藤田俊太郎 演出 舞台『Take Me Out』2025 `25年5・6月公演 全キャストオーディション開催

藤田俊太郎演出による舞台『Take Me Out』の再演に際し、全キャストを一般公募しオーディションを実施する。
舞台『Take Me Out』はメジャーリーグの華やかな選手たちの関係を捉えながら、そこに渦巻く閉鎖性によって浮き彫りになる人種問題や社会的マイノリティに深く切り込み、私たちが向き合うべき実情にスポットを当てた作品。
`03年度のトニー賞作品賞、助演男優賞を受賞し、`16年の日本初演では紀伊国屋演劇賞を受賞。`18年に再演を果たした。
`23年のWORLD BASEBALL CLASSIC優勝や、日本人メジャーリーガーの活躍により野球界へ熱い視線が向けられている今、演劇界での注目を集め続ける藤田俊太郎が、本作3度目の演出にして「Take Me Out」が向き合ってきた問題を再び問う。
来る`25年の公演では、`16年 `18年の上演キャストを含むレジェンドチームと、新メンバーで構成するルーキーチームの2チームで公演。

ここで、ルーキーチームのメンバーを選抜する全キャストオーディションの実施が発表された。今回は新たな才能に出会うべく、演技経験不問の一般公募によるオーディションの実施となる。

レジェンドチームの詳細など、詳しくは後日となる。

『Take Me Out』あらすじ 
男たちの魂と身体が燃え滾る、「ロッカールーム」。彼らにとってそこは、すべてをさらけ出せる楽園だった。

ひとりのスター選手による、あの告白までは--。

黒人の母と白人の父を持つメジャーリーグのスター選手、ダレン・レミングは、敵チームにいる親友デイビー・バトルの言葉に感化され、ある日突然「ゲイ」であることを告白。それは、150 年に及ぶメジャーリーグの歴史を塗り替えるスキャンダルであった。

ダレンのカミングアウトに対し、チームメイトのキッピーをはじめ、キャッチャーのジェイソンや会計士のメイソン、監督のスキッパーらは好意的であった。しかし、セカンドのトッディや、ドミニカ人選手のマルティネスとロドリゲスらは怪訝な態度を示す。そして、日本人選手のタケシ・カワバタは相変わらず何も語らなかった。
やがてダレンが所属する「エンパイアーズ」内には軋轢が生じ、次第にチームは負けが込んでいく……。

そんなときに現れたのが、天才的だがどこか影のある投手、シェーン・マンギット。圧倒的な強さを誇る彼の魔球は、暗雲立ち込めるエンパイアーズに希望の光をもたらしたのだが――。ある日、全国放送のインタビューに応えたシェーンは、「あいつとシャワーに入るのは気持ち悪い!」と発言。チームに再び波乱を巻き起こすのであった……。

