ミュージカル『キャッツ』が久々の東京公演を行う。開幕に先駆けて新設劇場“キャッツ・シアター”(東京・大井町)の内覧会が行われた。
『キャッツ』は “都会のゴミ捨て場”を舞台に、個性豊かな猫たちが一夜限りの舞踏会を繰り広げる 物語。その舞台設定を支える一つの要素が、“キャッツ・ワールド”を最大限に表現した劇場の存在そのもの。猫の目線から捉えた劇場空間は膨大な“ゴミ”のオブジェで飾られ、その大きさは 実物の約3~5倍。中には東京にちなんだ品々も“ご当地ゴミ”として取り付けられている。これを探すのは一つの楽しみだ。
初演は1983年のこと。東京の西新宿のテント式の仮設劇場、作品の為だけに作られた専用劇場、しかも日本初の1年間ものロングラン公演を行い、社会的にも大きな注目を集めた。以来、35年もの長きにわたり、公演を行い、各地で『キャッツフィーバー』を巻き起こした。これまでの公演数は9802回、総入場者数はおよそ969万人、ブロードウェイの7485回、ウエストエンドの8950回を大きく超えている。
会見の前にまずは、回転席の体験から始まった。あの音楽が鳴り響き、ゆっくりと客席が回る。そして目に前にあの猫達の住処が!所々で猫の目が光る。これだけでワクワク感が一気に!という感じ。
それから代表取締役社長の吉田智誉樹が登壇し、「キャッツシアターの魅力は客席との一体感」と説明。普通の劇場と異なり、ドアを開けた瞬間から「キャッツ」の世界観に入り込める。そしてそこらじゅうに大きなゴミ、ゴミ、ゴミ。「通常の3〜5倍の大きさ」と解説。要するに猫から見たゴミなのである。「東京にちなんだゴミもあります」と吉田智誉樹。劇場に着いたら、まずはゴミのチェックを!それから「キャッツ」の記念すべき日、11月11日は日本初演35周年、そして来年の2019年には日本公演通算10000回達成!
それから演出スーパーバイザー加藤敬二が登壇、1984年に「キャッツ」のオーディションに合格し、マジシャン猫のミストフェリーズ役で出演、以来、劇団四季の主要な作品に出演し続けている。1998年版リニューアル版より振付を手がけており、現在もスーパーバイザーとして作品に関わっている。「僕も『キャッツ』で人生が変わりました」と語る。「人間と猫が逆転する世界観」と「キャッツ」の世界観を評したが、ミュージカルで歌われる珠玉のナンバーの数々、その全てに深い意味と哲学がある。また、幾つかのダンスシーンがリニューアルしているそうで、観劇したことがあれば、違いをチェックしたいポイント。現在はスタッフが来日して稽古の真っ最中、ここは楽しみ。
それから同作品舞台美術担当の土屋茂昭が登壇、開口一番「楽しいんですね」とコメント。「この建物は全て『キャッツ』だけのために作られています」と語る。劇場の屋根には猫の目が光る。そして作品作りと劇場作り「建物と一緒に作っています」と語り、「建てながら舞台機構を仕込んでいる」とコメント。つまり「キャッツ」は劇場全てが「キャッツ」そのもの、ということ。そして舞台美術を手がけている土屋茂昭らしい発言、「(ゴミを)見つけるの楽しい空間」と満面の笑みで。ところどころに散らばっている『おお〜懐かしい』と思わず声をあげたくなるゴミ、ゴミ、ゴミ。代表曲の「メモリー」の歌詞の中に「思い出をたどって新しい命を得る」という言葉があるが、ゴミ=思い出、そう人間の思い出そのもの、ジェリクルという言葉が出てくるが、これは「キャッツ」だけに出てくる言葉。ジュエリーとミラクルを合体させたもので、まさに劇場にあるもの全てがジェリクルという訳だ。また、劇場のどこかに四つ葉のクローバーが1つだけあるそう。これは・・・・・・探すっきゃない!
そしてさらに土屋茂昭はゴミについて言及、ゴミを100点以上新しく作ったそうで、劇団の工房で作成。そしてもはや名物と化した『ご当地ゴミ』。ちなみに横浜では崎陽軒のシュウマイ弁当、札幌ではジンギスカン鍋、大阪ではたこ焼き器などがあったそう。また時代を感じさせるものもあり、観劇前や休憩時間にしっかりと見つけて欲しい。
それからフォトセッション、特別に猫たちも駆けつけてパシャ。それからマスコミ陣はゴミ探し、和やかに内覧会は終了した。
【公演概要】
日程:2018年8月11日開幕
場所:キャッツシアター(品川広町2-1-18)
現在2019年1月31日まで発売中。
2019年2月1日〜6月30日公演分
一般発売開始:7月21日
「四季の会」先行予約:7月14日
公式HP:https://www.shiki.jp
文:Hiromi Koh