ジョン・ローガン×君塚良一×辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)「ネバー・ザ・シナー ー魅かれ合う狂気ー」衝撃的、猟奇的事件の顛末は?

世界を震撼させた衝撃の「ローブとレオポルド事件」を題材にした『ネバー・ザ・シナー -魅かれ合う狂気-』 が東京で開幕した。

「ローブとレオポルド事件」とは、裕福な家庭に生まれ、互いに同性愛関係にあった天才と呼ばれていたユダヤ人の大学生二人が、同じく裕福なユダヤ人実業家の息子、ボビー・フランクスを誘拐して殺害し、終身刑プラス99年の懲役刑を受けた事件。 オフ・ブロードウェイで上演され、以降世界中で上演され続けている人気ミュージカル『スリル・ミー』。 日本でも人気を博し、再演を重ねた『スリル・ミー』 の題材がこの「ローブとレオポルド事件」。実は、映画「グラディエイター」「ラストサムライ」などを手掛けたハリウッドの脚本家ジョン・ローガンが、それよりも前に「ローブとレオポルド事件」をベースに執筆した戯曲が、この「ネバー・ザ・シナー」 。また、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画 『ロープ』(1948年・ヒッチコック初のカラー作品)も有名。
『スリル・ミー』はローブとレオポルド二人のみでストーリーが展開、『ネバー・ザ・シナー』では法廷を舞台として事件をさらに 広い視野でとらえて物語は進行。加えてローブとレオポルドの二人の容疑者をめぐってお互いの信念をぶつけあった弁護士と検事の法廷での闘争も、物語の見どころ。
そして今回、「ずっとあなたが好きだった」をはじめ、「踊る大捜査線」シリーズを世に送り出し、近年では「教場」「教場2」のヒットも記憶に新しい日本を代表する脚本家であり、映画監督の君塚良一が、『ネバー・ザ・シナー -魅かれ合う狂気-』で舞台の初演出に挑戦。
物語の中心となるリチャード・ローブ役を、舞台のほか、TV などへも活躍の場を広げる、ジャニーズ事務所の人気グループ「ふぉ~ゆ~」の辰巳雄大が主演。 さらにジャニーズ事務所の後輩で、舞台を中心に活躍する林翔太がネイサン・レオポルド役を演じる。二人は 初の恋人役となります。 もう一つの見どころとなる法廷闘争を担う弁護士と検事には、ロバート・クロウ(検事)役に姜暢雄、クラレンス・ダロウ(弁護士)役には磯部勉を迎え、白熱の論争を繰り広げる。 さらに荒木健太朗、前島亜美、山岸拓生といった個性派俳優たちが複数の登場人物を演じ分けて脇を固め、物語に膨らみを持たせていく。

この二人、本名はそれぞれネイサン・フロイデンソール・レオポルド・ジュニア(Nathan Freudenthal Leopold, Jr.、1904年11月19日 – 1971年8月29日)、リチャード・アルバート・ローブ(Richard Albert Loeb [ˈloʊb]、1905年6月11日 – 1936年1月28日)。
史実では二人ともニーチェの超人思想の信奉者で知能指数が高く、完全犯罪を成し遂げる力があると信じていた。1924年5月21日、16歳のボビー・フランクスをレンタカーに誘い込み、殺害。身代金目的の誘拐だったように見せかけるため、工作。

物語の出だし、ネイサン・レオポルド(林翔太)が登場する。手には本を持っている。学者タイプの青年。はやぶさの話をする。はやぶさは狩りが得意。そんな話題、ちょっと意味深、それから、リチャード・ローブ(辰巳雄大)が登場し、ネイサンを後ろから抱きしめる。舞台は二人のシーンと裁判などのシーンと交互に。場面が変わり、事件を報道する新聞記者たち、無理もない、これ以上ないくらいの衝撃的な事件、そして検事(姜暢雄)、弁護士(磯部勉)、新聞記者の一人(前島亜美)、「世紀の裁判が始まる」と。ピアノの旋律が響き、「起立!」。

事件の前の二人、犯行、事件後の二人、それを単純に時間軸に展開させるのではなく、合間に法廷のシーンや事件後、インタビューを受けるシーンなどを挟み込む。二人の関係、知能指数は二人とも高く、知識も知性も持ち合わせている、そんなに優秀なら、なぜこのような犯行に及んだのか、そこはかとなく見えてくる。周りを虜にする魅力を放つリチャード・ローブ、女性と楽しそうにしている場面では、ネイサンは明らかに不機嫌、その不機嫌な彼を挑発するようなリチャード。熱弁をふるう、論理を交わす二人、その後のシーンは、新聞記者のインタビューに堂々と答える二人の場面。このつなぎ方、史実でもこの二人は事件を起こした後、新聞記者に犯行の様子を生々しく語ったと言われている。
頭も良い、自信もある、そんな二人、完璧な犯罪をするはずだったが…思わぬところにほころびが出てきて。

