⽬が⾒えず、話すこともできない少⼥「千璃(セリ)」の愛と祝福の物語。conSeptが企画・製作を手がけるミュージカル『SERI ~ひとつのいのち2026』が2月19日(木)より、あうるすぽっとにて上演中だ。
本作は、倉本美香『未完の贈り物(2012年刊)』原作で、『いつか~one fine day』『GREY』に続くconSeptのオリジナル・ミュージカルとして2022年に初演。「多様性の暗闇に光を当てる」をテーマに、目も鼻もない状態で生まれた少女・千璃(セリ)と母・美香をめぐる実話を、千璃からの視点に切り替え、ひとつのいのちに贈る愛と祝福の物語として紡ぎ、好評を得、2023年のニューヨークでの上映会を経てブラッシュアップ、2026年版の新バージョンとして上演している。

少女・千璃を演じるのは山口乃々華、母・美香役にジェイミン、父・丈晴役を坂田隆一郎が、そして劇団ナイロン100℃所属の廣川三憲、小林タカ鹿、岡村さやか、金子大介、
今森愛夏、尾川詩帆、加賀谷真聡ら実力派俳優たちが出演。

舞台は真冬のニューヨークから始まる。美香と丈晴はもうすぐ生まれる子供の名前を千璃にしようと和やかに過ごしていた。その傍らでは、「青い鳥」の“未来の国”のような生まれる時を待っている子供たちが集い、先に生まれることが決まった千璃をたたえ楽しそうだ。
そしていよいよ出産の時、しかし生まれてきた千璃は⽬が⾒えず、話すこともできない子供だった。そうして想像もしていなかった子育てに奮闘する毎日が始まり、家族は様々な困難に立ち向かっていく。

初演に続いて千璃を演じる山口はほぼ無言だが、身体表現により磨きがかかっている。
言葉だけでは伝えきれない想いを全身で訴えかける様は凄みを増し、緊張と優しさが同居する不思議な印象を受ける。開幕コメントで「全力でやってみるという初演から、お芝居の中でダンスを身体に溶け込ませることができた」と言うように、役と同化した生命力あふれる進化した姿はぜひ劇場で確認してほしい。


そして日本のミュージカル初出演で美しい歌声と歌唱力に定評があるジェイミンは、闘い(歌い)続ける美香を熱演中だ。彼女の美香は、聖母のような優しさと繊細さを備え、そこに圧倒的な歌唱が加わり音圧となって客席をビリビリ震わせている。自然と身体がのけぞってしまうのだ。大作舞台の音楽担当が続く桑原まこによる難易度の高い珠玉の音楽を、見事に歌い上げる姿には勇気を貰える。稽古から美香を演じるたびに成長していると言う本人の言葉通り、日々の進化を見届けたい。

父・丈晴を演じるのはアーティストとしても活躍している坂田隆一郎。“さ行”が苦手な新米パパが微笑ましい。落ち込む美香を笑顔で支え続ける坂田流“あきらめない強さ”が見どころだ。そんな彼だからこそ中盤で想いを吐露するナンバー“M14 確かな愛”は、明らかになる丈晴の人生と坂田本人の力強い歌唱が重なり胸に深く突き刺さる。それと同時に「こんないいパパいないよね」と思うのだ。

両親のキャスティングにおいて本作の宋プロデューサーは、子育ての経験がない俳優に演じてもらうことにこだわっているという。この夫婦の初めて子供を持つ喜びと戸惑い、成長していく姿に共感するのは、そのフレッシュ感からくるものなのかもしれない。

そうして物語は千璃をめぐり、誕生を担当した産科医オオヤマと裁判で争うことに。
オオヤマ役の廣川三憲は、一筋縄ではいかないベテラン医師をさすがの貫禄で表現。ところが裁判が続いた先で明らかになるオオヤマの背景に息を飲む。ここでもう一つのテーマが描かれ、新曲“M21 母ちゃんの教え”でオオヤマの闘いを知ることに。強気のオオヤマから肩を落とす哀愁のオオヤマ。さらに廣川はお馴染みになりつつある兼ね役も好演中、ぜひチェックを。

その多彩な役に負けないのが初演から続投の小林タカ鹿。メインはスーツを着こなしたやり手の弁護士ジョーンズ役をピリッと演じている。劇中、冷ややかな医師役や街中でダンスを披露したりとギャップが楽しく、つい探してしまう。




さらにその他を支える個性豊かな役者陣たちが生演奏に乗って高橋亜子の脚本、下司尚美によるダンスを中心とした演出を華やかに盛り上げている。様々なメッセージが込められた本作。千璃を通して成長し変化していく両親や周りの人々の姿をぜひ劇場で見届けて欲しい。


