加藤和樹主演 ミュージカル『BARNUM』が3月6日より上演中だ。1980年初演のミュージカルで、P.T.バーナムの半生が元になっている。なお、映画『グレイテスト・ショーマン』(原題: The Greatest Showman)は、2017年のアメリカ映画。主演はヒュー・ジャックマン、こちらも有名だ。ミュージカルはブロードウェイでの上演後、ロンドンでも上演、今回が日本初上演となる。演出は荻田浩一。
まずは映像でキュートなクラウンが登場、白い衣装でよく見ると背中に天使の羽がついている。ピアノの調べ、それから次々とキャストが登場、中央から”どーん”と派手に登場したのは、この物語の主人公・バーナム(加藤和樹)。次から次へとミュージカルナンバー、テンポよく展開していく。バーナムは根っからの興行師、夢追い人、しょっぱなのナンバー「夢追い人が生まれてくる」はテンションの高いナンバー、そして「ジョイス・ヘス」という女性(中尾ミエ)、「100年前にジョージワシントンの看護師をしていた世界最高齢の160歳」という設定で彼女を売り出す。
そこからして相当怪しい!!妻のチャイリー・バーナム(朝夏まなと)は夫を愛しているが、興行主ではなく安定した職に就くことを望んでおり、また人を騙すようなことはして欲しくないと考えていた。しかし、見世物こそが自分の世界に彩りを与えてくれると考えているバーナムは博物館の経営に乗り出したり、世界で一番小さい男・トム・サム(矢田悠祐)を話題性のある見世物として売り出したりすることによってバーナムは次第に有名になっていく。
そんなおりにスウェーデン人のオペラ歌手、ジェニー・リンド(フランク莉奈・綿引さやか Wキャスト)と契約、魅力的な彼女に熱中したバーナムはツアーに旅立ち、公演は大成功。しかし、ふと妻が傍らにいないことに虚しさを感じ始める。妻の元に戻ったバーナムは堅実に働き、ついには市長にまで上り詰める、これが物語のだいたいの流れだ。
とにかくアップテンポなステージング、映像演出が時にはファンタジックに、可愛らしく、印象的。映像で時折冒頭に出てきたクラウン、天使にも見えるし、サーカスの道化にも見えるが、そこは観客の自由な解釈。フィリップ・エマールが演じているが、かの有名なシルク・ド・ソレイユに出演経歴のあるパフォーマーで、リアルにいなくてもその存在感で観客の目を引く。
主演の加藤和樹は、堂々たる佇まいでありながら、コミカルなシーンでは思い切りよく弾けつつも陰影のある演技で貫禄すら漂う。バーナムの妻を演じる朝夏まなとは夫を愛しつつも、夫の考えていることがわからない生真面目で礼儀正しい妻役をきっちりと演じ、加藤和樹・バーナムのはっちゃけたキャラクターを盛り上げる。他の出演者、演じるキャラクター以外にもジャグリングなどで大活躍。歌いながら行う場面もあり、もちろん”ガチ”。相当な訓練を積んだ成果、本当のサーカスもやれそうな!くらい!ここは文句なしに見どころ。また、レジェンド中尾ミエ!70歳超えだが、ダンス、歌を披露!なお、休憩時間には舞台上で木下サーカスの映像が流れるが、その凄さに感嘆。
映像演出、新型コロナウイルス感染症対策のためのものだそうだが、サーカスシーンの演出は映像でも迫力があり、楽しい場面に仕上がっている。ラストはちょっとうるっとくるが、イカサマと言われようが、己の信じる道を貫き通したバーナムの人生、そして考え方や方向性の違いで夫婦の間で時折諍いが起こるも、深いところでは愛し合っている夫婦。ただただ、楽しいだけのミュージカル、エンタメではなく、そういったことに思いをはせると様々な景色が見えて来る。
なお、ゲネプロ終了後に加藤和樹から挨拶があった。
「舞台に立てるということが当たり前ではないと感じる今、無事、初日を迎え、キャスト・スタッフの想いを一つにこの場を迎えられました。明日がどうなるか分からない日々ですが、自分たちのやってきたことを 信じて、P.T.バーナム同様に人に喜びを与えられるような作品を千穐楽まで作り上げたいです」と挨拶。また、舞台袖に戻る際にも客席に深々とお辞儀をした。今までのようにはいかない状況の中、無事に千秋楽まで駆け抜けて欲しい。
