中村児太郎 中村隼人「いぶき、特別公演」取材会レポ 同級生コンビ、更なる挑戦

次世代の歌舞伎俳優たちが更なる活躍ができるよう、 未来へ繋ぐ新しい挑戦として企画された「いぶき、 特別公演」。 2021年6月の京都・南座での初めての公演では、中村児太郎、市川九團次、大谷廣松らによって、 『妹背山婦女庭訓』『乗合船恵方万歳』の二つの演目が上演された。 好評につき、第二回が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響に鑑み、 残念ながら全公演が中止となった。 しかし、 コロナ禍ではあるが、 その土地の多くの若い世代にも歌舞伎の魅力を繋いでいこうという考えから仕切り直しと言える、次回公演、東京・観世能楽堂、神奈川・横浜能楽堂ほか各地で開催される。
今作の出演者は、第一回にも出演した中村児太郎と、初参加となる中村隼人である。しかも今回は出演は二人っきり、会場は能楽堂。

まずは挨拶から。
中村児太郎「二人で、同級生、『いぶき、』、こういう形で、この二人での共演は初めて。チラシができて責任感を感じています。しかも1ヶ月、完全に二人、責任も。やりたい役だったり…会場は能楽堂、素晴らしいところです。いいものを見せていくのが我々の目標。2回目は残念ながらなくなってしまいましたが、今回3回目、二人だけですが。今回はみんなの思いを、みんながいると思って取り組みたいです」

中村隼人「この『いぶき』自体、初めてです。最初に児太郎くんだったり、この『いぶき』のチラシを見て、出ると…同世代の活躍の場がある、『羨ましいな』と。今回は 『雨の五郎』 『二人椀久』に挑戦できる、身が引き締まる思い。また能楽堂での歌舞伎は初めての経験です。歌舞伎の舞台とは違うので、児太郎くん相談しながら作っていければ。児太郎くんとは平成5年生まれ同級生で、歌舞伎座が遊び場だった、先輩たちにめちゃくちゃ怒られたりしたことも。観ていただいて、心が少しでも、生きる希望になればいいなと思います」
今回は大作、名作に挑戦する二人。
中村児太郎は「『藤娘』は一番最初にさせていただいたときは…そのときは手も足も出ず…観ながら学び、消化し色々経験してきましたので、今、できる一番いい『藤娘』を表現できるかな?」と意気込み、「このコンビで 作られている『二人椀久』、名コンビで作られている作品なので、隼人と2人で、自分達の2人の世界を築き上げていきたい、いろんな方々に観ていただいて、ゆくゆくは歌舞伎座などの大きな舞台で、あるいは地方の劇場で『二人でやってください』と言っていただけるように!二人で大事にしながら…」と語る。


中村隼人は「『雨の五郎』、こういったオフィシャルな場で踊らせていただくのは初めてです。 坂東玉三郎兄さんのお母様の藤間勘紫恵先生に 『歌舞伎の立役、大事だから』と言われて。『助六』ですよね、海老蔵のお兄さんだったり、『(こういうのを)やれる役者になりなさい』と。踊りの技術もそうですが、 見せ方、存在する立ち姿をすごく言われまして。当時は全然わかんなかったんですが、今はそういったところを意識しながら、素踊りなので…やれたらいいなと思います。『二人椀久』はまさか、させていただけるとは!今、先輩方が育てようとしている二人、運命的なものじゃないかと。運命を大事に。幻想的な、夢のような世界観を大事に。僕の役は愛しすぎて狂っている役なので、児太郎くんを相手に愛しすぎて狂っていけるよう頑張ります」中村小太郎は「同級生なので、お互いに遠慮なく言い合える、『いいペア』と言ってもらえるように、後輩たちに『あんな風になれたらいいな』と思っていただけるように」と付け加えた。


また、撮影は著名なフォトフラファーである、レスリー・キー氏によるもの。撮影現場は楽しかった様子。ちなみにチェックなしだそう(笑)。「(チラシ)初めて、見た」と笑わせる児太郎。
能楽堂での公演は「めちゃめちゃ緊張する」と中村児太郎。歌舞伎座は正面から観るが、能楽堂は、正面だけではない。「重厚感があって、汚さないようにしなければならない。能楽堂で出る、緊張するのは頑張りがいがある。ものすごいチャレンジ。初めてつくしで『やってよかったね』と言われるようになりたい」と言い、中村隼人は「ほとんど仰られて…。歌舞伎の世界も色々ルールがあって、僕たちには当たり前でも、外の方からは『厳しい』と思われていることが多い。お能の世界のルールは厳しい。歌舞伎は庶民、能は、武士が心を鎮めるために見ていた。能楽堂は3方向になる。歌舞伎の踊りは正面のお客様に見せる形で『横』っていうのは想定していない。ここは振付の先生と相談しながら」と語る。


