R.シュトラウスの傑作オペラ『エレクトラ』新制作@新国立劇場 熱狂を呼ぶ”エレクトラ歌い”アッソーニ登場

復讐の情念に囚われたエレクトラを待ち受けるものは―20世紀オペラ屈指の名作を大野和士指揮×ヨハネス・エラート演出で新制作。
血塗られた家系アトレウス家の娘エレクトラが復讐の情念に燃え、悲願を果たした末に命を落とす凄惨な復讐劇『エレクトラ』を、リヒャルト・シュトラウスがホフマンスタールと組んでオペラ化。オペラ史上最大規模といえる分厚いオーケストラとドラマティックなソプラノに支配された音楽が、悲嘆、憎悪、不安、恐怖、歓喜、恍惚とめまぐるしい感情の奔流を緊迫感の中で伝え、観客に一瞬たりとも隙のない圧倒感を。大野和士指揮、その音楽的感性が絶賛されるヨハネス・エラート演出による新制作で登場。


難役エレクトラを歌うのは、フランクフルトなどで立て続けにこの役を歌い、その声楽テクニックと驚異的な心理表現が熱狂的センセーションを起こしているアイレ・アッソーニ。情熱的で知的で高貴、「エレクトラの神髄」と評されるアッソーニのエレクトラは、音楽ファンならずとも必見。
父アガメムノンを殺した母への復讐の情念に取り憑かれ、ただその悲願の成就のみを生きるよすがとして過ごすエレクトラ。やがて弟オレストの帰還によって運命の復讐が果たされる――。ソフォクレスのギリシャ悲劇をもとに、リヒャルト・シュトラウスがホフマンスタールと組んで作曲したオペラ『エレクトラ』は、一幕に凝縮された対話でエレクトラの悲願と情念を描き出す、20 世紀オペラ屈指の傑作。
オペラ史上最大規模ともいわれる重厚なオーケストラと、ドラマティックなソプラノに導かれる圧倒的な音楽が、憎悪、恐怖、緊迫、歓喜、そして恍惚へと至るめまぐるしい感情の奔流を鮮烈に描き出します。最初の一音から幕切れまで一瞬たりとも見逃せない、緊迫感漲るオペラ。


演出を手掛けるのは、新国立劇場初登場となるヨハネス・エラート。その音楽的感性が絶賛され、ペーザロのロッシーニ・フェスティバル『エルミオーネ』(24年)はイタリアで最も権威あるアッビアーティ賞に輝き、25 年にはベルリン州立歌劇場『Fin de Partie(エンドゲーム)』などの成果によりインターナショナル・オペラアワードにノミネートされた、今オペラ界注目の演出家です。フランクフルト歌劇場で大野和士指揮により世界初演された『Der Mieter(借家人)』(17年)でも話題を巻き起こしており、今回再び大野和士とタッグを組む。

リヒャルト・シュトラウスの圧倒的でエネルギッシュな音楽が導くエレクトラの苛烈な情念と共に、女性3役(エレクトラ、クリテムネストラ、クリソテミス)が三面鏡のように映し続ける不安にも注目する演出。

アイレ・アッソーニ『エレクトラ』関連プレスレビューより
フランクフルト歌劇場『エレクトラ』(2023 年 3 月)
「アイレ・アッソーニの壮大で完璧な声による、心理的に磨き抜かれた一人舞台。[..このフランクフルト・エレクトラは、まさに真の意味で、とてつもなく素晴らしい。」 (南西ドイツ放送 SWR2、ベルント・キュンツィヒ)

「最前線に立つのは、エストニア出身の素晴らしいソプラノ歌手アイレ・アッソーニだ。彼女は、歌唱、演技、そして何よりもその驚異的なコンディションで、深い感銘を与えた。オペラ終盤で彼女が倒れた後、幕が降りるまでの間、観客はしばしの静寂に包まれた。110 分間の最高潮の緊張の後、衝撃の静寂が訪れ、そしてまさに嵐のような拍手が巻き起こった。」(ファウスト・クルトゥール、アンドレア・リヒター)

「オレスト登場後のエレクトラのモノローグは溢れんばかりの善意に満ち、アッソーニをこの役柄に完全に同期させる。エレクトラのありきたりなイメージはこの瞬間に消え去る。姿を現すのは怪物ではなく、愛することのできない人間そのものだ。」(フランクフルター・アルゲマイネ紙、ヤン・ブラフマン)

「アッソーニはこの要求の高い難役を、激しい情熱、そして見事なピアニッシモと霊感あふれるパッセージで構築した。」 (Online Merker、ゲルハルト・ホフマン)

「今回フランクフルト・デビューを果たしたアイレ・アッソーニ以上に、この知的な内面描写にふさわしい歌手は存在し得ない。彼女は力強いソプラノでシュトラウスの巨大なオーケストラを難なく圧倒しただけでなく、この役を不穏できわどい作品として表現した。」 (Musik Heute、ベッティーナ・ボイエンス/ヴィーラント・アッシンガー)

「そのエネルギッシュで、豊かで、そして非常にドラマティックな歌声は、最初の音から観客を魅了した。アガメムノンのトラウマを抱え、その鋭い視線で同胞を恐怖に陥れる娘を演じ、最大限の存在感で劇場を満たした。アッソーニは、演技と演奏の両面で、役柄の深層心理における狂気を見事に表現するエレクトラを演じた。」 (Bachtrack、アレクサンドラ・リヒター)