その他のキャストコメントも到着した。
[朝夏まなと]
いよいよ開幕です。サーカスというエンタメを実現させるための、くじけない心、それを支える立場。 私にも通じるところもあって、みんなのエネルギーも爆発しています!劇場でお待ちしています。
[矢田悠祐]
本作はバーナムの人生のアルバムをパラパラとめくり、その中の写真1枚1枚がショーになっているようなミュージカルだと思います。それぞれの曲に、その時代のバーナムのストーリーが込められていて、 なおかつ、ハッピーで明るい曲ばかりですので、是非劇場まで足を運んでいただいて、 このハッピーなオーラをどんどん持ち帰って頂ければと思います。劇場でお待ちしております。
[フランク莉奈]
コロナ禍になってから沢山のものが世界から奪われてしまいました。私自身、気力の全てがなくなった日 もありました。ですが生涯をかけて夢を追うバーナムの姿をみていると、どんな時でも希望を捨ててはい けないという勇気をもらえます。みなさまに笑顔になっていただける作品になっているので、是非お届け できたら嬉しいです。一緒に夢の世界に行きましょう!
[綿引さやか]
早くお客様とこの舞台の幕を開けたくてワクワクしています! 心躍るエネルギーに満ち溢れた音楽、パフォーマンス、そして物語。お客様に笑顔になっていただけるこ と間違いなしの作品です。新しい春の訪れとともに、この作品が皆様の心に沢山の幸せをお届けできるよ う、私たちも心を込めて舞台に立たせていただきます!
[原 嘉孝]
個人的には、本格的なミュージカルに挑戦するのは初めてです。稽古中から皆さんの熱量に圧倒され、プ レッシャーを感じていますが、同時にワクワクを隠しきれません。ずっと夢見てたミュージカルの舞台。 自分も作品の一部となって、キャストの皆さんと歌のパワー、エンタメの素晴らしさを客席に届けられるよう頑張ります!
[内海啓貴]
コロナ禍でこのミュージカル『バーナム』をお届けできる事が奇跡だと思っています。
夢を追うP .Tバーナムの姿に僕自身何度も勇気づけられて救われました。 「どのように人を惹きつけて、楽しませるか。」バーナムが作中ずっと思い続けている事を胸に、千秋楽まで問い続けて、観に来て下さるお客様に夢のようなグレイテストショーをお届けしたいです!
[中尾ミエ]
このコロナ禍を吹き飛ばす元気の出るミュージカルです。 若さは素晴らしい!皆さまも元気を吸い取ってお帰りくださいませ!
<公演概要>
【タイトル】ミュージカル『BARNUM』(読み:バーナム)
Music by CY COLEMAN / Lyrics by MICHAEL STEWART / Book by MARK BRAMBLE
【出演】
加藤和樹 朝夏まなと ・ 矢田悠祐
フランク莉奈・綿引さやか(ダブルキャスト) 原 嘉孝・内海啓貴(ダブルキャスト)
章平 工藤広夢 斎藤准一郎 泰智 福田えり 咲良 米島史子 廣瀬水美
中尾ミエ
映像出演:フィリップ・エマール 石田純一(Performer Ai)
【会場/日程】
東京 東京芸術劇場プレイハウス 2021年3月6日(土)~3月23日(火)
兵庫 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール 3月26日(金)~3月28日(日)
神奈川 相模女子大学グリーンホール 4月2日(金)
【版権コーディネート】東宝ミュージック
【特別協力】木下サーカス
【企画】シーエイティプロデュース
【主催・製作】シーエイティプロデュース エイベックス・エンタテインメント
【お問合せ】
[東京・神奈川]03-3234-9999(平日10:00~12:00/13:00〜15:00)
[兵庫] 0798-68-0255(10:00~17:00 月曜休※祝日の場合)