気鋭の若手演出家・熊林弘高が、野趣あふれるシェイクスピアの恋愛喜劇に挑む!
若い演出家に新たな活躍の場を提供している東京芸術劇場。気鋭の演出家・熊林弘高とは、充実した共同作業を積み上げてきた実績がある。シアターウエスト、シアターイーストといった比較的小劇場を主戦場にしていた熊林にとって、初めて800席超のプレイハウスでの演出作品となったチェーホフ作の『かもめ』(16)。広い空間を効果的に使い、非常に挑戦的かつ魅力的な作品に仕立て、高い評価を得た。1年に1作か2作程度と、演出家としては寡作で知られる熊林ですが、発表するたびに評価を上げ、今や多くの俳優が彼の作品への出演を希望するようになっている。
その熊林が今年演出する作品が、いたずら心も満載のシェイクスピアの恋愛喜劇、『お気に召すまま』。熊林がこの作品を手掛けるという意外性も合わせて、どのような舞台になるのか、非常に興味深い。
キャストは2016年の『かもめ』から引き続き、満島ひかり、坂口健太郎をはじめ、演出家の信頼厚い複数の俳優たちに決定。百鬼オペラ『羅生門』以来2年ぶりの舞台出演となる満島ひかり、熊林演出『かもめ』で、主人公の一人である悩める青年、トレープレフ役に抜擢されて鮮烈な舞台デビューを果たし、注目を集めて以来3年ぶり2度目の舞台出演となる坂口健太郎のほか、中嶋朋子、小林勝也、山路和弘といった、熊林が信頼するキャストたちが集結した。さらに熊林作品で初舞台を踏み、4年ぶりに姉弟共演となる満島真之介、加えて実力派若手俳優の中村蒼、ベテラン個性派俳優の温水洋一が参加する。
熊林と組んで臨んだ『かもめ』のニーナ役では、自分の中のありったけを集めて演じたいと語り、見事に舞台で輝いてみせた満島ひかりが今回演じるのは、坂口健太郎演じるオーランドーと恋に落ち、伯父である侯爵から追放されてしまうロザリンド。アーデンの森を舞台に、性差を越えて燃え上がる様々な恋模様を、いくつもの名セリフで紡いでいく。
■あらすじ
青年オーランドー(坂口健太郎)は追放された前侯爵の娘・ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちるが、父の遺産を継いだ実の兄オリヴァ―(満島真之介)に命を狙われていると知り、アーデンの森に逃げる。同じくロザリンドも、伯父である新公爵に追放されることに。彼女はオーランドーを追って、従妹で新公爵の娘シーリア(中嶋朋子)と、召使のタッチストーン(温水洋一)を伴い森に向かう。女道中では危険だからと、ロザリンドは男装して”ギャニミード”と名乗る。
森で暮らすオーランドーはロザリンドのことばかり想っている。そこに”ギャニミード”が登場して彼の恋の悩み相談に乗る。ついには「自分をロザリンドだと思って口説いてごらん」と言い、オーランドーは彼が実はロザリンドだと知らずに、思いのたけを告白。二人の恋愛ごっこは次第にエスカレートしていく…。
■演出 熊林弘高 (くまばやし・ひろたか) プロフィール
1977年生。北九州出身。高校卒業後上京し、tpt(シアタープロジェクト東京)に加入、制作などを担当する。デビッド・ルボー、アラン・アッカーマンら世界的演出家の薫陶を受け、2002年 ストリンドベリ作「火あそび」で満を持して演出家デビューを飾る。ほかに、「かもめ」(チェーホフ作)、「いさかい」(マリボー作)、「バッカイ」(エウリピデス作)などを手掛ける。2010年 東京芸術劇場 にて上演したジャン・コクトー作「おそるべき親たち」(佐藤オリエ、麻実れい、中嶋朋子、中嶋しゅう、満島真之介出演)の演出で圧倒的な評価を受け、毎日芸術賞 千田是也賞を受賞、作品は文化庁芸術祭演劇部門大賞を、主演の麻実れいが読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞した。現在はフリーとして、勉強会から深く戯曲を読み進むスタイルで時間をかけて仕上げるスタイルで一本一本を手掛けている。ベルイマン作「秋のソナタ」(佐藤オリエ、満島ひかり出演)、「トライブス」(田中圭、大谷亮介、中嶋朋子、鷲尾真知子ほか出演)、「狂人なおもて往生をとぐ」(福士誠治、緒川たまき、門脇麦ほか)、「夜への長い旅路」(麻実れい、益岡徹、田中圭、満島真之介)の後、2016年「かもめ」(満島ひかり、坂口健太郎、中嶋朋子、田中圭、佐藤オリエほか)で東京芸術劇場プレイハウスほか全国6都市ツアー敢行し、大きな空間での演出を初めて手掛ける。
近作は2017年「アザー・デザート・シティー」(寺島しのぶ、麻実れい、中村蒼、佐藤オリエほか)。
【公演概要】
公演名:お気に召すまま -As You Like It-
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:熊林弘高
出演:満島ひかり、坂口健太郎、満島真之介、温水洋一、萩原利久、碓井将大 、テイ龍進、Yuqi(UQiYO)、広岡由里子、久保酎吉、山路和弘、小林勝也、中村蒼、中嶋朋子
公演日程:2019年7月下旬~8月中旬(予定)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
公式サイト:https://www.asyoulikeit.jp
公式ツイッター:@asyoulikeit_jp
問い合わせ:東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296 (休館日を除く10:00~19:00)