2018年夏、 『黄昏』(『On Golden Pond』)、エセル役は初演から続投の八千草薫

 

 

ーー忙しなく、人との関係も希薄になりつつある現代社会に生きる私たちに、

あたたかく静かな時間の流れの中で、家族のあり方をやさしく伝えてくれる作品、それが『黄昏』ーー

 

誰にでも訪れる老いと、家族の絆という普遍的なテーマを淡々と描いて、1978年の初演以来、日本を含む世界各地で上演され続けているアーネスト・トンプソンの名作戯曲『On Golden Pond(邦題『黄昏』)

1981年にはヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダ、キャサリン・ヘップバーンで映画化され話題に。

日本では、この『黄昏』を2003年に八千草薫を迎えて上演、そして、2006年の再演を経て、ついに2018年の夏、八千草薫のエセルが戻ってくる。

初演から引き続き、老いを感じはじめた夫を明るく支える妻の役で観る者の心を惹きつける八千草薫。そして自身の老いにとまどいながらもそれを前向きに捉えていこうとする夫の役には、新たに村井國夫が挑戦。

さらに今回は、二人を取り囲む家族や友人に、朝海ひかる、松村雄基、若山燿人、伊藤裕一ら豪華俳優陣を迎え、明瞭かつ丁寧な演出に定評のある演劇界の重鎮、鵜山仁による新演出で、12年ぶりの、新たなる『黄昏』の世界を舞台上に。

 

<ストーリー>

ノーマン・セイアー・ジュニアは80歳を迎えようとしている。そして彼より若い妻のエセル。今年もあのゴールデン・ポンドでひと夏を過ごすために訪れた。

ふたりにとって48回目の夏。しかし今年のゴールデン・ポンドはいつもと違っていた。老いを意識したノーマンにとって……

たまにふたりを訪れるのは、平穏な湖を守る郵便配達のチャーリー。彼はセイアー夫妻の娘チェルシーとの思い出を語る優しい隣人でもある。

そこにノーマンと反発しあっていた娘のチェルシー・セイアー・ウェインが訪れた。彼女のパートナー、ビル・レイと彼の子供ビリー・レイとともに。お互い素直になれないノーマンとチェルシー。ふたりを温かく見守るエセル。チェルシーに淡き思いをつのらせるチャーリー。そして新しい家族のビル・レイ。

傷つけあい、いたわりあいながらも、家族の絆を探すひと夏。

ゴールデン・ポンドの夕日は、老齢なふたりの人生をさらに輝かせる。

 

 

<生きていくことの素晴らしさ『黄昏』:小藤田千栄子(映画・演劇評論家)>

 このドラマを見た人は、みんなほとんど、円熟の老年に、魅了されてしまうのではないかと思う。別荘まであるのだから、かなり恵まれた人たちではあるのだが、それでも、いくつかの問題を抱えていることに、万国共通の思いが全面に出てくる。

 まず出てくるのは「老い」の実感である。夫のノーマンのほうが、10歳ほど年上ということもあるのだが、老いの徴候に、妻のエセルは心を痛める。「ああ、この人が、こんなふうになってしまった」という思い。加えて一人娘の問題もある。他人から見たら、とても恵まれた家庭なのに、この娘は両親と、特に父親と、うまくいってない。「こういうことって、あるなぁ」という思い。だがこの一人娘が、パートナーを連れて現われ、そのパートナーの連れ子を、両親に託したときから、また新しい人生、そして新しい家族が始まっていく。

 ノーマンが、少年ビリーと、釣りに行くのをきっかけに、新しい人間関係を築いていくさまは、見ている私たちにも、とても嬉しいものがある。そして、結果として、それなりに、きちんと生きてきた人たちの、人生そのものの素晴らしさに魅了されてしまうのである。

 「老い」と、そして「家族のあり方」は、いま私たちにとって、いちばんの問題であろう。それは日本だけではなく、おそらくは世界的なテーマなのではないかと思う。

2003年公演パンフレットより抜粋)

 

 

 

<登場人物>

エセル・セイアー ・・・・・・・・・・ノーマンの妻。伸びやかなエネルギーに満ちた女性。 八千草薫

チェルシー・セイアー・ウェイン ・・・セイアー夫妻の娘。父との確執から疎遠になりがち。 朝海ひかる

ビル・レイ ・・・・・・・・・・・・・チェルシーの恋人。 松村雄基

ビリー・レイ ・・・・・・・・・・・・13歳になるビルの息子。 若山耀人

チャーリー・マーティン ・・・・・・・夫妻と昔馴染みの郵便配達夫。 伊藤裕一

ノーマン・セイアー・ジュニア ・・・・自身の老いを感じながらもそれを楽しむ余裕を持っている。 村井國夫

 

<主演:八千草薫(やちぐさかおる)>

1931年生まれ、大阪府出身。

1947年に宝塚歌劇団に入団し娘役として活躍。1951年に映画「宝塚夫人」で映画デビュー。退団後も数多くの映画、TVドラマ、舞台に出演し活躍。日本アカデミー賞優秀助演女優賞ほか、数々の受賞歴も持ち、今なお名女優として輝き続ける。

近年の出演作に、映画「舟を編む」「ゆずり葉の心」、TVドラマ「やすらぎの郷」(ANB)、「執事 西園寺の名推理」(TX)、舞台「かあちゃん」(新歌舞伎座・明治座)、「これはあなたのもの」(新国立劇場)など。シーエイティプロデュース製作「黄昏」では、2003年初演、2006年再演を経て今回まで、その全ての公演で主演・エセル役を務める。

<作者:アーネスト・トンプソン(Ernest Thompson)>

1949年生まれ、アメリカ・ヴァーモント州出身。映画・テレビの作家、脚本家として活躍しており、主な作品に、映画『1969(88、監督・脚本)、『スウィート・ハート・ダンス』(88、脚本)、『スター80(83、脚本)など。1978年にニューヨーク・ハドソン ギルド シアターで初演された『On Golden Pond』は、ブロードウェイミュージカル・演劇の最高栄誉であるトニー賞を受賞した。以来日本を含む世界各地・20以上の言語によって上演されている。1981年にはヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダ、キャサリン・ヘップバーンの共演で映画化(邦題『黄昏』)され話題となり、第54回アカデミー賞主演男優賞、主演女優賞、脚色賞など多数受賞のほか、ゴールデングローブ脚本賞なども受賞した。その後発表された戯曲『ウェストサイドワルツ』も、1981年のロサンジェルスでのプレミア公演後、ブロードウェイでキャサリン・ヘップバーン主演で上演、日本でも上演されている。1995年にはシャリ―・マックレーン、ライザ・ミネリらの出演で映画化もされた。

 

【公演概要】

公演名:黄昏

作 :アーネスト・トンプソン

演出 :鵜山 仁

翻訳 :青井陽治

出演 :八千草薫 / 朝海ひかる 松村雄基 ・ 若山耀人 伊藤裕一 / 村井國夫

東京公演日程  2018810日(金)~27日(月)

会場       紀伊國屋ホール

 

志木公演  91日(土) 14:00開演 志木市民会館パルシティ

大和公演  92日(日) 18:30開演 やまと芸術文化ホール メインホール

金沢公演  94日(火) 14:00開演 北國新聞 赤羽ホール

名古屋公演 95日(水) 18:30開演 名古屋市青少年文化センター アートピアホール

96日(木) 13:00開演

兵庫公演  911日(火)15:00開演 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

912日(水)12:00開演

 

主催:シーエイティプロデュース   

 

公式HP:http://www.stagegate.jp