ももいろクローバーZ×本広克行 ももクロ楽曲のジュークボックスミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』、「命をいっぱい使えばそれがみんなのダンス!!」

2018年5月でデビュー10周年のももいろクローバーZ。その10年で生まれた彼女たちの数々の楽曲を織り込んだジュークボックスミュージカルがついに24日、初日を迎える。

主演を務めるのはもちろん、百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏。2015年に映画および舞台の『幕が上がる』で「女優」としてスクリーンと舞台に立ち、アーティストとして新たな一面を見せてくれた。あれから3年の月日が経つが、再度、本広克行が演出として彼女達とタッグを組む。今回脚本を手掛けるは鈴木聡、主宰する劇団ラッパ屋で上演された『おじクロ』(2012)は、ももクロ愛がたっぷりと描かれた傑作。その鈴木と本広が幾度も打合せを重ねて到達した作品が『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』だ。
タイトルに込められた想いは、デビューから一貫している「みんなを笑顔にする」という彼女たちのビジョン。2011年女性アーティストとして初の国立競技場でのコンサートを成功させたが、そこで百田夏菜子が語った「笑顔で天下をとる」という言葉がベース。
開演5分前から生演奏しているので、ちょっと早めに席に着くことをおすすめ。雑踏の音、行き交う人々、そこへ楽しそうに話している女子高生4人、千田カナコ(百田夏菜子)、玉木シオリ(玉井詩織)、高沢レニ(高城れに)、笹野アヤカ(佐々木彩夏)。「優勝できるかな?」何やら楽しそうな会話。ダンスのコンテストに出場しようとしている、振りをあーでもない、こーでもないと夢中になっていたら・・・・・・まさか!救急車のサイレンの音、ニュース、アナウンサーが渋谷での交通事故を報道する「・・・・・・4人は心肺停止・・・・・・」事故に巻き込まれてしまったのだった。真っ暗の舞台に光る電光掲示板、タイトルロールなどが浮かび上がる。
物語は、そう、ここからだ。中央の円形のセリから白い衣装になった4人、群舞。ファンタジックなシーンだ。そして千田カナコ(百田夏菜子)が取り残され、3人はいなくなり、友の名を呼ぶ。自分がどうなってしまったのか、まるっきりわかっていない状態。

そこへやってきたのは、執事の坂上(妃海風)とお局堕天使のミーシャ(シルビア・グラブ)、下僕を従えてやってくる。事故で死んだこと、他の3人は天国のルールに従って生まれ変わってしまったことを告げる。さあ〜どうする?なんとカナコは暴挙に出た、坂上が持っているパラレルワールドの壁をのりこえられる【時空の鍵】を奪ってしまったのだった。ところが、それを取り返そうとしないミーシャ、「迷える子羊よ、もっと迷わせてあげましょう!」と高らかに言い放つ。カナコは生まれ変わってしまった友を探しに行くのであった。

とにかくアグレッシブなカナコ、物語は畳み掛けるように進行していく。生まれ変わった3人、結婚の準備をする遠藤しおり(前世:シオリ)ちょっとマリッジブルー、高校で演劇部の部活に勤しむ渡辺あやか(前世:アヤカ)部長だけど部内をうまくまとめられない、看護婦をしている高田れに(前世:レニ)、働きすぎですぐに他の仕事を引き受ける。カナコは生まれ変わった3人に会うももはや前世の記憶がないので、カナコのことはわからない、「あんた、誰?」。しかし、カナコが『Do you wanna dance?』を口ずさむと・・・・・・なぜか体が動きだす。不思議な感覚、そして3人は夢の空間に・・・・・・。

