世界中で再演を重ねているミュージカルの金字塔「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本キャスト版を、アジア初の没入型エンターテインメント施設「IHI ステージアラウンド東京」にて現在、Season1が上演中だ。11月から2020年5月まで7ヶ月にわたるロングラン公演を3シーズンに分け、異なる日本キャストで上演。さらに、メインキャラクターであるトニー、マリア、アニータ、リフ、ベルナルドは各シーズンそれぞれダブルキャストとなり、豪華俳優たちがオーディションで役をつかんだ。
約1,300人もの観客を乗せて360°回転する円形客席を劇場の中心に配置し、その周りをステージと巨大なスクリーンが取り囲む斬新で壮大な劇場システム。初演から60年以上世界中で愛されてきた「ウエスト・サイド・ストーリー」もこの劇場に合わせ演出を一新。世界で初めて“ステージアラウンドバージョン”の「ウエスト・サイド・ストーリー」を観ることができるのだ。
注目の Season1(2019年11 月 6 日(水)~2020年1月13日(月・祝)上演)で主役のトニーを演じるのは、宮野真守と蒼井翔太。そして、ヒロインのマリア役は北乃きいと笹本玲奈。また、アニータ役は樋口麻美と三森すずこが、リフ役は小野田龍之介と上山竜治が、ベルナルド役は中河内雅貴と水田航生。加えて小林隆、堀部圭亮、吉田ウーロン太、レ・ロマネスク TOBI も出演。
観劇したのはトニー:宮野真守、マリア:笹本玲奈、アニタ:樋口麻美、リフ:小野田龍之介、ベルナルド:水田航生。
演出面では先に公演が終了した来日キャスト版と同じである。オーデションで選出されただけあって、キャストと役柄との相性の良さを感じる。よく知っている曲がかかる、映像が上に動き、Gがかかっているように感じるが、これは錯覚。しかし、ここから作品世界に没頭することができる。ジェット団、シャーク団の面々、ダンスだけでなく、普通の劇場と異なるので、バックステージで移動もあり、また舞台上で次の場面への移動もあり、段取りも大変だったと思う。また、暗転などの手法が使えないため、転換が早い。
トニー役の宮野真守は、よく伸びる歌声で心情を歌い上げる。また、アクション、ダンスもあり、声優としての知名度が高いが、ミュージカル俳優としての力量をこの作品で観客にアピール。
マリア役の笹本玲奈はミュージカルでは実績抜群、透き通るソプラノ、そして可愛らしさを全面に出し、『これならトニーも一目惚れ』と思わせてくれる。アニータの樋口麻美はお色気たっぷり、セクシーなワンピースがよく似合い、劇団四季でヒロインを数多く演じてきており、安定感と存在感は抜群。リフとベルナルド、どちらもダンスもアクションもたっぷりな役柄、難易度の高い振付をこなし、日本のミュージカルの水準の高さを示した。その他、小林隆のドク他、大人キャストが脇をしっかりと固める。
そして翻訳、岩谷時子のものが有名であるが、この舞台のために新しく翻訳、今風の言い回しも取り入れてUP TO DATE、物語の時代設定は1950年代、場所はアメリカのNYであるが、言い回しを今の日本の口語体にすることによって若い観客にもすんなり作品世界に入れるように工夫されている。
世界のミュージカルの中でも傑作中の傑作、このキャストでの公演は2020年の1月13日まで。このあとは別のキャストの公演となる。Season2はトニー役:村上虹郎・森崎ウィン、マリア役:宮澤エマ・田村芽実、アニータ役:May J.・宮澤佐江、リフ役:上口耕平・小野賢章が、ベルナルド役:渡辺大輔・廣瀬友祐が演じる。”大人たち”は、田山涼成、 山口馬木也、辰巳智秋、岩崎う大(かもめんたる)、実力者でがっちりと。こちらは2月1日から公演が始まる。
<キャスト>
トニー:宮野真守/蒼井翔太
マリア:北乃きい/笹本玲奈
アニータ:樋口麻美/三森すずこ
リフ:小野田龍之介/上山竜治
ベルナルド:中河内雅貴/水田航生
ドク:小林隆
シュランク:堀部圭亮
クラプキ:吉田ウーロン太
グラッドハンド:レ・ロマネスクTOBI
[The Jets]
アクション:田極翼
ビッグディール:樋口祥久
A-ラブ:笹岡征矢
ベビージョン:工藤広夢
スノーボーイ:穴沢裕介
ディーゼル:小南竜平
エニィバディズ:伊藤かの子
グラッツィエーラ:酒井比那
ヴェルマ:今野晶乃
ザザ:井上真由子
ホッツィ:笘篠ひとみ
マグジー:鈴木さあや
[The Sharks]
チノ:高原紳輔
ペペ:斎藤准一郎
インカ:前原雅樹
ボロ:東間一貴
ティオ:渡辺謙典
フェデリコ:橋田康
コンスエロ:大泰司桃子
フェルナンダ:山崎朱菜
ロザリア:田中里佳
アリシア:内田百合香
ベベシータ:淺越葉菜
[Swing]
大村真佑
畠山翔太
脇坂美帆
矢吹世奈
【公演概要】
<Season1>
2019年11月6日(水)~2020年1月13日(月・祝) IHI ステージアラウンド東京
原案:ジェローム・ロビンス
脚本:アーサー・ローレンツ
音楽:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーブン・ソンドハイム
初演時演出&振付:ジェローム・ロビンス
<ステージアラウンド版オリジナル STAFF>
演出:デイヴィッド・セイント
振付リステージング:フリオ・モンゲ
セットデザイン:アナ・ルイゾス
照明デザイン:ケン・ビリングトン
プロジェクションデザイン:59プロダクションズ
衣裳デザイン:リサ・ジニー
エグゼクティブ・プロデューサー:ケヴィン・マッコロム(Alchemation)、ロビン・デ・レヴィータ(Imagine Nation)、 吉井久美子(John Gore Organization)
<日本語上演版 STAFF>
翻訳・訳詞:竜 真知子
演出補:薛 珠麗
振付指導:大澄賢也
歌唱指導:山口正義
演出助手:河合範子
舞台監督:今野健一・和田健汰(Keystones)
技術監督:小林清隆(Keystones)
主催 TBS / ディスクガレージ / ローソンエンタテインメント / 電通 後援 TBSラジオ 企画・製作 TBS 制作 ゴーチ・ブラザーズ
IHI Stage Around Tokyo is produced by TBS Television, Inc., Imagine Nation B.V., and The John Gore Organization, Inc.
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/stagearound/
公式 Facebook @stagearoundtokyo
公式 Twitter @STAGE_AROUND
(c)WSS製作委員会/撮影:田中亜紀
文:Hiromi Koh