加藤和樹・凰稀かなめ ダブル主演! サスペンス劇の最高傑作『暗くなるまで待って』密室で繰り広げられる駆け引きと戦いの先にある景色は?

1966年にフレデリック・ノットが書き下ろし、ブロードウェイで初演されたサスペンスの傑作、アパートの一室で繰り広げられる密室のミステリー。1967年にはハリウッドで映画化され、大ヒット!日本でも何度か上演され、手に汗握る展開や、衝撃のクライマックスが大きな評判を呼び、演劇ファンの喝采を浴びてきた。日本では今回が2009年以来、約10年ぶりの上演(2009年版は朝海ひかる・加藤雅也出演)。
主演の加藤和樹は演劇界の次代を担う実力派俳優として活躍目覚ましく、大役が続いて快進撃、残忍な悪党のボス・ロート役を演じるが、 本格的な悪役は初めて。
また、W 主演の凰稀かなめは宝塚宙組トップスターを務め、 2015年に退団後も舞台を中心に活動し、演技力の高さと華のある存在感で高評価。 今回は盲目の若妻・スージー役、可憐で気丈な目の不自由な役への挑戦に注目が集まる。 そして、共演には大河ドラマ『西郷どん』での演技が光った高橋光臣をはじめ、猪塚健太、松田悟志など、映像や舞台でも活躍し、人気と実力を兼ね備えた魅力的なキャストが一堂に。情感豊かな演出で定評のある深作健太が演出を担当し、名作に新たな命を吹き込む。

物語の場所はスージーの家、リビングダイニング。時代を感じさせるセット、冷蔵庫や家具類は典型的な1960年代のアメリカ。
時計の音が響く、一人の男が部屋に侵入する。彼の名前はマイク(高橋光臣)、ドアを閉める音、薄暗い部屋、シルエットが浮かぶ。続いて別の男が・・・・・名前はクローカー(猪塚健太)、品のない雰囲気、言葉遣いもちょっと荒っぽい。そこへいかにも怪しすぎる老人が・・・・・いや老人ではなかった。彼はロート(加藤和樹)、会話で3人の関係性がわかる。そこへこの家の住人とおぼしき人物が・・・・・名前はスージー(凰稀かなめ)、目が不自由、だが、家のどこに何があるのかちゃんとわかっている。夫と平穏に暮らしているのだが、この怪しすぎる3人が現れたことによってスージーは大変な事態に巻き込まれていく・・・・・。

この作品の要は主人公のスージーが目が不自由であるということとすべて密室で行われているところにある。この設定が作品の『仕掛け』となっている。
あの手この手で人形を奪おうとする3人、最初は彼らの言動を受け入れていたスージーであったが、次第に彼らの行動や言動に不審を抱く。ストーリーの展開もオチもわかっているのだが、それでもキリキリとする緊張感、そして登場人物の心理状況、どう見てもスージーは不利、目が見えていないのだから、と考えるのは早計だ。3人の心の中には「スージーには自分たちは見えていない」という一種の安心感、慢心がある。それが後半に『ほころび』となって露呈する。マイクは悪人になりきれない、次第に心が揺らいでいく。この揺らぎを高橋光臣が人柄をにじませて好演する。ちょっとキレやすくガラの悪いクローカー、彼の最期は哀れ、猪塚健太が眼光鋭く表現、そしてこの物語の最大の『悪党』であるロート、加藤和樹が血も涙もないキャラクターを最初はひしひしとした空気感で、ラスト近くスージーに『逆襲』されて逆上するキレ方、ヒール役は初めてだそうだが、振り切った演技で迫力もあり、良い仕事ぶり。スージー役の凰稀かなめは腰が引けつつもロートに向かっていくところは見た目は弱々しいが実は冷静沈着、芯のあるキャラクターを構築する。出番は少なめだがスージーの夫であるサム演じる松田悟志、スージーを大切に想う良き夫ぶり、この夫がいるからこそスージーは最後の最後まであきらめなかったのでは?と思わせる。