この二人の他に重要な登場人物、ロバート・クロウ検事とクラレンス・ダロウ弁護士。この二人も熱弁をふるう、検事はひたすら二人を断罪する。無理もない、これだけの犯罪はこの当時ではかなりセンセーショナル。弁護士は辣腕で知られる人物でしかも熱心な死刑反対論者。この二人の信条が真っ向から対立、このシーンをベテランの姜暢雄と磯部勉が厚みを持たせて演じる、秀逸な場面。また、物語の中心を担う辰巳雄大と林翔太がこの難役に挑戦、自分を完璧と思うリチャードを辰巳雄大が堂々と演じ、一方のネイサン、リチャードと同じく知能が高いが時には感情に支配されロマンチストぶりを見せるキャラクターを林翔太が情熱的に演じる。脇を固める荒木健太朗、前島亜美、山岸拓生がきっちりと仕事をこなす。史実ではクラレンス・ダロウは法廷で12時間にも及ぶ弁論を行ったと言われている。この事件が起こったのは1920年代のアメリカ、猟奇的、衝撃的、そして驚くべき事件。その真実は…答えは劇場にある。

稽古とは思えない熱演の後、会見が執り行われた。フォトセッションの後、辰巳雄大と林翔太が会見に臨んだ。
まず、辰巳雄大が挨拶「演劇をやること自体がリスキー…実話をもとにしたストーリー、千秋楽まで!」。状況が厳しい中、開幕しても途中で公演中止になるケースが相次いでいるが、まずは千秋楽まで完走することが第一。そう言いつつ、二人は気を引き締めた表情。それから質疑応答、共演することについては二人、同じグループに所属していたことがあり、辰巳雄大は林翔太のことを「芯がしっかりしている男」と語り、隣で林翔太が少々照れくさそうに笑う。それを受けて林翔太は「同じグループの時からお兄さんで踊りを教えてもらったり」とニコニコ。舞台上でも息のあったところを見せる。さらに辰巳雄大は「かわいい後輩、まっすぐで取り組む姿勢が好き、感じたことをどう投げても受け止めてくれる」と全幅の信頼を寄せ、「生まれ持った素質かなと…この物語は1920年代の実際にあったもので、自意識過剰な男が登場、1920年代って何があったのかみんなで共有しています」とコメント。この事件が起こった1924年は禁酒法の時代、そしてこの数年後には世界恐慌が起こる、まさに混沌とした時代、そして世界大戦に突入していくが、この作品はこういった時代の空気をまとっている。皆、かなり勉強した様子でカンパニー全体のレベルも高い。林翔太は「頼り甲斐のあるお兄さん」といい、「翔太は優しさで包んでくれる…」とコメント(隣でまた林翔太が笑う)。
最後に”お兄さん”、辰巳雄大が「二人の青春モノのところもあり、そこも見て欲しい。エネルギーを与えられるように…今の状況で公演させていただいて、いいカンパニーです。みんなで戦っている、熱い作品です。観られない方にはいつか届けられるように、千秋楽まで無事に!」と挨拶。まずはつつがなく初日から千秋楽まで上演できることを!

<物語>
1924年、夏―――。 アメリカ全土は、数年前に施行された禁酒法の最中にあり、混沌としていた。 そんな中、イリノイ州シカゴで全米が注目する、ある裁判が始まろうとしていた。 裕福な家庭に生まれ育ち、共にエリートと呼ばれたローブとレオポルドが起こし た衝撃的な殺人事件。それは当時の世論に「未成年によって行われた犯罪では史上最悪である」と言わしめたほどのものだった。 事件の数年前にシカゴ大学で運命的な出会いを果たした二人は、互いの才能に魅かれ合い信頼関係を深めていた。犯罪小説にのめりこみ空想の中で<完全犯罪> の実行を夢見るようになっていたローブと愛鳥家でニーチェの<超人主義>に傾倒していたレオポルドは、共謀の末に遂に事件を引き起こす。顔見知りの少年ボビー・フランクスを誘拐し、殺害。身代金目的の誘拐を偽装しようと様々な工作を施すが、それは<完全犯罪>には程遠い、稚拙なものだった・・・。警察の捜査の手が及び、やがて彼らは犯行を自白する。明らかになる驚愕の動機、揺らい でいく二人の信頼関係。 二人の命運を握る名うての弁護士・ダロウは驚きの手法で情状酌量の判決を狙うべく奔走するが、厳格な検事・クロウは彼らに厳罰を下すべく毅然と立ちはだかる。裁判で暴かれていく二人の秘密の関係、そして下される判決・・・。 犯した罪と向き合った時、二人の心に去来する思いとは―――。

<概要>
タイトル:『ネバー・ザ・シナー -魅かれ合う狂気-』 作:ジョン・ローガン
演出:君塚良一
出演: 辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)
林 翔太
荒木健太朗
前島亜美 山岸拓生(拙者ムニエル)
姜 暢雄 磯部 勉
公式サイト:http://www.nts-stage.jp
公式 Twitter:@nts_stage
[東京公演]
日程:2021年9月2日~12日
会場:品川プリンスホテル クラブ eX
東京公演主催:ミックスゾーン
【お問い合わせ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337 (平日 12:00~15:00)
[大阪公演]
日程: 2021年9月18日~19日
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール
大阪公演主催:サンライズプロモーション東京、リバティ・コンサーツ
【お問い合わせ】:キョードーインフォメーション 0570-200-888(月~土 11:00~16:00)
舞台撮影:木村直軌