城田優演出主演による、コメディミステリーの傑作ミュージカル『カーテンズ』が、2022年2月26日に東京国際フォーラムにて開幕、そのあとは新歌舞伎座、愛知芸術劇場にて上演。
『カーテンズ』はミュージカルのバックステージ物の2007年のブロードウェイミュージカル。同年のトニー賞では、主演のデビッド・ハイド・ピアーズ が主演男優賞を受賞した他、作品賞、脚本賞、作詞作曲賞、演出賞、主演女優賞、助演女優賞でノミネート。日本では2010年に東山紀之主演で上演、今回、全くの新演出、新カンパニーでの上演、城田優が演出・主演を務める。
共演に、ミュージカル初挑戦となる櫻坂46のキャプテン菅井友香、三浦翔平に加え、瀬奈じゅん、原田薫、岸祐二、宮川浩と豪華な俳優陣が出演。バンビ役にはオーディションにより中嶋紗希が抜擢された。
『カーテンズ』は、1959年の港町ボストンが舞台。ボストンはニューヨークの北東に位置するアメリカの中でも最も古い歴史都市の一つ。今では芸術や教育が盛んな文化都市として有名であるが、第二次世界大戦以降、工業力の低下とハイウェイの発達による街の郊外化が進み、旧市街は衰退の一途に＿。`50年代の末から未来を見据えての再開発が始まったボストンを背景にする『カーテンズ』は、アメリカの古き良き薫りと、革新へのエネルギーが共存した作品。
不穏な音、いかにも事件が始まるかのような…そこから一転して底抜けに明るい「THE MUSICAL」といった楽曲が威勢よく！50年代っぽい、ミュージカル黄金期を彷彿とさせる。ここはボストンの劇場。それから劇中劇、これも、わかりやすい王道ミュージカルの群舞。新作『ロビン・フッド』のトライアウト公演、評判がよければ、BWだ。
殺人事件など微塵も怒らなさそうな。大きな拍手に応える（ここも劇中劇）。場面変わっていわゆるバックステージ、登場人物たちが新聞を手にしている。劇評が出ているのだが、内容が超辛口。
そんなところに！「ジェシカが死んだ」「？！」ここから物語が動き出す。
殺人とくれば、早速やってくるのは警察関係の人。ところがこの警部補・フランク・チョフィ（城田優）、事件があった現場にやってきて、なぜか明るく、テンションもアゲアゲ。なんと、彼はミュージカルオタク（笑）、、本当は舞台関係者になりたかった風情。目の前にミュージカル俳優がいたり、作曲家がいたり、演出家がいたり、プロデューサーがいたり。殺人事件現場ではあるが、彼にとっては“パラダイス”、ウキウキが止まらない状況。しかし、一応警察なので劇場にいた全員が容疑者、劇場から出ないように指示をする。
主人公のミュージカルオタク警部補のあくなきミュージカルへの愛がコミカルではあるが、その本気度に感服！劇場に居合わせてた人たち、全員が容疑者。疑われているにもかかわらず、そんな彼の熱意と愛を感じて新作に取り組む。そこで見えてくる人間関係、プロデューサーのカルメン（原田薫）と女優のバンビ（中嶋紗希）は母娘。そうこうしてるうちにまたまた殺人が！恐怖と疑惑、誰が犯人？もしかしたら次の犠牲者は自分かも？！そんなこんなであるにもかかわらず、チョフィは新作ミュージカルに首を突っ込む（突っ込みすぎ）。
犯人は誰なのか、推理要素もあるが、舞台関係者が織りなすサイドストーリーも見逃せない。群像劇的な要素もあり、物語も見応え十分、そして作品を彩るミュージカルナンバーが、溌剌とした楽曲、50年代はミュージカル映画黄金期、この楽曲を聴いているだけでも、この作品のクリエイターたちのミュージカル愛を感じずにはいられない。群舞も懐かしい、そして完璧なフォーメーション。劇場関係者たちの闊達かつ深いミュージカル愛、新人女優のニキ（菅井友香）、振付師のボビー（三浦翔平）、作詞家のジョージア（瀬奈じゅん）、作曲のアーロン（岸祐二）、演出家のべリング（宮川浩）、皆、「ロビン・フッド」を完璧なミュージカルにしたい、そこにチョーフィが加わり、さらに熱く取り組む。殺人犯も気になるが、それ以上に新作ミュージカルの出来栄えも気になってしまうほど。
安定感のあるベテラン勢に、ミュージカルは始めてという菅井友香、櫻坂46のキャプテンの貫禄で初めてには見えない。また、オーデションで抜擢された中嶋紗希、母親役の原田薫相手に堂々と！将来が楽しみなフレッシュな女優。城田優は会見では稽古期間中は「ヘロヘロ」と言いつつ、八面六臂の活躍ぶり。本人から滲み出るミュージカル愛とキャラクターの設定がシンクロ。
2007年3月にブロードウェイで開幕。2007年のトニー賞では、主演のデビッド・ハイド・ピアーズが主演男優賞を受賞した他、作品賞、脚本賞、作詞作曲賞、演出賞、主演女優賞、助演女優賞の計8部門でノミネート。21世紀の作品であるが、50年代ミュージカルの”入れ子”状態、どんだけミュージカルが好きなんだ！と観ながら突っ込みたくもなる。いわゆる「Boy Meets Girl」もあり、推理、コメディの要素もがっちり。また、ミュージカルファンなら笑える場面も用意されているので！細かい笑いもちょこちょこと入った２幕もの。マスク越しでしっかり笑おう。
