トウはそんなことは知らない、ただ、ただ、爪角に復讐するために生きてきた。彼のエネルギーはまさに負の感情。
若き日の爪角(熊谷彩春)、ちょっと幼さが残る風貌、恋をする、相手は リュウ(武田真治)、負傷し、手当をしてもらう、切ない想い。そんな若い時の記憶、リュウに似た風貌の医師・カン博士(武田真治)に出会う。優しくソフトな印象のカン博士に爪角は淡い気持ちを抱く。そしてリュウから暗殺者としての訓練を受ける。何かを考える暇もなく、次々と用意される訓練にひたすら頑張る姿、そして一流の暗殺者に。辛い体験、冷酷非道な暗殺者も、その内面は愛を求めていた。数々の暗殺を行なってきた爪角、そんな彼女にトウが近づいていく。トウは彼女が大切に思う近所の子供を誘拐、爪角は守りたいものができた。その守りたいもののために戦うことを決意する。目的遂行のためなら、手段を選ばない暗殺者、そこには血も涙もない。
爪角を演じる花總まり、60代の暗殺者、人生を暗殺のために生きてきた人物だが、感情の揺れ、老犬に心開き、人生の黄昏時を迎えて、今まで感じなかった温かい”もの”に触れて変わっていく様を好演、ラスト近くのアクションは必見。そんなトウ爪角を亡き者にするためには卑劣な手段も厭わないトウ、浦井健治が圧倒的な歌唱とギラギラした眼差しでトウを演じる。そして彼らを取り巻く周囲の人物、ユンはビジネスライクな雰囲気をたたえ、人間らしい感情も持ち合わせているが、やる時はやる、というキッパリとした雰囲気、中山優馬が勢いよく。そして若かりし頃の爪角、熊谷彩春、キュートな風貌、殺しなど無縁そうな雰囲気、そんな彼女が次第に暗殺者として訓練されるところ、切羽詰まった状況、そうしないと生きていけない崖っぷち、哀しみをたたえつつも愛らしく、リュウに惹かれていく様を演じる。そして武田真治がリュウとカン博士の2役、リュウの時はカミソリの刃のような鋭さで、カン博士の時はソフトで大きな懐で包みこむ優しさをたたえて演じる。この落差は必見。
最後のシーンは、アクションにつぐアクション、ヒリヒリとしたストーリー、聞き応えのある楽曲が彩る。この復讐劇の結末は劇場で観てほしいが、ラストは愛を感じる。憎しみからは何も生まれない。様々なことに気づく爪角、その姿に共感。タイトルの『破果』の意味、観客は終盤で知ることになる。東京は3月22日まで、その後は大阪、福岡と巡演する。
あらすじ
人生のほとんどをプロの暗殺者として生きてきた爪角(チョガク)。超一流の暗殺者であった彼女も年を重ね、身体の衰えから引退を決意する。 今まで守るべきモノを作らず独りで生きてきたが、捨てられていた老犬や心を開いて接してくる近所の家族など気がつけば守りたいモノができていた。喜怒哀楽とは無縁の孤独な人生を送るつもりが、他人の痛みを感じるようになり、いつしか心にぬくもりを求めるようになっていく…
そんな中、過去の記憶から突如現れた、爪角に復讐を誓った者が現れ、心を許した近所の子供を連れ去った…
人生で初めて誰かのために戦うことを決意した彼女に待ち受けるものとは?!
概要
タイトル: ミュージカル『破果』
会期会場:
東京:2026年3月7日(土)~3月22日(日) 新国立劇場 中劇場
大阪:2026年3月27日(金)~3月29日(日) 梅田芸術劇場メインホール
福岡:2026年月4月4日(土)~4月5日(日) 久留⽶シティプラザ ザ・グランドホール
出演:
花總まり 浦井健治
中山優馬 熊谷彩春
秋野祐香 大泰司桃子 東倫太朗
今村心音 新井海人 コイタ奈央美 下道純一 志村倫生
中西彩加 *蛭薙ありさ 矢澤梨央 *若林佑太 渡部又吁 (五十⾳順 *スウィング)
武田真治
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:一色隆司
音楽監督:甲斐正人
美術:杉山至 照明:倉本泰史 映像:松澤延拓 中澤裕季 音響:佐藤日出夫 衣裳:富永美夏
衣裳助手:川島加菜果
ヘアメイク:中原雅子 アクション:加藤学 ステージング・振付:遠山晶司(梅棒)、YOU 稽古ピアノ:石川花蓮
歌唱指導:板垣辰治 演出助手:𠮷中詩織 音楽監督助手:竹内 聡 舞台監督:八木清市 音楽制作:新音楽教会
制作:小川知子 小田未希
公式HP https://musical-pagwa.jp/
主催:ミュージカル『破果』 製作委員会【NHKエンタープライズ/ブルーミングエージェンシー/h.stage/Air Media/ニッポン放送】
Original work Gu Byeong-mo’s novel “HAKA 破果”
Script & Lyrics by Hyejeong Jang, Gina Lee Music by Nayoung Lee
Original Production by PAGE1


