ーー自分の正義を貫き真実を追求する男と、己の利益や野心に固執する人間との確執、駆け引き、 裏切り……。現代社会にも通じるテーマを鮮烈に描き出す!ーー
“近代演劇の父”とも称されるノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンの代表作の一つ『民衆の敵』。『ペール・ギュ ント』『人形の家』『ヘッダ・ガーブレル』など、日本でもなじみの多い代表作を持つイプセン、その中でも 1882 年に発表されたこの『民衆の敵』は社会問題を扱った唯一の作品で、当時の社会に一石を投じた問題作。ノルウェー からアメリカへ渡った本作は、アーサー・ミラーによって翻案され、ブロードウェイでの上演も高く評価されており、 1978 年にはスティーブ・マックイーン製作・主演によって映画化、2005 年にはノルウェーで設定を現代に置き換えて 映画化されるなど、根強い支持を得ている名作である。
この『民衆の敵』が、7 月からの改修工事後初、そして開館 30 周年を迎えるBunkamuraシアターコクーン周年記念公演の第 1 弾として上演されることに。今公演ではアーサー・ミラー翻案の戯曲ではなく、新たに戯曲を翻訳し上演に臨む。劇場の新たなスタートとともに新生『民衆の敵』が誕生することになる。
演出を手掛けるのは、シアターコクーンには 2016 年の『るつ ぼ』以来 2 年ぶりの登場となるジョナサン・マンビィ。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)出身で古典から現代劇 まで幅広く精通し、2009 年には『The Dog in the Manger』に てヘレン・レイズ賞最優秀演出賞候補にノミネートされ、常に 世界中で作品を発表、日本でも『るつぼ』での 演出が各方面で絶賛され、その実力は折り紙つき。本作にも高い注目と期待が寄せられている。
そしてジョナサンとの 2 度目のタッグで主演を務めるのは、 堤真一。「真実の告白」という正義を志すばかりに、次第に 「民衆の敵」となってしまい、正義が暴走しやがては家族との幸せも危ぶまれていく孤高の男トマス・ストックマンをど のように演じるのか、要注目。そんなトマスの味方となり支え続ける妻カトリーネに安蘭けい、新聞「民報」 の編集者でご都合主義のホヴスタに谷原章介、トマスとカトリーネの娘で教師のペトラに大西礼芳、カトリーネの養 父で、水質汚染の原因である製革工場の主モルテン・ヒールに外山誠二、住宅所有組合の会長で印刷屋のアス ラクセンに大鷹明良、トマスの唯一の理解者ホルステル船長に木場勝己、そしてトマスの実兄で、市長にして警 察署長、温泉管理会会長も務める町の権力者ペテル・ストックマンに段田安則など、魅力あふれる実力派が集まった。
<物語>
温泉の発見に盛り上がるノルウェー南部の海岸町。 その発見の功労者となった医師トマス・ストックマン(堤真一)は、その水質が工場の廃液によって汚染されている 事実を突き止める。汚染の原因である廃液は妻カトリーネ(安蘭けい)の養父モルテン・ヒール(外山誠二)が経営 する製革工場からくるものだった。トマスは、廃液が温泉に混ざらないように水道管ルートを引き直すよう、実兄かつ 市長であるペテル・ストックマン(段田安則)に提案するが、ペテルは工事にかかる莫大な費用を理由に、汚染を 隠ぺいするようトマスに持ち掛ける。一刻も早く世間に事実を知らせるべく邁進していた、新聞「民報」の編集者ホヴ スタ(谷原章介)と若き記者ビリング、市長を快く思っておらず家主組合を率いる印刷屋アスラクセン(大鷹明良) は、当初トマスを支持していたが、補修費用が市民の税金から賄われると知り、手のひらを返す。兄弟の意見は完 全に決裂し、徐々にトマスの孤立は深まっていく。カトリーネは夫を支えつつも周囲との関係を取り持とうと努め、長 女ペトラ(大西礼芳)は父の意志を擁護する。そしてトマス家を出入りするホルステル船長(木場勝己)もトマスを親 身に援助するのだが……。 トマスは市民に真実を伝えるべく民衆集会を開く。しかし、そこで彼は「民衆の敵」であると烙印を押される……。
【概要】
公演名称:『民衆の敵』
作:ヘンリック・イプセン
翻訳:広田敦郎
演出:ジョナサン・マンビィ
出演:堤真一、安蘭けい、谷原章介、大西礼芳、外山誠二、大鷹明良、木場勝己、段田安則
東京公演:
2018年11月29日(木)~12月23日(日・祝) Bunkamuraシアターコクーン
大阪公演:
2018年12月下旬 森ノ宮ピロティホール
※詳細は決定次第、後日発表いたします。
チケット一斉発売:2018 年 9 月予定
東急文化村HP:http://www.bunkamura.co.jp