また同級生、同い年ならではの”あるある”。お互いを役者としてどう見ているか?と言う質問、中村児太郎は「今は仲がいいですが、3年前はぶっちゃけ、いい意味でライバル視していた。隼人が頑張れば、自分も負けていられない、頑張る。彼が大きな役にチャレンジ、隼人は『スーパー歌舞伎』の『ワンピース』『オグリ』とかで抜擢され、僕はどっちかというと古典を中心にやることが多かった。お互い、いい意味でのライバル心。彼(隼人)は自分に持ってないものをすごく持ってる。彼の魅力は人を惹きつける力、魅せる能力に長けている。『二人椀久』は彼の魅了を最大限に発揮できる作品。『愛しすぎてイカれちゃった』っていう、そう思っていただけるように。また、彼のことを恥ずかしげもなく『好き』って思えるようになったので、感情がスムーズに通るようになった。彼の凄さとか魅力を認められるようになった。自分にとってプラス、思ったことを気にしないで言えるようになった…1ヶ月、毎日ご飯食べながら、同じ時間を過ごすのは楽しみです」
中村隼人は「(児太郎は)恥ずかしくって言いづらいことをベラベラ喋るところが魅力(笑)、裏表がない。大役の時期が結構同じだった。真ん中に立つことの苦しみや楽しさ…一緒に育ってきたので。彼は重圧もあったと思う、真摯に取り組む姿勢。刺激をくれる、彼がいなかったら、今の僕もいない(「褒められるのが恥ずかしい」と隣で)」と語る。

中村隼人は「(チケット代にプログラムが含まれていることについて)歌舞伎の公演でこういうのはなかったですね。レスリー・キーさんに撮ってもらったハイブランドの服を着させてもらって。すごいファッショナブル!『ヴォーグ』とかに載っていそうな!永久保存版!楽しみですね」
ネクタイについて聞かれ「赤は『頑張ろう』と、柄がワンちゃんがいたり・・意味はないです」と児太郎が笑わせた。また、今回の企画はトントンと進んでいき、演目もスムーズに。

ネクタイを直す中村隼人。されるがままの中村児太郎。

全国公演ということでの質問、中村隼人は「全国を回る公演は10年ぐらいいってないです。博多座とかはあります、こういう風にあちこち回るのは。僕は鹿児島生まれなので、熊本でも公演があるので八千代座、実家や地元の皆さんが喜んでくれれば」とコメント。「外出は厳しいと思います。公演ガ中止になるのを目の当たりにしてます。まずはきちんとし終えること、公演を満了させるというのが目標。公演をすることが大事。お客様と公演で”触れ合う”、このなかで足を運んでくださる方が『きてくれてよかった』と思っていただけるように」と中村児太郎。公演が間際で中止になることがある昨今。「最大限、気をつけて臨みたい」と中村児太郎。また、能楽堂での演出について中村児太郎は「能楽堂なので、出入りのタイミングなどはこれからの話合いになると思います。能楽堂ならではの表現になると思います。きちんと稽古をして臨機応変に対応できたら」とコメント。

概要
いぶき、  特別公演
〈演目〉
一、 『雨の五郎』長唄囃子連中
中村隼人
二、 『藤  娘』長唄囃子連中
中村児太郎
三、 『二人椀久』長唄囃子連中
中村児太郎 中村隼人

主な日時・会場:
東京公演  2022年6月1日(水)観世能楽堂 1.12:00開演 2.15:00開演
横浜公演  2022年6月4日(土)横浜能楽堂 1.12:00開演 2.15:00開演
★レスリー・キー監修公演パンフレット付き★
※お一人様に一部ずつパンフレットが付きます。 当日会場にてお渡し致します。

千葉 6月 3日(金)成田市文化芸術センター スカイタウンホール
石川 6月11日(土)こまつ芸術劇場うらら 大ホール
京都 6月17日(金)京都・観世会館
愛知 6月18日(土)名古屋能楽堂
大阪 6月19日(日)大槻能楽堂
郡山 6月21日(火)けんしん郡山文化センター中ホール
熊本 6月25日(土)八千代座
福岡 6月26日(日)大濠公園能楽堂

制作: 三響会企画
制作協力:全栄企画株式会社 / 株式会社ちあふる
協力:松竹株式会社
総合問合せ:Zen-A [ゼンエイ] TEL: 03-3538-2300 (平日11:00~19:00)
http://www.ibuki2022.com