ゲネプロの前に取材会が行われた。登壇したのは、城田優、櫻坂46のキャプテン菅井友香、三浦翔平。まずは挨拶。
城田優「ワクワクしているところもあります。演出家としても主演としても、素敵なキャスト・スタッフに支えられて、お客さまのために精一杯歌って踊って！」
菅井友香「できることを体当たりで」
三浦翔平「幕が開くことが嬉しい。できることを全力で！初日、無事に終えられるように」
それから城田優は「今回は新作に飛び込むような…家に帰るとヘロヘロでした。やりがいがあります。新たなチャレンジ、ミュージカルを盛り上げたい、二足の草鞋どころではない重圧、素敵なキャストスタッフがサポート、最強のカンパニーで」と語る。菅井友香は「初挑戦、みなさんを信じて全力で」と言い、三浦翔平は「こんなに大変なんだなと。先輩たちは無茶苦茶うまい！やばいなと（笑）」
本格演出、そして主演、城田優は「兼ねてから挑戦したいと思ってました。まずは心を開放することから始めて…。（菅井友香は）すごくしっかりしている。キャプテンとして完成されていたので、まずはほぐして…ミュージカルは本当に難しいです。彼女が持っている部分が役に立つ、時間があれば聞きにきてました、表現が豊かになってきていって」と絶賛。三浦翔平については「自分なりにやっていきたいと言ってくれて…。信頼してくれている」と言い、さらに「初ミュージカルの人が頑張っていると（こちらも）支えられていて、成功していく姿が愛おしい、初日と千秋楽は全く違う」と初陣勢についてコメント。三浦翔平は「役柄自体が無茶ぶりですね（笑）」、なんたって看板俳優役！！
見どころについては城田優は「芝居、歌、ダンス、３つの要素が滑らかに切り替えられれば、これが一つの物語で融合している」と作品の構造について言及。
最後に。
三浦翔平「こういう状況で足を運んでいただく、日々より良いものになっていくと思います。お楽しみに」
菅井友香「素敵な作品。みんなを信じて…楽しんでいただけたら」
城田優「幸運なことに初日を迎えられる、いつまで続くか、今出来るパフォーマンスを信じるエンターテインメントを、この数時間だけ忘れて『カーテンズ』にどっぷり浸かっていただいて！最後まで駆け抜けたい」
＜あらすじ＞
舞台は1959年のボストン・コロニアル劇場。新作ミュージカル「ロビン・フッド」はブロードウェイに向けトライアウト公演の真っ最中。主演女優のジェシカは才能は無いのにプライドだけは高く、評判が悪かった。そんな中、公演初日にジェシカが舞台上で何者かに殺害されるという事件が発生した。
駆けつけたミュージカルオタクの警部補、フランク・チョフィ（城田優）は事件の解決を急ぎながらも、その舞台作品が気になりはじめ、事件同様に舞台の内容に首を突っ込みはじめる。
新人女優のニキ（菅井友香）、振付師のボビー（三浦翔平）、作詞家のジョージア（瀬奈じゅん）、作曲のアーロン（岸祐二）、プロデューサーのカルメン（原田薫）、カルメンの娘で女優のバンビ（中嶋紗希）、演出家のべリング（宮川浩）など、出演者、スタッフ全員が容疑者！？というなか、第二の殺人事件も発生。犯人はいったい誰なのか…
＜ミュージカル「カーテンズ」概要＞
日程・会場:
[東京公演] 2022年2月26日~3月13日 東京国際フォーラムホールC
[大阪公演] 2022年3月18日~3月22日 新歌舞伎座
[愛知公演] 2022年3月26日(土)・27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
原作:ピーター・ストーン
脚本:ルパート・ホームズ
作曲:ジョン・カンダ―
作詞:フレッド・エッブ
追加歌詞:ジョン・カンダ―&ルパート・ホームズ
演出:城田優
翻訳・訳詞:福田響志
出演:城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/ 中西勝之 米本学仁 高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、 伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫
公式HP:https://www.curtains-musical2022.jp
twitter: https://twitter.com/curtains2022/with_replies(@curtains2022)
