新国立劇場 バレエ『ドン・キホーテ』吉田都・新芸術監督 会見レポ

新国立劇場のバレエの2020/2021シーズンは、楽しさと活気にあふれた古典バレエ『ドン・キホーテ』で幕を開ける。
大原永子前舞踊芸術監督の任期最後のシーズンの2020年5月に上演中止となったが、吉田都・新芸術監督にそのまま引き継がれ、新しいシーズンの船出を華やかに彩る。吉田新監督が前監督からのバトンを引き継ぐ意味も込めて、バレエ団が一丸となって取り組む渾身の舞台となる。

初日前日の22日、吉田都舞踏監督の会見が行われた。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、どのカンパニーも中止や延期を余儀なくされた。まだまだではあるものの、少しずつ対処の方法がわかってくるに従って様々な舞台の幕が開きだした。このバレエ『ドン・キホーテ』も例外ではない。

会見では、まず、MCより作品の解説、そして吉田都芸術監督の経歴などの解説があった。それから吉田都監督が登壇。まず、前監督への感謝の言葉、そして開幕にあたり、新しいシーズン最初の作品が「ドン・キホーテ」、「明るく華やかな作品でオープニングにふさわしい演目です」と監督。この作品は大原永子前舞踊芸術監督がキャスティングなどを手がけているが「想いのこもったキャスティング、最後に『これをみたい!』と選ばれたのだと思う、(引き継ぐことに関して)光栄に思います」といい、続けて衣装が!なんと吉田都監督が現役バリバリの頃にきていた衣装とのこと、衣装には名前のタグがついているそうで、名ダンサーたちの名前が刻まれている!と言っても過言ではない。また、それだけ長く使っている証拠、「衣装には多分、私の名前が貼ってあります」と監督。またバレエ団については「(みなさまが)時間をかけて育ててくださって、私は最後の彩りを添えるだけ」と謙遜しながらコメント。見所については「みれば見るほどに無駄がない、わかりやすい」とコメント、クラシックバレエの真髄のような作品とも言えるであろう。また自粛期間については「稽古は欠かさず、マスク、消毒、新しいいろいろなことに対応せねばなりません」と気を引き締める。
また、今回、初の試みとしては”チコちゃん”との連動企画、この企画の中に公演のオンライン配信もある。このオンライン配信に関しては新型コロナウイルスの蔓延により様々な制作団体が試みているが、劇場にいけない遠方のファンにとってはまたとない”観劇”のチャンスとなっている。また、チケットを購入すれば何度でも!!
また今夏は踊りだけでなく演技、会話の仕方や立ち振る舞いについても重点的に指導したと語る吉田監督。

そして、今後の予定についても発表があった。
2021年の1月9日からは「ニュー・イヤー・バレエ」、演目は『デュオ・コンチェルト』に代わり、『ソワレ・ド・バレエ』『Contact』『カンパネラ』に変わる。『パキータ』『ペンギン・カフェ』は予定通り。、『ソワレ・ド・バレエ』は深川秀夫振付、1983年初演に初演されたものをガラ公演用に一部抜粋。
2月20日からは「吉田都セレクション」に代わりまして『眠れる森の美女』とのこと。
あと、すでにチラシなども配布されているが、年内は11月はシェイクスピア『ソネット』、12月は『くるみ割り人形』となっている。
また、コロナ対策については徹底して行っている。「バー、床の消毒、最初は少人数で稽古し、今はマスクをつけて、密にならないように」と吉田都芸術監督。
2020年、どこも厳しい状況が続いているが、それでも芸術は「MUST GO ON」、吉田都新芸術監督の今後の活躍が期待される。

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<物語>
ドン・キホーテは農夫サンチョ・パンサを従えて冒険を求めて諸国を遍歴する旅に出る。活気あふれる港 町バルセロナ。宿屋の看板娘キトリの恋人は床屋のバジルだが、キトリの父ロレンツォは娘を金持ちの 貴族ガマーシュに嫁がせようと考えている。広場で人々が陽気に騒いでいるところに、ドン・キホーテと サンチョ・パンサが登場、ドン・キホーテは、キトリを自分の理想の女性であるドゥルシネア姫だと信じ 込む。しかし彼女は騒ぎの間にバジルと一緒に町外れの居酒屋に隠れてしまう。追ってきたロレンツォ たちは二人を見つける。キトリにガマーシュとの婚約を無理強いしようとするロレンツォに、バジルは 「キトリと結婚できないのなら自殺する」と狂言自殺を図る。義憤にかられたドン・キホーテは、ロレン ツォに槍を突きつけて、バジルの最期の願いであるキトリとの結婚を認めるように迫る。ロレンツォが しぶしぶ了解すると、死んだふりをしていたバジルは飛び起きて、キトリと喜び合うのだった。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサは森の中をさまよっている。ドン・キホーテは風車を巨人と見誤って 突撃するが、回り始めた風車の羽根に引っかかり、地面にたたきつけられ気を失う。夢の中でドン・キホ ーテはドゥルシネア姫(キトリ)と出会う。一方、サンチョは狩りを楽しんでいた公爵夫妻に会い、気を 失っている主人を助けてくれるように頼み込み、公爵たちはドン・キホーテを自分の館に招くことにす る。公爵夫妻はサンチョ・パンサからキトリとバジルの恋物語を聞き、館で二人の結婚式をあげるよう取 りはからう。結婚を祝って華やかな宴が繰り広げられ、キトリとバジルも喜びに満ちた踊りを披露する。

<公演概要>
令和2年度(第75回) 文化庁芸術祭主催公演 2020/2021 シーズン
バレエ「ドン・キホーテ」 Don Quixote
日程・会場:2020年10月23日〜11月1日 新国立劇場 オペラハウス
芸術監督:吉田 都
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー
改訂振付:アレクセイ・ファジェーチェフ
美術・衣裳:ヴャチェスラフ・オークネフ
照明:梶 孝三
指揮:冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
出演:新国立劇場バレエ団
主催:文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場
上演予定時間:約2時間35分(休憩含む)

公式HP:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/donquixote/