テイクミー・アウト 2018年 舞台写真 撮影:神ノ川智早

メッセージ
 演出:藤田俊太郎
『Take Me Out』2025年公演のスタートに寄せて。

『Take Me Out』は読む度にいつも新しい価値観が見つかり、そして演出する度にいつも私に新鮮な演劇の美しさを与えてくれる戯曲です。これまで2度演出を担ってきましたが、また挑戦したいと常々願っていたこのせりふ劇に向き合える機会をいただけたことを心から嬉しく思っています。しかも、今回のシーズンは2016年、18年の公演を共に創った仲間たちを中心とするレジェンドチームと全キャストオーディションにてご一緒する新チームの2チームで創作するというプロジェクトが始まり、2025年の上演に向けて今からとても興奮しています。オーディションは演技経験不問の一般公募。たくさんの演技者、表現者に出会うチャンスを与えてくださったシーエイティプロデュースの皆様には感謝しかありません。オーディションに関しては、映像による一次審査は参加してくださる全員、責任を持って全て観させていただきます。その後二次審査は、具体的に演出プランを伝えて、稽古初旬のようにその場にいる参加者全員でシーン構築していくワークショップ形式でのオーディションを実施致します。
これまでこの作品を通して出会った全ての方、キャスト、プランナー、スタッフ、カンパニーに心からのリスペクトを込めて、2025年の公演ではこれまで培った演出の核となるものを大事にしながら、真っ新な気持ちで臨みたいと強く思っています。全体の規模感も公演する劇場も演出のアプローチも一新します。キャストお一人お一人の個性を大事に、対話を積み重ねて、それぞれの魅力が溢れる2チームを創り上げたいと思っています。
今思うと、初めてこの本に出会った時になんと魅力的な言葉の力を持った物語なのだろうと感動しました。舞台は2000年代初頭と思われるアメリカニューヨーク、メジャーリーグのベースボールチーム。ロッカールームやシャワールーム、グラウンドでの登場人物のやり取り、様々な会話によって立ち上がる主題は多岐に渡ります。異なる人種間の理解と不寛容。人と人の心の融和と、受け入れ合うことができない差別。マイノリティとマジョリティ。既成概念と革新的な考え方。勝つことと負けること。正しいことと正しくないこと。裕福と貧しさ。連れ出すこと、もしくは追い出すこと。身を守ることと攻撃すること。台本の中で’楽園‘という言葉で表現される野球を通したアメリカの現代社会を描きながら、作品全体が喜劇的であり悲劇的です。生きる喜びと、日々何かを損なうという、失う悲しみをも描いています。劇中に’言葉にするのが難しいだけかな’というせりふがありますが、言葉を尽くしてそれでもまだ語り尽くせない野球の感動が演劇と交錯することで、新しい感情の表現を生み出しています。
会計士である「メイソン」がこのチームを外側からの観た語り部となり、スポーツの魅力を清々しい言葉に宿して響かせ、その中心にいるファイブツールプレイヤーと称される大スター選手、黒人と白人のミックスである「ダレン」と愛を交歓します。もう一人の語り部である「キッピー」が選手代表としてチームを内側から語る視点を持つことでこの作品が独自の魅力を持つことになります。白人の「トッディ」が実に人間らしくこの状況に反応し堂々と自己主張し、アメリカ南部出身の天才投手「シェーン」の言動が仲間たちに修復することができないひびを入れ、ムードメーカーであるキャッチャーの「ジェイソン」がチームの不和を正そうとする役割を持ちます。中南米出身の「マルティネス」の佇まいと強烈な個性が場に開放感や彩りをもたらし、「ロドリゲス」の持つ陽気さ、アメリカ出身ではない者の事象への対峙が舞台に深みをもたらします。日本人メジャーリーガーのパイオニアのような存在の「カワバタ」の苦悩がリアリティを持ち、監督の「スキッパー」が全ての騒動を見守り、発言には大きな影響力があります。ライバルチームで黒人の実力選手である「デイビー」の死、かつてのダレンとの深い友情を想い、観客は胸を痛めることになります。
劇は、’ここではないどこかへ連れ出してくれる存在’を支柱としながら、終幕に向かいます。幕切れは、様々な解釈をすることができます。私は、’人は互いを称えあい生きている’という人間讃歌を描いているのではないかと感じ、演出家としての愛をラストシーンに込めたいと思っています。アメリカにおける2025年の‘今’を鑑みながら、この作品を通してどのような演劇を創ることができるのか、カンパニー一丸となって挑戦し、追い求めていきたいと思っています。『Take Me Out』2025年シーズンに向けての全キャストオーディション、たくさんの方の応募を心からお待ちしております。

テイクミー・アウト 2018年 舞台写真 撮影:神ノ川智早

オーディション概要
一次審査:映像による審査
応募データ 2024年4月15日(月) 正午必着
二次審査:ワークショップ形式による実技審査
(都内スタジオにて`24年5月下旬~6月上旬予定)
※二次審査の詳細は一次審査通過者に案内。
オーディションの結果は6月中旬頃の発表予定。
オーディション対象配役
メイソン・マーゼック … 語り手、ダレンのエージェントで会計士、ユダヤ人
キッピー・サンダーストーム … 語り手、ダレンのチームメイトで名選手、白人
ダレン・レミング …… アフリカ系アメリカ人のスラッガー
シェーン・マンギット …… 抑えのピッチャー、南部の白人
デイビー・バトル …… 他球団のスラッガーでダレンの親友、黒人
ジェイソン・シェニアー …… チームの新入りキャッチャー、白人
トッディ・クーヴィッツ ………… 白人のチームメイト
タケシ・カワバタ ……… 日本人のチームメイト
マルティネス ……… ヒスパニック系のチームメイト
ロドリゲス ……… ヒスパニック系のチームメイト
スキッパー ………… 冷徹さと優しさを持つ50代位の監督、白人