公演は池袋・あうるすぽっとにて、3月1日(日)まで。
▼千璃役・山口乃々華

――初日を迎えたお気持ちをお聞かせください。
この作品は繊細な題材を扱っているので、みんなで試行錯誤しながら毎日稽古を積み重ねてきました。皆さまの心にどう届くのかとても楽しみだと今思えるのは、私たちが常に話し合って、そして優しい気持ちでこの作品に向き合ってきたからだと思います。
作品自体の温かさ、人の温もりとか、そういうものが届けばいいなと思っております。
――2度目の千璃ですが、役作りで意識していたことは?
千璃を演じるにあたって、初演は全力でとにかくやってみる、みたいな気持ちでしたが、今回は4年の時を経ていろんな作品に触れる機会があったので、このシーンはスピードアップして緊迫感があった方がいいのかもしれないですねとか、そういうところにも目を向けながらお稽古ができました。今まではダンスを見せたい!みたいな気持ちもすごく強かったけれど、今回はお芝居の中でダンスをだんだん自分の身体に溶け込ませることができたのではと思っています。
――好きなシーンや共感するシーンは?
裁判が始まるジャッジメントのシーン。この作品は、誰かを強く攻撃したり非難したりではなく、認め合いましょうというメッセージが込められています。でも自分が大事なものを守りたい気持ちが故に戦います。自分のために、子供のために、誰かのために戦う愛のぶつかり合いがかっこいいので、私はそこがワクワクします。あとは美香さんと丈晴の結婚式のシーン。みんなのパーフェクトのダンスも大好きです。可愛いですよ。
――メッセージをお願いいたします。
初演の時も来てくださったお客さまから本当に観て良かったと、いつも熱い想いのこもった声をかけてくれます。そんな気持ちになれる作品はとても貴重で価値があると思っています。生身の人間が愛のために、何かを守るためにまっすぐ戦っている姿を観ていただきたいですし、観たら必ず気づきがあると思います。
あなた自身の明日の手助けになるようなメッセージもたくさんセリフに込められているので、ぜひ受け取りにいらしてください。
▼母/美香役・ジェイミン

――初日を迎えたお気持ちをお聞かせください。
すごく緊張しましたけど、皆さんに直接会えたことがとても嬉しいです。
役者の皆さん、スタッフの皆さんと今まで一緒に頑張って準備してきたものをやっとお披露目することできて今は胸がいっぱいです。
――役作りで意識していたことは?
基本的には言葉をちゃんと話せるようにすることからスタートしました。
最初は言葉のことで精一杯でしたが、慣れてくると美香の気持ち的なところを考えられるようになって、稽古を重ねていくうちに色々なことが見えてきました。
最初は届けたいっていう気持ちばかりで力が入っていましたが、音楽や照明、美術、演出からの力を借りることでちょっと肩の力を抜いてできるようになって、総合芸術のすごさをあらためて感じています。私は公演を重ねるたびに成長していくと思うので、もっと成長した美香を皆さんに届けたいです。たくさん観ていただきたいと思います。
――好きなシーンや共感するシーンは?
全てのシーンが大好きですが上げるとすると、ジョーンズ弁護士さんとミラー弁護士さんがテーブルを回しながら言い合うシーンがあって、そこがすごくかっこよくて大好きな場面の1つです。あとは千璃ちゃんのダンス。美香は千璃のことをなんとかしてあげたい、幸せのためにいっぱい心配していますが、千璃は千璃なりにちゃんと毎日成長していきます。その姿を踊りで表現するところは、生命力がたっぷり込められていて、愛おしくてすごく胸が熱くなります。ぜひ見ていただきたいです。
――メッセージをお願いいたします。
2週間ぐらいの上演ですが、次はいつ戻ってくるかわからないのでお見逃しなく。
この作品は厳しいとか辛い話ではなく感動が溢れるお話です。本当は相手が何を思っているのか正確にはわかりません。でもそこを自分なりに解釈して理解して抱きしめるあったかいお話で、明日を頑張る力をもらえる作品です。劇場でお待ちしています。
▼父/丈晴役・坂田隆一郎

――初日を迎えたお気持ちをお聞かせください。
幕が開くまでは、どのように受け入れていただけるのか少し不安もありました。
でも今は、僕たちが自信を持って希望を届けることができれば、きっと皆さんに伝わると思っています。楽しみながらも作品と向き合って、みんなで同じ方向を向いて作っていこうという気持ちが強かったので、その想いが形になり、自信を持ってお届けできる作品になりました。
――役作りで意識していたことは?
丈晴は土佐出身で、さらに“さ行”を噛んでしまうという役柄。僕自身、さ行に特に苦手意識はなかったので、最初はその表現に悩みました。台本では噛んでなくても気持ち的に焦っている場面では噛んだ方がいいのか、真面目なシーンでは噛まない方がいいのか、脚本の高橋さんや演出の下司さんと相談しながら作り上げていきました。あえて苦手として演じるのは初めてで新鮮でした。
――好きなシーンや共感するシーンは?
僕の役は、男性が抱える悩みが強く描かれていると感じています。丈晴はいろいろなものに抗いながら生きていますが、優しさも持っていて、美香に対しても、自分の気持ちを一度飲み込み、そっと見守る姿に強さを感じました。お互いにリスペクトしているからこそ、ぶつかって向き合って、気持ちを伝え合うことは、簡単なようでとても難しいことだと思います。諦めないことが次の光につながる、その部分に共感していただけたら嬉しいです。
――メッセージをお願いいたします。
観劇にいらした皆さまには、いろいろな想いを受け取っていただけたのかなと思います。
迷っている方にも、その迷いに対する何かしらの答えや、生きるヒントをこの作品が届けてくれると思っています。素晴らしい生演奏の音楽と、キャストのエネルギーを、ぜひ劇場で受け取ってください。

<2022年公演レポ>
概要
ミュージカル『SERI~ひとつのいのち』2026
原作:倉本美香
脚本・作詞:高橋亜子
作曲・音楽監督:桑原まこ
演出・振付:下司尚実
日程・会場:2026年2月19日(木)~3月1日(日)あうるすぽっと(東京・池袋)
出演:山口乃々華、ジェイミン、坂田隆一郎、廣川三憲、小林タカ鹿、
岡村さやか、金子大介、今森愛夏、尾川詩帆、加賀谷真聡
演奏:桑原まこ、山口宗真、平井麻奈美、成尾憲治
製作支援:杉本事務所
企画・製作:conSept
主催:conSept、一般社団法人TruBlue
公式サイト: http://www.consept-s.com/reborn/seri2026
ハッシュタグ:#SERI2026
X:https://x.com/consept2017
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撮影:間野真由美 (C)conSept All Rights Reserved.


