東京二期会が上演するベルク作曲『ルル』が4月に開幕する。2020年に初演予定ではあったが、コロナ禍により延期、2021年8月にようやく初演、今回は約5年ぶりの再演となる。

『ルル』は、20世紀オペラの最高傑作のひとつに数えられる。
貧しい環境に生まれながら、抗いがたい魅力で周囲を惹きつけるルル。彼女と関わった者たちは破滅へと向かい、彼女は“魔性の女”と呼ばれる。しかし本当の彼女の心とは——。
本プロダクションの最大の特徴は、前回公演で「音楽と演出が一体となった魅力」
「美しい上演」「新しい光が当てられた」など絶賛されたカロリーネ・グルーバーによるこれまでにない視点を持った演出だ。男たちを狂わせる《悪女》としてルルをとらえるのではなく、その内面にうごめくものに徹底してスポットを当てる。


グルーバーが選んだ表現方法は、舞台に“2人のルル”を登場させること。歌手が演じるルルに加え、ダンサーの中村蓉が彼女の“内面”を身体で表現し、言葉にできない衝動や孤独、揺れ動く感情が、もうひとりのルルを通して客席に届けられる。


舞台映像には、NODA・MAPやナイロン100℃などの舞台で知られ、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺 」のタイトルバックを手掛けている気鋭のアートディレクター上田大樹が参加。ルルの心情を可視化する映像演出により、オペラと舞台映像が融合したダイナミックな空間が生み出される。

指揮を務めるのはオスカー・ヨッケル、2023年に20代でカラヤン・アワードを受賞の指揮者。演出は斬新な舞台で数々の名作に新しい感動を生み出し世界最高の評価を受ける演出家カロリーネ・グルーバー。


タイトルロールを務める冨平安希子、宮地江奈にも注目だ。冨平は、2021年公演からルル役を続投する。歌唱力だけでなく、演技力を兼ね備えた実力派で、前回も傷ついた孤独な魂を持つ女性像を奥行きのある演技で描いた。ドイツの名門バイエルン州立歌劇場で研鑽を積み同歌劇場に多数出演し、東京二期会では近年、『魔弾の射手』エンヒェン役、『フィデリオ』マルツェリーネ役、『影のない女』皇后役など、話題の公演に数多く出演してきた。5年の時を経て、さらに深化したルルに期待が集まる。
宮地は2025年、台中国家歌劇院『リゴレット』でジルダ役を務め、準・メルクル、指揮台湾フィルとは『ばらの騎士』ゾフィー役で共演。アジアでの活躍を広げている注目のソプラノ。2026年7月には台湾・ナショナルホールで『ワルキューレ』への出演も予定されている。東京二期会オペラ劇場では『カルメン』ミカエラ役や『フィガロの結婚』スザンナ役で出演してきたが、『ルル』でついに待望の表題役で出演。


物語
時代は19世紀末。 かつて貧民街で暮らしていた少女ルルは、 新聞社の編集長シェーン博士に拾われ、 彼好みの女性として成長する。 次第にルルは、 妖艶な魅力を放つようになり、 シェーンは彼女と関係を持つ。 ルルと愛人関係を続けるシェーンだが、 彼は高級官僚の娘と交際を始め、 ルルを初老の医事顧間と結婚させる。
ある日、 ルルの肖像画を描いていた画家が、 彼女に魅了され、 言い寄り始める。 事の次第を知った夫の医事顧問は心臓発作で急死。 画家はルルと再婚するが、 彼女の汚れた過去の真実を知り、 彼もまた自殺する。
その後、 ルルはシェーンと結婚する。 しかし、 ルルの周囲には同性愛者のゲシュヴィッツ伯爵令嬢、 貧民街時代に知り合った謎の男シゴルヒ、 力業師といった怪しげな“信奉者” がおり、 さらにシェーンの息子のアルヴァまでルルにのぼせあがっている。 嫉妬に常軌を逸したシェーンは、 ルルに拳銃を持たせて自殺を強いるが…
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概要
東京二期会オペラ劇場
『ルル』
オペラ全2幕 日本語及び英語字幕付原語[ドイツ語]上演
日程・会場
2026年4月11日(土) 14:00開演/カルッツかわさき
2026年4月17日(金)18:00開演/18日(土)・19日(日)各14:00開演/新国立劇場 オペラパレス
指揮:オスカー・ヨッケル
演出:カロリーネ・グルーバー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
※各日程配役は公式サイトにて
公式サイト:https://nikikai.jp