密室で展開されるサスペンス、シルエットや様々な『音』、そして光と闇を効果的に用いて視覚的にもわかりやすい。ラストのロートとスージーの『戦い』は本当に闇の中で展開、手に汗握るとはこういうこと、初演から50年以上、古びないどころか改めてその緻密さを感じる作品、繰り返し上演されるのも納得。

ゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのは加藤和樹、 凰稀かなめ、高橋光臣 、猪塚健太 、松田悟志、演出の深作健太。加藤和樹は「一つ一ついろんなチャレンジをしながら稽古しました。どんな舞台に見えるかプレッシャーを感じながら、いい緊張感です」とコメント。凰稀かなめは「サスペンスは初めて」とコメントし「お客様からどんな反応をいただけるのかわからないので、かなりドキドキしています。この世界に引き込めるように、自分自身も楽しんで頑張っていきたい」と抱負を語る。高橋光臣は「稽古は楽しかった」と語り、作品については「音に敏感な舞台」とコメント。スージーにとって周りの状況を知る上で重要な情報はすべて『音』だが、『音』はこの作品のもう一人の『キャスト』と言えそう。猪塚健太は「すごい物ができたなと確信を得ました」とコメント。ゲネプロでの完成度も高く、回を追うごとにさらに完成していく予感。松田悟志は「珍しく同世代が集まった」とコメントし「素敵な現場」と語る。演出の深作健太は「この作品は青井陽治先生が演出していた舞台なので喜びとプレッシャーが・・・・・でもとても頼りになるメンバー、カンパニーの温かさをお届けしたい、今はドキドキ・・・・・しかしいい感じに仕上がっています」と語る。息のあった俳優陣、何気ない会話の中にスリリングな雰囲気もあり、上質のサスペンスに。そして「イメージを一新して新しく、舞台でしか感じられない作品に、ラストの20分のクライマックス、生で体感して欲しい」とPR。凰稀かなめは「ずっと見えない役で明るくなったり暗くなったりとか・・・・難しいです」と役の設定には苦心した様子。また加藤和樹は見所は「人間性」と語る。よくある『派手なアクション』はもちろんない。芝居で見せる各々の人間性や関係性、心の状況を見せる芝居故の難しさがある。凰稀かなめも「人と人との関わり合いの間に生まれてくるもの」とコメント、手伝いにくるグローリア(黒澤美澪奈)という少女と衝突しながらも信頼関係が生まれてくるが、後半のグローリアの活躍に注目。高橋光臣は「僕らは暗闇のシーンがあんまりない」と笑う。猪塚健太は「体感型サスペンスエンターテイメント」と言い「一緒に体感してどっぷり浸かってもらいたい」と語るが、本当に観ている方も!ドキドキ、ハラハラ。それを受けて松田悟志は「犯罪者、被害者どちらの視点にたってもドキドキ、ハラハラ」とコメント。深作健太は「劇場でしか体感できない生の暗闇の面白さを体験してください!」と締めて会見は終了した。

 

<Story>
盲目の若妻・スージーの夫サムが持ち帰った(麻薬が仕込まれた)人形を、怪しい男3人(ロート・マイク・クローカー)が 奪おうと狙っている。3人は次々とスージーの家を訪ずれ、人形を手に入れるため、言葉巧みに騙そうと、 と手を尽くします。奇妙な心理戦が続き、やがて、彼らの言動に不審を抱いたスージーは、少女グロ―リアの協力を 得て、男たちの正体を次々と暴いていく…。しかし、凶悪なロートの魔の手がスージーに迫り、絶体絶命、遂に 真っ暗闇の中、最後の対決を迎えることに・・・・・・。

【公演概要】

作品名:『暗くなるまで待って』
作 :フレデリック・ノット
訳 :平田綾子
演出:深作健太
出演:加藤和樹 凰稀かなめ/高橋光臣 猪塚健太 松田悟志 ほか

公演日程・会場:
[東京公演 ]
2019年1月25日(金)~2月3日(日)
サンシャイン劇場
[兵庫公演 ]
2019年2月 8日(金)~10日(日)
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
[名古屋公演 ]
2019年2月16日(土)・17日(日)
ウインクあいち
[福岡公演 ]
2019年2月23日(土)
福岡市民会館 大ホール
企画・製作: 日本テレビ