夢をあきらめない、友との絆を信じるカナコ、設定はファンタジックであるが、これは本当の意味での人として生きていくことの大切さを教えてくれる。ダンスのオーディション、合格し、アイドルグループ『ヘブン』として活躍するために必死になる4人、そこで見た景色、そんな彼女たちを見守る坂上とミーシャ、様々な“人”になってちょこちょこ登場するが、これが温かく、かつコミカルで思わず笑ってしまう。ももクロのナンバーに乗せてシーンがめくるめく変わっていく。アップテンポで楽しく元気が出る楽曲ばかりでしかもジュークボックスミュージカル形式で全ての楽曲がピタリとハマる、まるでミュージカルのためにかかれた楽曲のごとくに、だ。2幕からは、パラレルワールド内でのアイドルとしての活躍が描かれる。ライブシーンの連続で観客は、このパラレルワールドの“人”になる。リアルなライブなのに演劇、虚と実、ここはもう全力でカナコたちを応援したい場面。2幕では『全力少女』や『未来へススメ!』『あの空に向かって』などを熱唱する。そしてCDデビュー、スーパードームでのコンサートがとんとん拍子で決まっていく。しかし、カナコの魂は・・・・・。

ももいろクローバーZの4人の熱演はもちろん、脇を固める妃海風、シルビア・グラブがさすがの歌唱力&演技で魅せてくれる。マネージャとかデザイナーとか様々に変身するのだが、これが、もう芸達者ぶりを見せつける。アンサンブル陣もダンススキルが高く、群舞は圧巻だ。タイトルにもなっている『Do you wanna dance?』がライトモチーフ的に使われていて効果的、印象に残る。ファンはもちろん、ミュージカルファンも120%楽しめる。「命をいっぱい使えばそれがみんなのダンスなんだね」とカナコが言う。心に刺さるセリフやウイットに富んだ会話、ジーンときたり、思わず頷いてみたり。

本当の意味での生きること、人生、誰かを笑顔にする、それは自分自身も笑顔にならなければならない。ももクロの楽曲に乗せて精一杯生きることの煌めき、大切さ、そんな普遍的なテーマを示唆してくれる。あっという間の2幕物。盆やセリの使い方も効果的でエンターテイメント性も抜群!また、ミュージカルでいち早く新曲『天国のでたらめ』も披露、がっちり楽しめる!泣ける!元気になれる!見終わった後は、きっとHAPPY!ちなみにももいろクローバーZの楽曲は20曲以上!披露!

公開稽古の前に囲み会見が行われた。登壇したのはももいろクローバーZ(百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏)、妃海風、シルビア・グラブ、本広克行。

[百田夏菜子 コメント]
明日(24日)初日を迎えますが、(ステージにくるエレベーターの中)ギリギリまでダメ出しされてました。笑
ぜひ沢山のお客様に楽しんでもらえるよう、素敵な作品になるようキャスト&スタッフ全力で力を合わせて頑張ります。
自分の楽曲を役で歌うことは、普段のライブで披露するのとは全く違います。お芝居の中に組み込まれているので、この曲がこういう風に聞こえる等、感じ方が変わるので、楽しんでもらいたいです。

[玉井詩織 コメント]
3年前、「幕が上がる」という舞台で本広監督とご一緒して、3年ぶりの舞台はミュージカル初挑戦です。
ミュージカルは歌が大事ですが、私たち10年やってるんですが歌が得意ではないのですが、、、笑
苦戦しながら、明日いよいよ初日ですが精一杯頑張ります。沢山のお客様が楽しめる舞台になればいいなと思います。ドキドキですが、心強いキャスト・スタッフの皆さんに囲まれています。
自分の楽曲を役で歌うことについて、ライブでは、楽しんで、自分の感情を出して歌うけど、お芝居では、ストーリー上で歌うので、新たな発見があり、歌詞の意味も違うので難しいけど楽しいです。

[高城れに コメント]
今回、初ミュージカルといことで、わからないことばかりで緊張しますが、物語はファンタジーですが、実は奥深くて、今後見てくださった方のプラスになるものを感じ取っていただけると思います。
自分の楽曲を役で歌うことについて、ライブとは違って、ストーリーもあって新たな発見があります。
歌詞の意味も違う方向から感じることができるので、違うももクロを見れると思います。