「アイレ・アッソーニは、主役を非常に効果的に歌い上げ、声、表情、そして情感豊かな演技で魅了した。演出家が要求する困難な技巧を完璧にマスターし、この巨大な役柄を難なくこなし、そして真に輝かしい歌唱の瞬間を幾度も生み出した。[…] 長い間続く熱狂的な喝采が沸き起こり、特にアッソーニへの称賛でピークを迎えた。」 (OperaClick、ヴィットリオ・マスケルパ)

エアフルト歌劇場『エレクトラ』(2022 年 10 月)
「アイレ・アッソーニは冒頭から一音一音で主張する![…]声量と演技の両面において、まさにエレクトラの神髄と言えるだろう。」(ヨアヒム・ランゲ、テューリンガー・アルゲマイネ・ツァイトゥング)

「センセーショナルなまでに説得力がある[…]最も激しい爆発的な場面でさえ、その歌声の高貴さを決して失わない。」 (ロベルト・ベッカー、Freies Wort / inSüdthüringen.de)

「アイレ・アッソーニは、被害者であると同時に加害者でもあるエレクトラを体現する。極めて傷つきやすく、それが彼女を神経質にしている。[…] 彼女のドラマティック・ソプラノは粘り強く、同時に柔らかく繊細な音色を生み出すことができる。それが、美しく個性的な役柄を創り出すことを可能にしている。」 (デア・ノイエ・メルカー誌)

ボン歌劇場『エレクトラ』(2019 年 3 月)
「アイレ・アッソーニは実に素晴らしい!極めてドラマティックなパッセージにおいても、彼女の声は力強い歌唱とは裏腹に、柔らかく丸みを帯びている。このエレクトラは単なる狂女ではなく、自らの女性性を全て抑圧した哀れな存在なのだ。オレストとの対話の中で、彼女は自らに課したこの諦念(“私は前は美しかったと思う”)を痛切に自認する。このエレクトラを聴くと、実に心が痛む。」(Online Merker、クリストフ・ツィンメルマン)

「女優として、彼女は身体表現、表情、身振りを完璧に使いこなし、この葛藤する女性の感情の揺れ動きを巧みに表現した。歌唱面では、力強い声量とダークで成熟した音色を披露し、エレクトラの多面的で個性的な感情を、卓越したダイナミクスで表現している。まさに驚異的な偉業だ!」(メヒティルト・ティルマン)

「冒頭の壮大なモチーフであるアガメムノンの呼びかけから、オペラの最後を締めくくる壮大なモチーフに至るまで、アイレ・アッソーニはこの役のあらゆる瞬間を観客に納得させる力強さを放つ。オペラ史上おそらく類を見ない役柄だ。彼女は恐れを知らない高みから、憎しみと復讐心、そして同時に優しい響きも表現した。」(オペラ・ラウンジ、ジュライ・ポーザー)

アッソーニ関連のレビューは、アッソーニの公式ウェブサイトで。https://www.aileasszonyi.com/

芸術監督・大野和士より
新制作でお届けするリヒャルト・シュトラウスのオペラ『エレクトラ』は、ギリシャ悲劇をもとにした激しい復讐の物語です。父アガメムノンを母クリテムネストラとその愛人エギストに殺された娘エレクトラが、長年行方不明だった弟オレストの帰還を機に、ついに復讐を果たします。上演時間約1時間45分という凝縮された作品ながら、力強い主題が繰り返されることで音楽のエネルギーが次第に高まり、最後まで聴き手を強烈な緊張感へと引き込みます。美しくも力強い二重唱や、声と身体を振り
絞るエレクトラの壮絶な幕切れは、まさに圧巻です。
今回の演出は新国立劇場初登場のヨハネス・エラートが手がけます。ウィーンでオーケストラ奏者として活躍した後に演出家へ転向したという異色の経歴を持ち主。フランクフルトで現代オペラ『Der Mieter(借家人)』世界初演で一緒に仕事をしましたが、一筋縄ではいかない複雑な箇所をうまく舞台化し、雅やかな舞台を作ってくれました。彼と『エレクトラ』という劇を作り上げていくのは本当に楽しみです。エレクトラにはアイレ・アッソーニ、母クリテムネストラには藤村実穂子、弟オレストにはエギルス・シリンスら実力派が集結。強烈な音楽とドラマがぶつかり合う新制作『エレクトラ』をお楽しみください。

あらすじ
父アガメムノンが母クリテムネストラと情夫エギストに殺された。父への思慕と、復讐を成就するであろう弟オレストへの期待を支えに、虐待に耐えながら生きるエレクトラ。妹クリソテミスは姉を必死でなだめるが、エレクトラは聞く耳をもたず、復讐に怯えるクリテムネストラの懇願も拒絶する。偽りの死の報せを流し母と義父を油断させたオレストが帰還し、ついに復讐が果たされるー。

概要
日程:2026年6月29日(月)19:00/7月2日(木)14:00/5日(日)14:00/8日(水)14:00/12日(日)14:00
会場:新国立劇場 オペラパレス
※予定上演時間 約 1 時間 45 分(途中休憩なし)
指揮:大野和士
演出:ヨハネス・エラート
美術:ハイケ・シェーレ
衣裳:ノエル・ブランパン
照明:オラフ・フレーゼ
映像:ビビ・アベル
出演
クリテムネストラ:藤村実穂子
エレクトラ:アイレ・アッソーニ
クリソテミス:ヘドヴィグ・ハウゲルド
エギスト:工藤和真
オレスト:エギルス・シリンス
合唱指揮:冨平恭平
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:大野和士
公演情報WEBサイト:https://www.nntt.jac.go.jp/opera/elektra/