募集要項
■ 募集条件
1.年齢:2024年4月1日時点で満18歳以上の男性
2.経歴:
・演技経験不問
・野球経験があれば望ましい(ポジション、経験年数不問)
3.必要期間
① 二次審査 : 2024年5月28日(火) ~ 5月31日(金)
2024年6月6日(木) ~ 6月9日(日)
② 稽古 : 2025年4月
③ 本番 : 2025年5月(場合によっては6月に日程追加の可能性あり)
※上記①~③、全ての日程にご参加できる方のみご応募下さい。
■ 応募方法
別紙「一次審査について」をお読みいただき、必要データをメールに添付してご提出ください。
■ 募集締め切り・結果通知
応募データ:2024年4月15日(月) 正午必着
一次審査の結果は2024年5月20日(月)頃に応募者の皆様へメールでのお知らせを予定しております。
■ 問合
ご不明点等ございましたら、下記連絡先までお問合せください。
審査結果に関するお問合せにはお答え致しかねますのでご遠慮願います。
【本件に関するお問合せ先】
件名に「TakeMeOutオーディション問い合わせ」とご記載いただき、
下記メールアドレス宛にお送り下さい。
問合せ先 : audition@cat-group.co.jp
■その他
本オーディションに際し、ご提出いただいたプロフィール並びに動画につきましては、審査のみに使用するものとし、その他の用途には使用致しません。
一次審査について
審査結果に関するお問合せにはお答え致しかねますのであらかじめご了承下さい。
1.審査用映像
①自己紹介
・氏名・年齢・野球経験または好きなスポーツについて、10秒以内で自己紹介してください。
・顔がわかるようバストアップで撮影してください。
②審査課題
・別紙2の課題を1分以内で独白してください。
・全身が写るよう引きで撮影してください。
上記①、②は連続で撮影するか、別々で撮影したものを結合し、必ず1つの動画ファイルにしてご提出ください。
2.プロフィール
・1枚の写真付きのプロフィールを添付してください。フォーマットは問いません。
・舞台経験のある方、野球経験のある方は詳細を記載してください。
3.データ形式
・動画データ形式はmp4、wmvなど、パソコンで確認ができる形式とし、ストリーミング再生のURLではなく必ず動画データファイルをご提出ください。
・プロフィールはPDF形式でご提出ください。
・ファイル名には必ず応募者氏名をご記載下さい。
・データ容量が大きい場合は大容量データをアップロードしたリンクをお送り下さい。
4.応募方法
・審査用動画およびプロフィールを添付し、audition@cat-group.co.jp宛にメールをお送り下さい。
・メール件名は「TakeMeOut 〇〇〇〇(応募者氏名)」として下さい
・メール本文に、応募者氏名とご連絡先(携帯電話及びメールアドレス必須)を必ず明記して下さい。事務所に所属されている方はご担当者様のお名前も併記をお願い致します。
・その他、ご連絡事項がある方はメール本文にお書き添え下さい。
・締切は2024年4月15日(月)正午12:00必着とさせていただきます。

審査課題
下記、作品のメインキャラクターであり語り部であるメイソン・マーゼックのセリフを1分以内で独白してください。
メジャーリーグチーム エンパイアーズのクラブハウス内
ラウンジに一人現れるメイソン
一度舞台は全てが止まり、メイソンは時に興奮し時に冷静にダレン・レミングについて語り始める
メイソン  2、3週間前は、名前さえ知らなかった! でもあの発表があって──あの勇敢で気高い会見──まるでもの心ついた時から彼のことをよく知っているような気がした──まるで自分の潜在意識が肉体を持ったかのような──。多くの人間がそう思ったと思う。多くの人間が彼の矛盾を感じ取ったと思う──白人の父、黒人の母、世界中から愛されているのにどこか人と距離を取ってる感じも──そして今、最大の矛盾があきらかになっている。彼は自らの力で均衡を、その全ての矛盾の調和を保ち続けている。それが彼のすごいところなんだ。インタビューで聞かれる。「ご自身では、黒人だと思っていますか? それとも白人だと?」彼は答える「僕は黒人であり、白人です」と。それが唯一の答えのように。まともな人間ならその答えに何の問題も持たないかのように。そして今、私は彼のお金を管理している。彼の会計士になった。とても親密だ! 私たちが初めて会った時、私は思った。ああ神様、あんまり舞いあがりませんように──

メイソンのセリフをきかっけに全てが動き始める
ダレン・レミングが現れる

公演情報
2025年5月~6月
有楽町よみうりホール ※ツアーあり。
作:リチャード・グリーンバーグ
翻訳:小川絵梨子
演出:藤田俊太郎