新国立劇場バレエ団 『シンデレラ』4月上演

新国立劇場バレエ団の定番演目として多くの観客に愛されている作品。
アシュトン振付によるこの作品は、数あるバレエ『シンデレラ』の中でも最高傑作として英国ロイヤルバレエを始め、世界中で一流のバレエ団によって上演されており、日本では唯一、新国立劇場バレエ団だけが持つ貴重なレパートリー。プロコフィエフが作曲した音楽は、色鮮やかなメロディとリズム感にあふれ、本作の大きな魅力の一つ。今回はゴールデンウィーク期間中の公演となる。

意地悪な義理の姉たちは英国のマイムの流れを組み、男性ダンサーが演じる。1948年初演時は偉大なキャラクター・ダンサーでもあったアシュトン自身が踊り、男性が演じることで滑稽で憎めない役となっています。義理の姉たちのコミカルなキャラクターは、舞台を大いに沸かせ、主役に負けない人気。また、シンデレラを導く妖精も重要なキャラクターたち。童話やアニメの魔法のおばあさんは、このバレエでは美しい仙女の姿で現れます。四季の精たちは豊かな四季を奏でる音楽に合わせて、それぞれ特徴のある踊りを披露。春の精は新鮮な光で新しい生命力に満ち溢れ、夏の精は暑くけだるくて夢見がち。秋の精は風が吹きすさび、冬の精は氷のように冷たくきらめきを放ちます。これらのソロは技術的には難しいですが四季それぞれの感覚や雰囲気を表現。

アシュトン版『シンデレラ』では色鮮やかで抒情的な音楽にのせて、魔法のように美しいシーンの数々が繰り広げられる。シンデレラが舞踏会に登場し、夢見ているかのようにポワントで階段を降りる場面はハイライトのひとつ。他にも、大きなかぼちゃが魔法の杖で光り輝く馬車に変わるシーンや時計が 12時を打つと同時にシンデレラの魔法がとける瞬間の驚くような仕掛け、シンデレラと王子が星空のなか仙女に祝福を受ける幕切れなど、見どころ満載!

物語
シンデレラは、父親と二人の義理の姉と暮らしている。姉たちは好き勝手に振る舞い、シンデレラを召使のように扱っている。汚れた灰色の服で家中を掃除するシンデレラ。それでも笑顔を絶やさず、物乞いの老婆にも優しく接する。
宮殿の舞踏会に招かれている姉たちは、派手に着飾り、ダンスのレッスンを受け、父親とともに出かけていく。一人残されたシンデレラのもとに、先ほどの老婆、実は仙女が現れる。仙女が春夏秋冬を出現させる間に、かぼちゃは馬車に、シンデレラは美しいドレス姿に変身。12 時の鐘が鳴り終わる前に戻ってくるよう念を押す仙女に見送られ、シンデレラは期待に胸を膨らませ、お城へと向かう。
宮殿の舞踏会。シンデレラが広間に入ってくると、輝くばかりの気品と軽やかな足どりで人々を魅了し、王子までもが心を奪われる。
踊りながら距離を縮めていく王子とシンデレラ。しかし 12 時を告げる鐘が鳴りはじめ、シンデレラは大慌てで立ち去り、ガラスの靴を片方落としてしまう。
家に戻ったシンデレラは、夢のような時間を思い返している。そこに王子一行がやってくる。
片方残った靴を手掛かりに、舞踏会で出会った女性を探しているのだ。小さな靴に無理やり足を入れようとする姉たちを見かねたシンデレラが飛び出したとき、ポケットから転がり落ちたのは、もう片方の靴。王子は、身なりは貧しくとも、彼女こそが自分が探している女性だと悟り、その手を取る。仙女の祝福を受けた二人は永遠に結ばれるのだった。

概要
2021/2022 シーズン 新国立劇場バレエ団  シンデレラ Cinderella
振付:フレデリック・アシュトン
監修・演出:ウェンディ・エリス・サムス / マリン・ソワーズ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
美術・衣裳:デヴィッド・ウォーカー
照明:沢田祐二
芸術監督:吉田都
出演:新国立劇場バレエ団
指揮:マーティン・イェーツ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
日程・会場:2022年4月30日〜5月5日   新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間:約2時間35分(休憩含む)
公式HP:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/cinderella/

撮影:瀬戸秀美