トム・クルーズとダスティン・ホフマンの映画でも知られるこの作品は、 破産寸前の自動車ディーラー(藤原)が、 父の死後、 初めてその存在を知った自閉症の兄(椎名)との旅を描いた物語である。
演出を手がけるのは、 作家としても高い評価を受ける劇団サンプルの松井周。 大劇場での演出は初めてながら、 テンポのある芝居と個性的な転換が目を引く。
本作は、 演技ではなく実際にそこに生きているかのような自然体の会話が見所の会話劇で、 藤原と椎名はこれが初共演となるが息のあった掛け合いを見せている。
藤原は等身大の男性として、 コミュニケーションのむずかしい相手との芝居を自然に演じ、 自分と違う他者を受け入れ、 徐々に相手に対して愛情を抱いていくという物語のテーマを丁寧に表現している。
椎名は自閉症でサヴァン症候群という難役だが、 実はかつて別バージョンの『レインマン』にて、 藤原が演じる弟・チャーリー役を2度経験したことがある。 新たな挑戦となる今回は病気について勉強したり、 実際に同じ病気を抱える患者の方に会うなどの準備をして稽古場に入った。 単に素振りを真似るだけではなく、 奥深い内面までをも見事に現し、 実にリアルに演じている。
上演時間は2時間45分(休憩15分込)。
公演は同劇場で8月4日まで上演した後、 静岡、 福岡、 大阪、 宮城、 名古屋の全国5箇所で上演される。
<あらすじ>
物語の始まりはロサンゼルス。 チャーリー(藤原竜也)の元に父の訃報が届き、 彼は恋人のスーザン(安蘭けい)と共に久方ぶりに故郷・オハイオ州シンシナティへ。 そこで、 父の財産の受益者が、 初めてその存在を知ったサヴァン症候群の兄レイモンド(椎名桔平)だと知ったチャーリーは、 遺産の半分を自分に譲るよう説得すべく、 兄を施設から連れ出す。
コミュニケーションのすれ違いからいら立つ弟と自分の世界に閉じこもる兄……二人の旅と、 心の行く先は――。
<出演者コメント>
藤原竜也(弟・チャーリー役)
今、 出会うべくして出会った作品・カンパニーだと感じています。 大人な稽古場でした。 (上演台本・演出の)松井周さんは、 演技の細部にまでアドバイスを与えてくださる方で、 僕にとっての新たな引き出しを授けてくださいました。 感謝しています。 頼りがいあるお兄ちゃんの様な存在で現場を引っ張ってくれる椎名桔平さんと共に、 “レイモンド&チャーリー兄弟”の関係を構築してきたつもりです。 本番も、 この勢いで頑張ります!
椎名桔平(兄・レイモンド役)
藤原竜也くんと共に兄弟を演じる、 僕にとって3度目の『レインマン』。 多種多様な『レインマン』があっていいと考え、 今回その新しい形に出会えた様に感じています。 今の自分が演じる“レイモンド”という人物像を、 日々の稽古で作ってきました。 実際にサヴァンの方にお会いすることが出来た事も大きな糧になりました。 家族の喪失と兄弟の再会の物語において、 様々な問い掛けに直面する登場人物と一緒に、 お客様も自問自答しながら“道行(みちゆき)”を味わっていただければ。
【公演概要】
上演時間:2時間45分(休憩15分込)
脚本:ダン・ゴードン
上演台本・演出:松井 周
出演:藤原竜也、 椎名桔平、 安蘭けい、 横田栄司、 吉本菜穂子、 渡辺 哲
東京公演 7月20日(金)~8月4日(土) 新国立劇場 中劇場
静岡公演 8月7日(火)~8日(水) 三島市民文化会館 大ホール
福岡公演 8月11日(土)~12日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
大阪公演 8月14日(火)~15日(水) メルパルクホール大阪
宮城公演 8月18日(土)~19日(日) 名取市文化会館・大ホール
名古屋公演 8月22日(水)~23日(木) 御園座
公式HP:http://hpot.jp/stage/rainman2018
主催・企画制作:ホリプロ
撮影:神ノ川智早