誰しもおなじみのシンデレラの物語を、楽しさいっぱいの極上のオペラで!
『チェネレントラ(イタリア語のシンデレラ)』はヒット作メーカーのロッシーニのオペラ。愉快な重唱に華麗な装飾満載のアリア、早口のアジリタで盛り上がるクライマックスと、ロッシーニの魅力満載。舞台を黄金期のチネチッタに設定、映画のヒロイン探しの物語に変身させ、幸せを勝ち取る女の子のストーリーを描く。 指揮はイタリアの巨匠ベニーニ。そしてコルベッリ、バルベラら世界のロッシーニ歌いと共に、イタリアで大躍進を遂げベルカントの主役を次々射止めている脇園彩が、シーズン開幕公演のタイトルロールに登場。得意のアンジェリーナ(チェネレントラ)役 をオペラパレスで披露。
ヒット作を連発したロッシーニのオペラ・ブッファが 頂点を極めた作品で、おなじみのシンデレラの物語が極上のオペラ。物語は変装に次ぐ変装で笑いいっぱいに進み、愉 快な重唱、華麗な装飾満載のアリア、アジリタで盛り上がるクライマックスと、ロッシーニの魅力が満載。フィナーレのチェネレントラ(シンデレラのイタリア語)のアリア「苦しみと涙のうちに生まれ」は、メゾソプラノの絢爛たるアリアとして独立して演奏されることも多い名曲。この大曲が描く、許すことの難しさ、尊さが、フィナーレに深い余韻を与える。
演出には、イタリア・オペラの読み込みにかけては随一の演出家、粟國淳。粟國淳と舞台美術家チャンマルーギの構想では、舞台は黄金期 1950年代~70年代のローマのチネチッタ(映画撮影所)。『チェネレントラ』の映画を撮影しようとしているプロデューサーと映画監督がヒロインの女優を探す物語に変貌。ロッシーニが描く、自分の力で幸せな人生を勝ち取る少女の姿が、ヒロインを勝ち取る女優に重なる。ロッシーニの『チェネレントラ』 には、誰しも自分の力で立ち上がって幸せを掴むことができるという人生の応援メッセージがいっぱい。魔法に助けられるロマンティックな『シンデレラ』とは一味違う、等身大で賢明な女の子の物語が活き活きと語られ、共感を誘う。
レトロタッチでチャームポイント満載の美術・衣裳も見どころ。
タイトルロールのアンジェリーナ(チェネレントラ)は、イタリアを拠点に年々成熟を見せる脇園彩。チェネレントラはミラノ・スカラ座アカデミー時代に「子どものためのチェネレントラ」で スカラ座デビューを飾った作品で、その後も各地で出演を重ねてきた得意役。オペラ・ファン待望の登場。王子ラミーロには、2020年『セビリアの理髪師』で脇園彩との名コンビぶりを見せ、大喝采を浴びた破格のロッシーニ歌いルネ・バルベラが登場。伸びやかな声と演技は、今回のラミーロ=映画プロデューサーにも絶妙にあいそう。チェネレントラの父の男爵ドン・マニフィコには、ベルカントのレジェンドとして活躍を続ける名ブッフォのアレッサンドロ・コルベッリ。王子の家庭教師アリドーロにはベルカントの旗手として躍進中のガブリエーレ・サゴーナが登場。軽妙なアンサンブルをリードするのは、イタリアの巨匠マウリツィオ・ベニーニ。
<「チェネレントラ」ものがたり>
【第1幕】ドン・マニフィコ男爵の屋敷。男爵の今は亡き後妻の連れ子アンジェリーナは“チェネレントラ(灰かぶり)”と呼ばれて使用人のように扱われ、姉となった男爵の娘クロリンダとティーズベを世話している。心優しいアンジェリーナは物乞いの男に水と食べ物を与え る。彼は実は王子ラミーロの家庭教師アリドーロで、貧者に身をやつして王子の花嫁を探しているのだ。従者に扮した王子が屋敷に入り込み、アンジェリーナと一目で恋に落ちる。一方、王子の従者ダンディーニが王子に成りすまして現れ、一家を城の舞踏会に招く。 アンジェリーナも行きたがるがマニフィコが拒む。アリドーロはこっそりアンジェリーナを舞踏会に誘う。城の舞踏会では、姉娘2人が偽 王子(実はダンディーニ)を取り合うが、突然現れた絶世の美女(アンジェリーナ)に皆が驚く。
【第2幕】城の中。王子姿のダンディーニが出てきてアンジェリーナに求愛するが、彼女は従者を愛しているのだと語る。その言葉を耳 にしたラミーロは、早速出てきて求婚する。すると、彼女は腕輪を差し出し、自分を探すよう告げて姿を消す。屋敷に帰った男爵と姉たちはアンジェリーナに八つ当たりする。外は嵐になり、馬車が転覆、乗っていたダンディーニが屋敷を訪れる。王子も次いで現れ、アンジェリーナの腕にもう片方の腕輪を見つけて再会を果たし、城に連れ帰る。王宮では、幸せを手にしたアンジェリーナが父や姉たちを許し、フィナーレの大アリア「苦しみと涙のうちに生まれ」を歌って幕となる。
<概要>
【公演日程】
2021年10月1日(金)19:00/3日(日)14:00/6日(水)19:00/9日(土)14:00/11日(月)14:00/13日(水)14:00
【会場】新国立劇場 オペラパレス
指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:粟國淳
美術・衣裳:アレッサンドロ・チャンマルーギ
出演:
ドン・ラミーロ ルネ・バルベラ
ダンディーニ 上江隼人
ドン・マニフィコ アレッサンドロ・コルベッリ
アンジェリーナ 脇園 彩
アリドーロ ガブリエーレ・サゴーナ
クロリンダ 高橋薫子
ティーズベ 齊藤純子
合唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督 大野和士
主催 文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場
公演情報WEBサイト https://www.nntt.jac.go.jp/opera/lacenerentola/