作:ベン・パワー 翻訳監修:松岡和子 演出:荒井 遼 『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』 上演決定、公演日程未定

舞台『テンダーシング-ロミオとジュリエット-より』が上演されることが明らかになった。この作品はイギリスの若き劇作家、ドラマトゥルグのベン・パワーによって生み出された、もうひとつの『ロミオとジュリエット』です。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の台詞を抜粋、ソネット詩などの言葉も加え、大胆に切り貼りし、再構築。
ロミオとジュリエットという名前の老父婦の全く新しいラブ・ストーリーを作り出しました。夫婦として共に生き、年齢を重ねても変わらぬ愛の輝き中で、原作とは別の“永遠の別れ”に二人は対峙します。パワーの独創的な発想と手腕により、ロマンティックな2人芝居に。本作は09年にイギリスの名門ロイヤル・シェクスピア・カンパニーによって初演され、開幕と同時に絶賛を博し、その後世界各地で上演されている。
上演に当たり、松岡和子によって既存訳の改変、調整が若手演出家荒井遼と共に行われました。キャストには、秀逸な歌唱力で数多くのミュージカルで圧倒的な存在感を放つ土居裕子と数多くの映画・ドラマ・舞台 において確かな演技力で高い評価を得ている大森博史という最高の組み合わせが実現致しました。人気と実力を兼ね備えたスタッフ・キャストを得て日本初演 舞台『テンダーシング-ロミオとジュリエット-より』がいよいよ始動。
9月公演の予定ではあったが、公演日未定公演として発表、しかし、稽古はスタート!

<作:ベン・パワー>
NTliveにより日本でも公開された「リーマン・トリロジー」の脚色や、BBC のTVシリーズ「ホロ ウ・クラウン/嘆きの王冠」の脚本を手がける。ナショナル・シアターの副芸術監督を務め、古典作品の脚 色に定評がある。サイモン・マクバーニー率いるコンプリシテの「A Disappearing Number」のドラマトゥ ルグを担当し数々の賞を受賞した。
<演出:荒井 遼>
「Blackbird」(作:デヴィッド・ハロワー)「THINGS I KNOW TO BE TRUE-これだけはわかってる-」 (作:アンドリュー・ボヴェル)「蝶のやうな私の郷愁」(作:松田正隆)などを演出。その他、深作健 太、本広克行、ニコラス・バーター、田尾下哲、田村孝裕などの演出助手を多数務める。 (*主催・幻都は、演出家 荒井遼の作品を発表する個人事務所。今回で4度目の公演。)

<演出:荒井 遼コメント>
[再び、劇場へ]
シェイクスピアが書いた物語の中から星のような言葉が四方八方に飛び出して、全く別の星 座を作り出してる。無惨な争いを続ける二つの家は姿を消し、代わりに海辺の一軒家で長年連 れ添う老夫婦が現れる。シェイクスピアの時代のロンドンではぺストが蔓延して劇場は度々封 鎖された。劇場再開の後「ロミオとジュリエット」は初演された。劇場封鎖の間に彼は静か に、この言葉を書いたのだろうか。400年前から届くダイナミックな言葉。その膨大な言葉 の中から“a tender thing ”というマキューシオが発するたった一言に作者のベン・パワー は別の角度から光を当て、愛情と絆についての物語を作った。そして僕は今だからこそ、この 言葉と物語は“劇場”で輝くと思っています。
[ゆっくりとした歩みで]
再びの感染者数の増加、演劇界への広がり。目に見えない敵との戦い、人間同士の疑心暗鬼の時代は、残念ながらまだ始まったばかりの様です。
私たちは、本作を9月中旬に上演する予定で準備をしておりましたが、悩んだ末に延期という決断を致しました。これから火をつける矢先のことです。決して軽くはない空気の中、今後についてを出演者と話し合いました。そして、もはやいつ演劇が出来るのか、誰にもわからないのだから予定していた期間にゆっくりと稽古を始めることにしました。普段ならば初日に向けて全員で火力を上げていくわけですが、感染症予防をしながら、とろ火で煮込んで芝居を作っていくのも良いのではないか。いつか目に見えない敵と共存できる時代にまた、劇場で皆様とお会いできる時のために今できることを少しずつやっていこうと思います。
これからの中長期的な稽古の様子をホームページ、ツイッターを通して発信してまいります
ので、どうかこの試みを見守ってくだされば幸いです。せっかくなので、シェイクスピアの言葉を最後に。
「必要なものは船に積み込んだ。さあ、お別れだ。」


<土居裕子:コメント>
ロミオとジュリエット。シェイクスピアが400年以上も前に書いたこの作品が、今なお輝き続けている のは、誰もが経験する初めての恋愛の美しい憧れと、誰にでも起こり得る不幸が描かれているからなのでは ないでしょうか。でも、もしこのカップルが若くはなく、長い時間を共に過ごした二人だったら。 私事ですが、stay home の間、こんなにも長くパートナーと一緒にいる時間を過ごしたのは、結婚以来初め てのことでした。まるで老後を体現しているような毎日。絶対に感染してはいけないのは、紛れもなく一緒 に暮らす人のため。お互いがお互いの“いのち”の責任をしっかりと持っているのだということを再認識す る機会にもなりました。
パートナーの最期を彩るものは、愛情ではないかと思います。苦楽を共にした長い時間が、死の別れを、 不幸ではなく、どこか微かにでも happy な気持ちを心に灯すことができるのではないかと。そんな理想を、 TENDER THING のシェイクスピアは、教えてくれているような気がします。


<大森博史:コメント>
コロナによって遮られた僕達俳優と、観客のみなさんとの関係は、まさに逢瀬を禁じられたロミオとジュ リエットのよう、そんな思いです。劇場で皆さんにお会い出来ることが何より嬉しいのですが今回、延期と なってしまいました、兎に角僕たちは稽古を開始しました。この作品に向かって歩いていきます。
さてこのお芝居、恋のエキス、愛、人生と言うものを、シェークスピアのロミオとジュリエットの若い二 人の熱いセリフを使って、作家ベンパワーが、老夫婦二人に語らせています。ある時は無邪気に可愛くエロ ティックにある時は支えあい、死を前にして震え立ち向かい、肩組あって歩いていきます。僕はお腹の中に 暖かい血が流れて来るのを感じます。まるでいつか見た夢のようです。老いや別れと言う過酷なシチュエー ションのなかにほんのりしたものが立ち上がって来る。まさにこれが奥の方に眠っているテンダーシングなのか。年老いた夫婦がひたすら愛を語り。ひたすら相手を思う。このシンプルさが本当に魅力です! 楽しみにしていてくださいね!

<概要>
『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』
【作】 ベン・パワー
【翻訳監修】 松岡和子
【演出】 荒井 遼
【出演】 土居裕子 大森博史
【日程】 未定
【劇場】 未定
公式HP:https://theatertheater.wixsite.com/tender2020
公式ツイッター:https://twitter.com/GEN_TO_play
公式PV:https://youtu.be/i8XR-Azy_zM
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