[佐々木彩夏 コメント]
初ミュージカル、わからないことだらけだけど、キャストさんから教わりながら頑張っています。ももクロらしい部分と、全然いつもと違うももクロも観れると思うし、自分でも楽しいです。観ていただいた方皆さんの日々(生活)が次の日から充実するような公演になったらいいなと思います。
自分の楽曲を役で歌うことについて、ライブでの自分のパートと違う部分を歌うので、、聞いていただく方にも違うように感じることができると思います。3年前の「幕が上がる」を彷彿させる役なので嬉しいです。

[妃海風 コメント]
ミュージカルは何度か経験がありますが、今回初のことも多く、円形の舞台だったり、仕掛けも多くアトラクション感覚です。ライブ感覚で楽しめる興奮する舞台になると思いますので、みんなで汗かいて楽しめたらと思います。
ももクロのミュージカルについて、最初に振り付けをいただいた時は、アイドルみたいで嬉しかったのを覚えています。ミュージカルより100倍の汗をかくし大変だけど楽しいんでやっています。

[シルビア・グラブ コメント]
コンサートとしても楽しめる新ジャンルのミュージカルだと思います。
大劇場で回る舞台で、登場の仕方もなかなかない、下から上に上がったり、後半は素敵なシーンもあるので、演じていてとても楽しいです。珍しく、出演者がほとんど女性ばかりで華やかで明るいし楽しいので、楽しみにしていてください。
ももクロのミュージカルについて、ももクロの振り付けと全く同じの振り付けなので、最初は大変。。。と思ったけど楽しいです。

[演出:本広克行 コメント]
ミュージカルは初演出でこんなに楽しいと思っていませんでした。シルビアさんんや妃さんに教えてもらいながらも僕が一番楽しんでいます。
ももクロと会って3年経って、、どうゆう物語を紡ごうかいろいろ考えていたら、台本も遅れてしまい、みんなに迷惑もかけてすみません(笑)
稽古2日目で台本を手放していて、普通の役者でも中々いないので、びっくりした。3年経って、歌も上手になって成長していると感じました。

<新曲『天国のでたらめ』>
ミュージカル内で初公開となった新曲『天国のでたらめ』は作詞 / 作曲をドレスコーズの志磨遼平、編曲を水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミという異色のタッグが手がけた、このミュージカルのために描き下された楽曲だ。また、現在ももいろクローバーZは8月より新曲を5ヶ月連続で配信中だが、8月、9月に続き、第三弾となる10月の配信曲が今回の『天国のでたらめ』となる。
発売日は10月12日0:00(11日 24:00)で、ダウンロード、ハイレゾ、ストリーミングサービスが一斉にスタートする。発売までの間はミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」のみでしか耳にすることができない。なお本楽曲含む5ヶ月連続配信曲は、2019年5月17 日に発売が発表されている5th ALBUM「MOMOIRO CLOVER Z」に収録される予定。

[楽曲概要]
『天国のでたらめ』
作詞/ 作曲:志磨遼平
編曲:ケンモチヒデフミ
「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」挿入歌
10月12日(金)00:00配信販売スタート

通常音源ダウンロード:レコチョク、iTunes、mora 他 各配信サイト
ハイレゾ音源ダウンロード:mora、e-onkyo music、レコチョク 他 各ハイレゾ音源配信サイト
ストリーミングサービス:Apple Music、Spotify、LINE MUSIC 他 各種ストリーミングサービス

<あらすじ>
高校でダンス部に所属しているカナコ、シオリ、レニ、アヤカの4人。彼女たちは、近々に控えているダンスの大会に向け、毎日稽古に励んでいた。いよいよ明日に大会を控えた彼女たち悲劇が起こってしまう。明日が大会なのに……。一瞬にして起こった悲劇だった。しかし、彼女たちの物語はここから始まる……。

【公演概要】

『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』
日程:2018年9月24日(月・祝)~ 10月8日(月・祝)
会場:舞浜アンフィシアター
作:鈴木聡
演出:本広克行
出演: 百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)、妃海風、シルビア・グラブ 他
企画:株式会社パルコ
製作:株式会社パルコ・電通
公式サイト:http://www.parco-play.com/web/news/?id=434

フライング撮影:阿部章仁

取材・文:Hiromi Koh